小学生と中学生、3児の母であるインリンさん。第1子の長男の子育てでは、かんしゃくや反抗期に戸惑った時期があるといいます。(全3回中の2回)
床に反り返って大泣きし
── 2010年に第一子を出産されました。初めての育児はいかがでしたか?
インリンさん:長男は生まれてしばらくは、体が弱くて喘息もあったんです。咳が止まらず吐いてしまうこともあって、多いときは救急外来に1週間に2回も行くことがありました。
普段は優しくてとてもいい子ですが、幼稚園の頃は思い通りにいかないことがあるとかんしゃくを起こしてしまうことも。たとえばアイスが溶けるのが気にいらなかったようで、床に反り返って大泣きしてしまうとか。いつどこで騒いでしまうかわからなかったので、自然と外出も控え目になった時期がありましたね。
── かんしゃくとは別に反抗期も経験されたそうですね。
インリンさん:小学5年生頃から始まりました。ちょうどコロナ禍で学校の授業がオンラインに切り替わった時期ですね。長男だけではなく世間的に外出が制限されてしまって、友達との交流も難しくなりました。家で過ごす時間が増えたせいか、私も長男もイライラが募ってしまったのかもしれません。喧嘩が徐々に増えてきました。
── たとえばどんなことで喧嘩しましたか?
インリンさん:長男がゲームに夢中になって、学校の勉強や宿題をおろそかにしてしまうことがあったんです。ゲームをやりたい気持ちもわかりますが、親としては勉強もしてほしい。そんな思いが募ってしまい、ある日、ささいな言い合いから怒った勢いで長男を家の外に出してしまいました。本気で追い出す気はもちろんなく、覗き穴から覗いてみたら玄関の前に立っていたので、5分後には家に入れました。ですが、別の日に大喧嘩したとき、また長男を外に出したところ、今度は家の前からいなくなっていたんです。今度は5分では済まず、しばらく探し回りました。
── 心配ですね。
インリンさん:ひとりで外を歩いていたら警察に補導されるかもしれない。最悪、長男が行方不明になるかもしれないと焦って、自転車で近くを探しましたが見つかりません。マンションにいったん戻って管理人さんに監視カメラで確認してもらったら、子どもが外に出た様子がないと言われました。
家に戻ったら、なんと長男が家にいて、しかも部屋でくつろいでいたんです。どうやら、一度家を出てマンションの非常階段のところに隠れていて、私が外に出た隙に自宅に戻ったようでした。長男がいなくなった時間は15分程度でしたが、全身から血の気が引く思いでした。
多分、ママは怒ってもすぐに機嫌を直すから、すぐに家に入れてくれるだろうと思っていたのかもしれません。
塾に行くようになったけれど
── 長男の反抗期は、その後いかがですか?
インリンさん:私もその後、あまりいいやり方ではなかったと反省して、長男への接し方を少し変えたんです。長男のやりたいことをなるべく尊重しつつ、やるべきことも冷静に伝えるようにしてみたら、小学6年生の後半頃から少しずつ落ち着いてきました。友達が中学受験の勉強に本腰を入れて塾に通い始めた影響もあってか、自発的に勉強するようになっていきました。長男も少し成長したのか、勢いだけでは行動しなくなったような気がします。最近は、たまに塾の帰りに友達とカフェに寄って話すのも楽しいようです。
今も学校から帰ってきたらゲームやYouTubeを楽しんでいますが、私が口を出さなくても宿題をするようになりました。少しずつですが長男の成長を実感しています。
PROFILE インリンさん
1976年生まれ。台湾台北市出身。3児の母。10歳で来日。読者モデルを経てグラビアアイドルへ。現在は台湾を拠点に活動。14年ぶりに写真集『インリン・オブ・ジョイトイ写真集すべて今の時ゎ最後の時~最終話』(講談社)を出版。
取材・文/間野由利子 写真提供/インリンさん