起きがけに1杯の白湯を飲むといい。健康に関する情報でよく見るものです。「でも、そこにある習慣を加えると、肌あれや大人ニキビの抑制につながります」と、医師の工藤あきさんは言います。

 

肌にいい!朝の白湯に加えて始めたほうがいい習慣とは?

起きてすぐにやると効果あり!2つの朝習慣

── 工藤先生は、体の内側から美肌やエイジングケアを目指す方法に精通していらっしゃいますよね。栄養面でバランスの良い食事を毎日続けることが美肌をつくることはわかっているのですが、とにかく簡単にケアできる方法はありませんか?

 

工藤先生:バランスのとれた食事を考えて、続けていくのは大変ですよね。忙しくて揚げ物系のお総菜が続くこともあるし、お菓子を思いっきり食べたい日もある。私自身も医師であり2児の母として時間に追われる毎日をすごしているので、その気持ちは非常にわかります。

 

とにかく簡単に、そして誰にでもできる美肌ケアであれば「起きてすぐに白湯を1杯飲む」と「スプーン1杯のアマニ油かエゴマ油をとる」を、朝の習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

朝起きてすぐに白湯を1杯飲むことで、寝ている間に失われた水分が補給されて、胃腸が活動モードに切り替わります。体の水分が不足すると、便が硬くなってそれをきっかけに便秘や腸内環境の悪化をひきおこし、腸のぜん動運動が弱まったりするため、そのままにしておくと肌あれの原因となってしまうのです。

 

── 白湯はいわば、水を温めた「お湯」ですよね。水は冷たいよりも温かいほうが体にいい理由があるでしょうか?

 

工藤先生:水は温度によって吸収スピードが異なり、白湯のほうが冷たい水よりもゆっくりと体内に吸収されて胃腸への負担も少なくなります。冷たい水を飲むと血管が縮まって血流が悪くなる可能性もありますので、白湯を飲むほうをおすすめしています。適温は、体温よりも少し高い50℃程度です。温かい飲み物が苦手な方は、せめて常温の水を飲むように心がけましょう。

「たったスプーン1杯」肌に潤いを与えてくれる油の正体

── もう1つの「スプーン1杯のアマニ油かエゴマ油をとる」方法についても教えてください。

 

工藤先生:アマニ油やエゴマ油には「オメガ3」が含まれています。オメガ3は、肌のターンオーバーの促進や整腸作用があるなど、肌トラブルを防いでくれる心強い味方。肌や髪のパサつきにも潤いを与えてくれます。

 

血流をサラサラにしてくれる効果もあり、動脈硬化や生活習慣病の予防が期待できます。体内でつくることができない「必須脂肪酸」なので、意識的にとるようにしましょう。アマニ油やエゴマ油のほかには、青魚(アジ、サバ、イワシ、サンマなど)やナッツ類にも豊富に含まれています。

 

── スプーン1杯とのことですが、どうやって摂取するのが良いのでしょうか?

 

工藤先生:オメガ3は1日あたり2g(ティースプーン1杯程度)とることが推奨されています。熱に弱いため、アマニ油もエゴマ油も加熱せずに生で食べるようにしてください。

 

スプーンですくってそのまま飲んでも良いですし、どちらもクセがなくあっさりしているので、お料理の仕上げにかけても気になりません。私自身は、朝食のサラダに塩とレモンと混ぜてドレッシング代わりにしたり、納豆、ヨーグルトなどにかけて食事に取り入れています。

油を控えすぎると「便秘やカサカサ肌」の原因にも

── アマニ油もエゴマ油も健康に良いとはいえ、油を積極的にとる必要はあるのでしょうか。ニキビが増えるなど、やはり肌や体に悪いのではないかと心配してしまいます。

 

工藤先生:油なので過剰に摂取すると太りますし、生活習慣病の原因になります。その一方で、少なすぎても悪影響を及ぼす可能性があります。

 

たとえば、健康な肌の組織では、皮膚の水分を保持する「バリア機能」のために、つねに適度な油分が分泌されています。自己流で油抜きダイエットをしていると、脂質が不足してしまい、便秘などの不調が起こるだけでなく、肌の潤いを失ってカサカサの肌に。むしろ乾燥からくる大人ニキビの原因にもなってしまいます。

 

── しっとりした美肌のためには、適度に油を摂ることが欠かせないんですね。

 

工藤先生:アマニ油、エゴマ油はもちろんですし、加熱するならば、便通促進やポリフェノールによる抗酸化作用が期待できるオリーブオイルをおすすめします。「油」といってもさまざまな種類があり、含まれる成分も異なります。せっかく摂るなら体にいい油を選ぶように心がけてみましょう。

 

PROFILE 工藤あきさん

消化器内科医・美腸・美肌研究科。一般内科医として地域医療に貢献する傍ら、腸活×菌活を活かした美肌・エイジングケアにも尽力。テレビ、本、雑誌などメディア出演多数。2児の母。

 

取材・文/大浦綾子

※:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」