「寝かせ方とアルミホイルがポイントです」。冬になるとより恋しくなる「焼きいも」。自宅でできるおいしい作り方を、18年焼きいも販売を手がける阿佐美やいも子さんに聞きました。

 

「黄金色やオレンジまで!」色とりどりの焼きいもたち

自分が好きなタイプのいもを選ぶところから始める

── さっそくですが、おいしい焼きいもの作り方を教えてください。

 

阿佐美やさん:まずおいもの選び方ですが、しっとりが好きか、ホクホクが好きかで異なります。

 

しっとりなら、「シルクスイート」「紅はるか」「ふくむらさき」、ホクホクなら「紅あずま」「鳴門金時(なるときんとき)」「すずほっくり」などを選んでください。太いおいもだと中まで火が通りにくいので、細くて小ぶりのおいもがいいでしょう。

 

さつまいもは時期によっても熟成度が違ってきます。12月以降はどのおいももしっとりしやすいので、ホクホクが好きな人は9〜11月においもを買ってみてくださいね。

 

── 買ったおいもは、どのように保存するのがベストですか?

 

阿佐美やさん:常温保存でいいのですが、暑いと芽が出てしまうので、15度前後で保存してください。新聞紙に包むと外気温の影響を受けないのでいいかもしれません。冷蔵庫に入れると傷んでしまうので注意してくださいね。

 

「蜜があふれる!」新聞にくるまれた大きな焼きいも

おいもって、1か月ほど寝かせると甘さが出るんですよ。そのため買ってから最低でも2週間は寝かせると、熟成しておいしくなります。

「ベチャッとしない」アルミホイルのかぶせ方がコツ

── おいもの焼き方にコツはありますか。

 

阿佐美やさん:ケーキを焼くようなオーブンレンジだと1時間で焼けますが、焼き目がつきません。焦げがある香ばしい焼きいもが好きな方は、オーブントースターがおすすめです。

 

アルミホイルをふんわりかぶせて、30分焼くとちょうどよく仕上がると思います。アルミホイルをきっちり巻くと蒸気が出ていかずベチャっとしてしまうので、ふんわりかぶせてくださいね。

 

電子レンジで温めるのは、パサパサになりやすいのでおすすめしません。

 

── 自宅の鍋でも作れるのでしょうか?

 

阿佐美やさん:お鍋でも作れます。鍋に石を敷き詰めてから、おいもを並べて1時間、火にかけると、石焼きいもができ上がります。

 

石焼きいも用の石が売られていますが、とくに指定はありません。ホームセンターに売っている適当な石を洗って使っても大丈夫です。河原で拾った石で焼く人もいるくらいですから(笑)。

 

ただし、最近のコンロは安全装置が作動して火が消えてしまうことも多いようです。カセットコンロでも代用できますが、くれぐれも安全に配慮して行ってくださいね。

 

── 自宅で石焼きいもができるんですね!ところで、火が通っているかの確認はどのようにすれば良いでしょうか。

 

阿佐美やさん:串を刺してみてください。つっかえることなく最後まで通れば問題なく焼けています。あとは、いもの表面に蜜がジュワッと出てくるまで焼くと、おいしく食べられると思いますよ。

 

焼き方のほか、おいもを買う時期や種類によっても味が違ってくるので、自分の好みの焼きいもを見つけてくださいね。

 

PROFILE 阿佐美やいも子さん

埼玉県出身。28歳の時に、焼きいも屋『いも子のやきいも』を開業。両親の介護や、育児に奮闘しながら18年。現在は「焼き芋屋開業講座」や「芋づる式に夢を叶えるブランディング講座」を開催。2023年2月、自身初の著書となる『いも子さんのお仕事 夢をかなえる焼き芋屋さん』を出版。

 

取材・文/白石果林 画像/阿佐美やいも子