専業YouTuberになるも「何のために大学に」と一念発起
── 登録者数が増えて、今は専業YouTuberになったのですね。
いけちゃん:でも、大学卒業の年の11月ごろに、「このままずっと配信で稼げるのだろうか…」っていう不安に襲われて。「何のために大学に進学したんだろう」なんて考えて、悶々とする日々でした。それで、まずは一級建築士の資格を取ってから、YouTuberを続けるかどうかを考えようと思ったんです。
── 一級建築士は試験合格率がわずか1割というほどの難関と聞きます。どのように勉強を進めたのですか?
いけちゃん:YouTuberってわりと、勉強する時間を確保しやすいんです。だから、大学に通いながらとか、設計事務所で働きながら資格試験を目指す人のほうが断然すごいと思います。私の場合は、1年目からけっこう自信があって一次試験は合格したんですが、二次試験の直前に舞台に出演することになって。セリフを覚える日々で、試験勉強の内容をすべて忘れそうなくらい忙しかったんです。それでも、他の受験生と比べたら勉強する時間は多かったと思うんですが、結局、二次試験で落ちてしまって…。翌年もう一度受けて、合格しました。その後、今在籍している設計事務所から声をかけていただいて、就職することになりました。
── 学生時代は就職に興味がなかったのに、どうして決意できたのでしょうか。
いけちゃん:絶対に普通の就職はできないと思っていたんですよ。 学校生活で苦労したので、企業で規律を守って大勢の人と一緒に働くのも苦手だろうなと想像していて。だからやるなら大学の研究職か、起業したいと思っていました。でも縁があって、声をかけていただいた設計事務所に就職しました。今の事務所は東京と秋田に拠点があるんです。私は地元が秋田ですし、事務所が秋田の羽後町で町おこしのプロジェクトをやっていたのも決め手になりました。
── 地元とも縁がある事務所だったのですね。ちなみに職場はフルリモートだとか。
いけちゃん:そうなんです。ほかの社員も、みんなそれぞれの県の事業所で働いていたりします。私はふだんから県外移動が多いので、フルリモートで働かせてもらっていますが、かなり特例ではありますね。
── ほかにも副業している社員はいたりするのですか。
いけちゃん:私が働いているのは、アトリエと呼ばれるデザイン性の高い建築を手がける分類なのですが、社員の平均年齢が若く、みんな建築一本でやっていますね。就職してよかったのは、試験用に勉強していただけで実務経験がなかったので、現場に行って実務が学べること。あとCAD(※)も会社の人に教えてもらっていて、まだ慣れていないので、時間があるときに家で練習しています。
※「設計をデジタルで行うソフトウェア」のこと
PROFILE いけちゃん
1997年、秋田県生まれ。登録者数 52万人、動画の総再生回数1億630万回の人気YouTuber。グラドルとしても活動しながら一級建築士の資格を取得し、建築事務所にも勤務している。
取材・文/池守りぜね 写真提供/いけちゃん