19歳年上の夫とふたりの子どもたちと暮らすイラストレーター、よこみねさやかさん。小学生の息子の悩みに答える夫の発言に、数々の名言が散りばめられていることに気づいたそう。最近、「お化け」を怖がる息子くんにもまた、斬新な考え方を披露していたそうで ──。
ご多分に漏れずお化けを怖がる息子に夫が教えた意外な事実
「お化けが怖い」という気持ち、幼い頃に私も経験しましたが、結局お化けに対する恐怖心ってなんだったんだろう。
夢中で読み漁っていた学校の怪談なんかを思い出すと、何時にどこどこの鏡を見ると何者かに連れて行かれるだとか、トイレに引きずり込む女の子がいるだとか、「なにかよくないことをされる(されそう)」な部分にあったんじゃないかなと思い至りました。
少し前に息子のまめ(愛称)が、なにかしらの怖い話を目にしてしまったらしく、お化けを怖がって毛布にくるまりトイレにも行けないようなことがあったのですが、いくら大丈夫だと諭しても「なにが大丈夫なんだ」とかたくなで困ります。
そうよね、わたしもお化けのなんたるかなんて知らない。いるのかいないのかすらわからないし。
混乱する私と怖がるまめとの会話は当然おかしな方向にそれまくり…そんな様子をあきれ顔で見ていた夫が厳かに口を開きました。
「お化けの何がそんなに怖いんだ?もとは人間だったのなら、見ず知らずのまめになにか悪いことをしてくるような無分別なタイプのほうが少ないと思うんだけど」
「平場のおばけにいきなり呪われたり危害を加えられたりしたら…お化けが怖いっていうより『そいつ』が怖いよね」
そうだ、お化けもかつては人間だったんだ
なるほど…それはおもしろいアプローチ。まさかの個人(この場合、人でいいんだろうか)の性格次第ときた。
変な相手に当たってしまうかそうでないかというだけの話で、その確率はそこらへんにいる人と変わらない、怖いのは「お化け自体じゃなくて、よくないことをしてくる相手」なのだと想像できたところで、まめは毛布から出てきました。
この経緯をSNSに投稿したところ、なんと「視える」タイプの方からのお言葉をコメントにいただいたのですが「悪霊=変質者のようなもの」「心霊スポット=治安が悪い場所」というイメージなんだそう。
なんぞ言い得て妙ですねえ。私の中にも残っていたうすらぼんやりした恐怖心も完全に消えました。
確かに自分がお化けになったとしても…まめの言う通り、怖がってもらえる気がしません。
PROFILE よこみねさやかさん
イラストレーター。長崎県出身、1984年生まれ。2015年、第一子誕生を機に、長男「まめ(愛称)」との日常を絵日記にしてインスタグラムに投稿を開始する。2017年に長女「ゆめこ(愛称)」が誕生。著書に『まめ日記』(かんき出版)、『まめ日和』(光文社)、『ちんちんぼうずのだいぼうけん』(KADOKAWA)、電子書籍『へたのよこずき1・2』(主婦と生活社) などがある。