間食はダイエットの大敵であり、健康面でもよくないもの。と思いつつ、おそるおそる医師の工藤あきさんにその話を振ってみると、ケースバイケースで「いい間食」もあるとか。
間食をすることで健康的になる習慣が話題に
── 良くないとは思いつつも、なかなか間食がやめられません。我慢しようと思うほどストレスがたまったり、無性に食べたくなるときも…。
工藤先生:つい口寂しかったり、仕事や家事の気分転換におやつを楽しみにする気持ちもわかります。間食は健康に悪いものというイメージを持たれるかもしれませんが、取り入れ方次第で、むしろ健康な体づくりの味方につけることができるんです。
たとえば、ヘルシースナッキングという食習慣がアメリカで注目されています。こまめに間食をすることで、空腹の状態をつくらずに、食べすぎを防ぐという考え方です。
── 食べたほうが健康にいいなんて、うれしいですね!
工藤先生:空腹を我慢しすぎるとドカ食いの原因になり、内臓に負担もかかります。急激に血糖値が上がるために糖尿病や肥満のリスクも高まります。
とはいえ、現代人の多くはカロリー過多の食生活なので、お腹が空いていないのに、健康に良いからとあえて間食をする必要はないと私は考えます。空腹を我慢しすぎてドカ食いをするくらいなら、小腹が空いたときに間食をするほうが良い、くらいに考えたほうがよいでしょう。
間食チョコレートの最適な食べ方とは
── では、小腹が空いたときに、何を食べるのが良いのでしょうか?
工藤先生:砂糖がたっぷり入ったケーキ類や、酸化した油で揚げたスナック菓子などは避けましょう。体に活性酸素が増えて、肌のシミやシワなどの老化の加速や生活習慣病の原因となります。
私がおすすめするのは、チョコレート、ナッツ、寒天の3つです。チョコレートには、カカオポリフェノールが豊富に含まれています。カカオポリフェノールには活性酸素を抑える抗酸化作用があり、食物繊維も豊富に含まれていることから、腸内環境を整えて便秘の改善・予防も期待できるでしょう。
チョコレートは、カカオが70%以上含まれたハイカカオ(高カカオ)チョコレートを選ぶことが大事。一般的なチョコレートはカカオが30〜40%程度なのに比べて、カカオ成分が多いうえに砂糖や乳脂肪分が控えめです。
── 1日にどれくらいの量を食べられますか?
工藤先生:1日25g程度で、大きさによりますが板チョコ1/2枚程度になります。カカオポリフェノールは水溶性のため、徐々に体外へと排出されていきます。そのため、一気に食べるのではなく、数回に分けて食べましょう。
食前と食間に食べるのがおすすめです。カカオポリフェノールには血糖値の上昇を抑える効果もあることから、血糖値を安定させて眠気やだるさを防いでくれます。
ナッツは「脂質は高いけれど」栄養いっぱい
── ナッツがおすすめということですが、けっこうカロリーが高いのではないでしょうか?
工藤先生: 脂質は高いのですが、ナッツの脂質の多くは「不飽和脂肪酸」です。中性脂肪やコレステロール値の改善が期待されているため、積極的に摂りたい油なんです。
また、ビタミン、ミネラルも豊富に含まれています。なかでもビタミンEは「若返りビタミン」といわれていて、活性酸素を除去したり、血液をサラサラにする効果も期待されています。ホルモンバランスを整える働きもあり、月経不順や更年期障害といった女性のからだの不調にも役立つとされています。
── とくに女性にはうれしいことばかりですね。ナッツは腹持ちもいいですし、小腹が空いたときには積極的に食べたいです。
工藤先生: ナッツの1日の適量は25〜30g程度で、片手の手のひら1杯分です。チョコレートと同様に食物繊維も豊富ですし、血糖値の上昇を防いでくれます。2つを組み合わせたアーモンド入りのチョコレートなんかも間食にはぴったりですね。
3つ目の寒天も食物繊維が豊富で、低カロリーなのが魅力。お腹も満たせて食物繊維もとれるのは、ダイエット中の強い味方ですね。チョコレート、ナッツ、寒天のいずれもコンビニなどで手軽に入手できます。せっかく間食をするのなら、体が喜ぶ栄養が含まれた食べ物を選んで健康な体づくりをしていきましょう。
PROFILE 工藤あきさん
消化器内科医・美腸・美肌研究科。一般内科医として地域医療に貢献する傍ら、腸活×菌活を活かした美肌・エイジングケアにも尽力。テレビ、本、雑誌などメディア出演多数。2児の母。
取材・文/大浦綾子