1年間で偏差値41から70の中学受験に挑んだジャガー横田さんの息子さん。家族総出で息子の受験に取り組みましたが、スムーズにはいかなかったことも。(全4回中の3回目)
偏差値41から偏差値70にチャレンジ
── 中学受験は息子さんみずから宣言されたそうですね。
ジャガー横田さん:息子が小学4年生のとき、2分の1成人式で、将来は父親と同じ外科医を目指すことを宣言して、小学5年生の後半から本格的に受験勉強が始まりました。塾とは別に毎朝7時から1時間ほど主人が子どもに勉強を教えるようにもなりました。
── 受験勉強をがんばる息子さんと、支える旦那さんの様子はいかがでしたか?
ジャガー横田さん:受験勉強を始めた頃、息子は「勉強をやらされている」と感じることもあったようです。でも、問題が解けるようになっていくと主人との勉強が徐々に楽しくなってきたよう。主人は博学で、難しいことをわかりやすく説明するのが上手いんです。
息子にとって主人は、父親であると同時に、勉強をとてもわかりやすく教えてくれる先生にもなっていきました。息子が幼いころは、主人の仕事が忙しくてお互いの接点が少なかったこともあり、息子は主人のことを「たまに家に訪れる知らないおじさん」だと感じていたようですが、中学受験を通してふたりの距離は縮まったと思います。
── 息子さんが小学6年生の夏、テレビ番組『スッキリ』で4か月にわたり息子さんの受験を密着取材されていましたね。
ジャガー横田さん:テレビ局から依頼がありました。ちょうど全国統一模試の結果が出たばかりで、目指す学校は偏差値70。それに対して息子の偏差値は41。取材が入ることでかなりプレッシャーは感じたようですが、それを励みにすればいいというので、息子も取材を受けることを決めました。
受験には口出しせず
── 本格的な受験勉強が始まり、生活はどう変化しましたか?
ジャガー横田さん:家庭教師のプロがつき、息子は毎朝7時から1時間自宅で主人と勉強をして、その後学校に行き、学校が終わると週5回学習塾で勉強していました。塾がない日は自宅で6時間、日曜日は8時間勉強しました。私は息子の食事の準備や塾への送迎といった身の回りのサポートに徹しました。
私は息子の受験勉強に対していっさい口出しはしませんでした。そのかわり、勉強以外のこと、「人に挨拶をする」「脱いだ洋服や使ったお皿は片づける」「部屋を掃除する」といった日常生活に関しては口酸っぱく言いました。受験勉強でイライラした息子とバトルになることもありました。でも、受験生だからといって変に気をつかいすぎることなく、必要なことは伝えてこられたので、お互いにストレスを抱え込まずにいられたのだと思います。
── 旦那さんは、息子さんの生活態度についてはどんな対応でしたか?
ジャガー横田さん:ほうっておけばいい。私が片づけるから息子が自分で片づけなくなる、と言ってました。主人は息子がやりっぱなし、ぬぎっぱなしのものがあっても特に気にならないようで、片づけもしないけど口も出さなかったです。
主人はきちんとしています。たとえば、朝起きたらベッドを整える、洗濯ものをかごに入れる。ごみはゴミ箱に入れる。大人として当然のことではありますが、整理整頓はきっちりとやるタイプです。
震えが止まらない夜に
── 受験直前の息子さんの様子はいかがでしたか?
ジャガー横田さん:基本的に弱音は吐かない息子でしたが、受験日の一週間ほど前にかなり精神的に追い詰められていると感じたことがあります。私には言わなかったものの、一人でいることに恐怖を感じたらしく、珍しく主人に一緒に寝てほしいと伝えたようです。
同じ中学のコース別の試験を2回、3回と受けるうちに、今度こそ受かりたいという気持ちと同時に、受からないかもしれないと、不安や焦りもあったと思います。さらにテレビ取材もあったことから、息子にとっても相当なプレッシャーだったと思います。主人によると、息子は体の震えが止まらず、日によってはひとりで眠ることができなかったようです。いつも自信をもって堂々としている息子ですが、やはり小学6年生で、家族の支えが必要だと感じた出来事でした。
── 息子さんの中学受験の結果はいかがでしたか?
ジャガー横田さん:5校を複数回受験して2勝7敗でした。第一志望、第二志望の私立中学が不合格だったことから、私は、息子はもう十分頑張ったからこれ以上受験しなくていいと思ったんです。それに対して、主人は息子がこれまでの努力を通じて得た経験から、中学受験での成功体験を積ませてあげたいと考えたようです。第一志望の中学の不合格がわかった日、主人が急遽、医学部などを目指す特進コースがある別の中学を受験したらどうかと息子に伝えました。話を聞いた息子は、その中学を受験することにし、見事、合格することができました。
私立中学2校に合格したものの、最終的には息子は越境して区立の中学に進学することに決めました。区立中学を選んだ理由はいくつかあります。まず私立の中高一貫校に進学した場合、高校受験がないため、将来的に大学受験で苦労する可能性があること。もう1つの理由として、息子が選んだ中学は区立でも名門校として知られ、進学実績も名門私立学校に匹敵するほどに高かったこと。この中学は宿題廃止や定期テスト廃止など、子どもの自立を重視した独自の教育方針を取っていて、息子本人もこの教育スタイルが気に入ったようでした。
中学受験は、家族一丸となり取り組んだこともあり、息子にとってはもちろんのこと、私たち家族にとってもすごくいい思い出になりました。主人は息子の学習をサポートし、私は生活面の世話をする。お互いに役割分担し、家族一丸となって動けたことで絆も深まりました。息子の中学受験を通して、改めていい経験になったと感じています。
PROFILE ジャガー横田さん
東京都出身。プロレスラー。タレント。2006年、医師の木下博勝氏と結婚。夫妻と息子、大維志さんとともにYouTube『ジャガー横田ファミリーチャンネル』で日々の暮らしを発信中。
取材・文/間野由利子