19歳年上の夫とふたりの子どもたちと暮らすイラストレーター、よこみねさやかさん。小学生の息子の悩みに答える夫の発言に、数々の名言が散りばめられていることに気づいたそう。「悪いことをしちゃいけない理由がわからない」と言う息子くんに、今日も独自の主張を展開します。
なぜ悪いことをしてはダメなの?根本理由を聞かれて困惑
「悪いことをすると天国にいけないよ」。私が覚えている最古のお説教がこれでした。
カトリック系の幼稚園に通っていたためか、悪いことをすると地獄に落ちるだの、いい行いをすれば天国に行けるだの、そういった話は手をかえ品をかえ毎日のように聞いていましたが、しょせん幼稚園児。深く考えることもなく日々を過ごしながら「大人が怒るようなことをしなければ、とりあえず大丈夫っぽいな」という考えで今まで生きてきました。
先日9歳の息子、まめ(愛称)がなにやら考えている様子だったので声をかけてみると、「悪いことをしちゃいけないっていうのは知ってるんだけど、じゃあなんで?って考えてみたら難しくて」などと言うのです。言われてみれば「悪いことをしてはいけない」という言葉自体、あまりにもざっくりしている…。
悪いことと言っても、何を指すのか、その程度は?法に触れなくても悪いことはあるよね?相手のある・なしは?ちゃんと考えようとすればするほど、引っかかる部分に足を取られてうまく説明ができません。
内容にかかわらず「よくないことをすると絶対に失うもの」とは
すると、「真面目な話はママがしてくれると思うからパパが生きてきてわかったことを言うよ」なんて言いながら、夫がスマートに登場。出た!いいとこ持っていく気ね!とは思うものの私も聞きたい、夫の説明…!
種類や程度に関わらずよくないおこないをすると必ず失うもの、それは信頼。信頼というものは手に入れることは大変難しいのに、失うのは一瞬。しかも、一度失ってしまうと再度手に入れることは相当な困難を要するため、悪いことをするという選択は生き方としてコスパが悪い。
…なるほど、しごく真っ当でわかりやすい説明です。
「コスパ」という言い方はドライに聞こえなくもないですが、「結局は自分のためですよ」という当然のことであり、確かに自分がかかわる人からの信頼を失わないようみんなが考えて生きていれば、誰も悪い気分にならずにすむでしょう。優しい世界だ。
まめはサクッと納得してご満悦。私も一度は胸をなで下ろしたものの、先ほど振られた「真面目な話」の部分をどう説明しようかと頭を抱えるのでした。
PROFILE よこみねさやかさん
イラストレーター。長崎県出身、1984年生まれ。2015年、第一子誕生を機に、長男「まめ(愛称)」との日常を絵日記にしてインスタグラムに投稿を開始する。2017年に長女「ゆめこ(愛称)」が誕生。著書に『まめ日記』(かんき出版)、『まめ日和』(光文社)、『ちんちんぼうずのだいぼうけん』(KADOKAWA)、電子書籍『へたのよこずき1・2』(主婦と生活社) などがある。