TV番組「おんな酒場放浪記」にレギュラー出演中の“大のお酒好き”であるモデル・倉本康子さん。居酒屋への憧れは、幼少期の頃から持っていたそう。居酒屋の魅力やご自身の流儀についてお聞きしました。(全3回中の2回)

自宅で3缶飲んでから近所の飲み屋へ

── 普段はどのくらいお酒を飲むのですか?

 

倉本さん:昨日は帰宅してからビールとハイボールを3缶飲み、その後、近所の飲み屋に行き計3杯くらい飲んだと思います。晩酌は私にとって「無事に一日が終わった!」というリセットの意味合いがあるんです。だから仕事でお酒を飲んだ日も、帰宅後の晩酌は欠かせません。

 

── お酒が好きになったのはお父さんの影響だそうですね。

 

倉本さん:そうなんです。私が子どもの頃、父は仕事終わりによく飲んで帰ってきていました。気持ちよさそうに酔って帰宅する姿を見て、「早く大人になってお酒を飲みに行きたい」と思うように。父は「社会人になって酒の席でできた友達は、肩書も年齢も関係ない友達。財産だ」と話してくれて、酒の場で友達をつくることにも憧れていました。それと、「ボトルキープ」もいつかしたいと思っていました(笑)。そんな父の姿を見て大人になった私も、仕事とお酒の人生を着々と辿っています。

 

実家で過ごした今年のお正月。お酒好きの父も一緒に(Instagramより)
実家で過ごした今年のお正月。お酒好きの父も一緒に(Instagramより)

── お酒絡みの仕事をすることで、大変なことはありますか?

 

倉本さん:やはり1日の酒量が増えてしまうことでしょうか。特に「おんな酒場放浪記」の収録は1日がかり。2軒分撮影することもあるので、お酒の量もそれなりに増えてしまいます。それでも仕事の後は晩酌してしまうので、「頑張れ、私の肝臓」という感じですね(笑)。父から教えてもらった二日酔いの市販薬を、収録前には飲むようにしています。 

収録中でも大ジョッキ!“いつも通り”の倉本さんが人気の「おんな酒場放浪記」

──「おんな酒場放浪記」での豪快な飲みっぷりが、見ていて気持ちいいです。

 

倉本さん:2軒分撮影する日は、ディレクターさんから「一軒目だからセーブしてね!」と言われるのですが、どうしても抑えられないんですよね。一杯目の大ジョッキを飲み干した時、周りのスタッフさんから「ああ…」とため息が聞こえてくることも(笑)。

 

番組が始まったばかりの頃は、友人から「あそこまでいつも通りで大丈夫なの?」とか、「もっとモデルらしくしなくていいの?」と心配されることもありましたが、今では「いつも通りでいいね!」と言ってくれる人が多いです。「酔っ払う姿を見るのが楽しい」という人も多くて、「もっと酔っ払っちゃって!」というコメントも少なくありません。

 

「おんな酒場放浪記」新春スペシャル収録時の衣装(Instagramより)
「おんな酒場放浪記」新春スペシャル収録時の衣装(Instagramより)

── 番組最後に登場する、お店の屋号を使った「あいうえお作文」はどのように生まれたのでしょうか。

 

倉本さん:師匠の吉田類さんは俳句を詠んでおられますが、「私にできるとしたら『あいうえお作文』だな」と思い至ったのがきっかけです。収録の翌日に提出しているのですが、飲みすぎたときは記憶もおぼろげになっているので、なんとか思い返しながら作っています(笑)。「鳥」「ん」「や」がつくお店が意外と多く、バリエーションをつけるのにも頭を悩ませています。

 

以前、アンガールズの田中卓志さんが、ラジオ番組で「あいうえお作文を予想している」と話してくださって。楽しみにしてくれている人もいるので、頑張って作り続けていきたいです。

 

── 番組収録時のファッションも華やかで素敵です。ご自身で選ばれているのですか?

 

倉本さん:服もアクセサリーも自前です。プレスの方から「うちの服を貸すよ」と言っていただくこともあるのですが、タバコやもつ焼きなどの匂いがついたり、酔っ払ってこぼしたりしかねないので、自分の衣装で撮影しています。

 

いつも前日に服を選んでいるのですが、「明るい色の服」を意識しています。というのも、居酒屋でダークカラーの服を着ていると、空間に馴染みすぎてしまうからです。それに、黒い服ってなんとなく心が閉鎖的になってしまいがち。明るい服を着ていくとテンションも上がるので、あえて明るいカラーを選んでいます。

居酒屋は「常連さんを見れば店のよさがわかる」

── 居酒屋の魅力について教えてください。

 

倉本さん:「安くてうまい!」ということと「人との交流」ですかね。やっぱり安くて美味しいだけではお店は長く続かないと思います。お店の大将やママさんがつくる雰囲気を、常連さんが醸し出していく…そうしてお店の雰囲気ができ上がっていくんです。だから店主や常連さんを見ればその店のよさがわかります。

 

柏で54年以上続く酒場「きよの」さんへお邪魔!(Instagramより)
柏で54年以上続く酒場「きよの」さんへお邪魔!(Instagramより)

常連さんはお店の営業マン的存在。自分の好きな店を好きになってくれそうな人には、「これがうまいよ」とか「あの人はこうでね」など、嬉々として話してくれる。こういうコミュニケーションの楽しさは、お店に行ってみて初めてわかることだと思います。

 

ひと昔前は、居酒屋というと男性的なイメージでしたが、最近では、女性の姿がすごく増えたと感じています。おしゃれして素敵なレストランに行くのもいいですが、ディープな酒場にもよさがあります。先日も、ライターとスタイリストの友達に「やっこの好きな店に行きたい」と言われて連れて行ったら「最高じゃん!」と気に入ってくれて。一度酒場に行くと、なぜ酒場に人が集うのかに気づくと思いますよ。

 

── 倉本さんならではの酒場の流儀はありますか?

 

倉本さん:「人様のお宅にお邪魔している姿勢」でいることです。初めて伺う友人宅でご家族の方々に会うときと同じように、初めて行ったお店では、店主さんやご常連さんに敬意を払うことが私なりの礼儀です。お会計をスムーズにするためにも、千円札と小銭の準備は万端にしていくことも忘れずに。

 

それから、居酒屋に行くときは財布を持って行きません。酔っ払って財布を失くしたことはないのですが、万が一のときを考えて、お酒を飲むときは財布は持って出かけないようにしています。

 

以前は千円札を輪ゴムでまとめて持ち歩いていたのですが、今はお金をジップロックに入れて居酒屋に出かけます。ジップロックは毎回新しいものに変えて、お金をきれいな袋に入れてあげることが私なりのこだわりです。

 

PROFILE 倉本康子さん

モデル、タレント。1974年、東京で生まれる。モデルとしてファッション誌や広告で活躍。お酒好き女子としてテレビ番組「おんな酒場放浪記」にレギュラーで出演。InstagramやYouTubeチャンネル「倉本康子チャンネル」ではお酒がらみの企画が盛りだくさん。

取材・文/佐藤有香 画像提供/倉本康子