2歳半で背骨が左右に曲がる難病の側弯症(そくわんしょう)を発症し、4歳半にその手術の影響で突然歩けなくなった「ちいりお」こと理央奈ちゃん(7)。赤ちゃんのころから闘病とリハビリを続けていますが、病気だと感じさせないお笑い好きな性格で、フォロワー160万人超のYouTubeでも大人気です。「ちいりおママ」こと母の佳寿美さんにお話を聞きました。(全4回中の4回)
就寝前の約1時間、子どもたちと「老々介護」の話も
── YouTubeから、ご家族の仲のよさがよく伝わってきます。普段、子育てで大切にされていることはありますか?
佳寿美さん:コミュニケーションでしょうか。会話は多い家族なんじゃないかな。パパも私も9歳の息子も理央奈もみんなおしゃべりだから、本当によくしゃべります。週1回ほど、岡山や香川へ車でリハビリに通ってるんですけど、愛媛から大阪のリハビリに行くときは往復8、9時間くらい車に乗っているんですね。その間、家族みんなずーっとしゃべっています(笑)。
── YouTubeで、理央奈ちゃんが「足るを知るものは富む」の言葉が好きってお話しされていて、大人びた知識に感心しました。普段から、そういった言葉や知識を佳寿美さんが教える時間があるのですか?
佳寿美さん:そうですね。その言葉はいつ教えたかは忘れたんですけど(笑)。夜、私と息子と理央奈の3人で寝るとき、2人が寝るまでの30分から1時間くらいおしゃべりするんですね。その間は子どもと話す内容じゃないような話題のことが多いと思います。私が「今日、老々介護のニュース見たよ」って話を始めたり、子どもたちから「なんで戦争が起こってるの?」って聞いてきたり。社会情勢など時事問題の話をすることが多いです。「80年生きるとしたらあと70年くらいやで」って人生について語り合ったり。「あと何年勉強せないかんの?」って、子どもの疑問から話がふくらんだり。ただ、そういう話をするなかで、いつも「人と比べたらダメやで」と伝えています。
── 毎晩のように、佳寿美さんが子どもたちとお話しすることもあって、理央奈ちゃんも視野の広いお子さんになったのでしょうね。
佳寿美さん:私自身、子どものころは親が教育熱心で、たくさん勉強させてもらったんです。でも、社会に出たときに「自分が勉強はしてきたけど世間知らずなんだ」と思い知らされることが多くて、それがずっとコンプレックスでした。そういう悔しさがあるから、夜な夜な子どもたちに人生や社会の話をするのかな。理央奈がおしゃべり上手なのは、そういう社会の話が多いことも影響しているかもしれません。
感情のコントロールが苦手「ワーッてなったら夫に話して」
── 佳寿美さんは、とても優しそうなお母さんに見えます。子どもたちを叱ることはあるのですか?
佳寿美さん:めっちゃ怒ってます(笑)。ただ、理央奈は下の子だからなのか、私の機嫌をうかがいながらうまく立ち回るからあまり怒らないんですけど。息子は、都合の悪いことをごまかしたりするときに叱っています。約束を守らない、ウソをつく、といったことは叱ることが多いです。
── 佳寿美さんは怒ると怖いですか?
佳寿美さん:(となりの理央奈ちゃんに)怖いよな?
理央奈ちゃん:怖くない(ママを見ながらニコリ)。
佳寿美さん:この子はこういうところが上手なんですよね(笑)。でも、全然余裕がなくて、いっぱいいっぱいになっているときは感情が崩壊していると思います。
── 自分の気持ちに余裕がなくなって落ち込んだとき、元気を取り戻すために心がけていることなどはありますか?
佳寿美さん:私、感情のコントロールが下手なほうで、すぐ「ワーッ!」ってなるんです。でも、そういうときは必ず、夫が話を聞いてくれます。すごく明るい性格で、私が深刻な調子で話し始めても、最後には「ええやん!」って明るく受けとめてくれて。話を聞いてもらっているうちに、悩んでいたことも「なんとかなるかな」って思うことが多いです。気持ちが落ち着いてくるんです。夫にはイライラすることもあるんですけど(笑)、いいところもいっぱいあるんですよ。