ビタミンCを体内に取り込むなら、食べ物から?それとも化粧品から?医師の工藤あきさんに話を聞きました。

 

医師も勧めるビタミンCが取れる食べ物3選

いま人気のビタミンC配合化粧水の効果のほどは?

── 先生は内科医の観点から、美肌やエイジングケアの治療を行なっていらっしゃいます。そのためには食べものから栄養補給をすることが大事だといわれていますが、それ以外に方法はないのでしょうか?

 

工藤先生:というと、例えば、ぬり薬や化粧品のような?

 

── はい。コンディションの悪い肌の部分にぬることで栄養を直接的に届けられれば、早く治りそうな気がするのですが。最近はビタミンC配合の化粧水などが人気で、多く出回っていますよね。

 

工藤先生:たしかに、食べ物から胃や腸、全身の毛細血管を経由しなくても、肌のコンディションの悪いところに直接、栄養を送り込めたら効率的かもしれません。

 

しかし残念ながら、多くの成分は、肌に塗っても皮膚の奥深くの組織まで到達することができません。真皮まで入っていくには分子量(サイズ)が大きすぎるためです。人間の皮膚は、外部からいろいろな成分が簡単に入らないようにできているのです。

 

── ふだん使う洗剤や薬品が、簡単に皮膚の奥にまで浸透したら、簡単に使えなくなってしまいますよね。

 

工藤先生:美容クリニックの治療ではより効果を高めるために、点滴や皮膚に細かい穴を開けて有効成分を入れる施術があるのはこうした理由からです。

 

最近では研究が進み、機能性化粧品などでもビタミンC誘導体のようにビタミンCの浸透を高める工夫がされているものもあります。しかし、一般的な化粧品では、肌を外側からカバーしたり、保湿したりすることはできますが、内側にまで栄養を送り込むことは難しいのです。

医師がふだんからしているビタミンC対策

── やはり栄養で食事やサプリを摂りながら、美肌を目指すことが大事なんですね。一番大事な栄養といえば何でしょうか?

 

工藤先生:タンパク質、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養をバランスよく摂ることがもちろん基本ですが、やはり美肌の定番といえばビタミンCです。

 

── ビタミンCには、どのような効果が期待されるのでしょうか?

 

工藤先生:紫外線対策はいまや季節を問わず必要ですが、ビタミンCには、シミやそばかすの原因となるメラニンの生成を抑える効果があります。さらに肌の中でつくられてしまったメラニンを脱色する美白作用も期待されています。

 

私自身、なるべく直射日光を避けたり、日焼け止めや日傘で紫外線を浴びない対策はもちろん、食事やドリンクでビタミンCをしっかり摂るように心がけています。

 

── 外側と内側、両方からの紫外線対策が大切なのですね。

 

工藤先生:さらにビタミンCは、皮脂の分泌をおさえたり、毛穴を引き締める効果も期待されています。また、体内でコラーゲンが合成されるときに欠かせない存在でもあります。

 

コラーゲンが不足すると、皮膚の弾力やハリが失われて、たるみの原因となります。コラーゲンは骨や血管などあらゆる組織を構成するために大事な成分なので、美肌だけでなく、健康な体を維持するためには、ビタミンCは必要になっているんです。

加熱しても「ビタミンが失われにくい」野菜がある

── ビタミンCを効果的に摂るポイントを教えてください。

 

工藤先生:ビタミンCは、レモンやキウイ、アセロラ、いちごなどのフルーツや、赤ピーマンやブロッコリー、ゴーヤなどの野菜に多く含まれています。ビタミンCは水溶性ビタミンなので水に溶けやすく、加熱すると失われやすい性質があります。調理の際には、洗いすぎない、茹ですぎない、スープなどで煮汁ごと食べるのがポイントです。

 

とくに赤ピーマンやゴーヤは熱に強く、加熱してもビタミンが失われにくいため、炒め物でも十分に摂取することができます。

 

── 1日にどれくらいのビタミンCを摂取すれば良いのでしょうか?

 

工藤先生:日本人の1日あたりの摂取量は 成人の場合、100mgは摂るように推奨されています(※)。上限はありません。水溶性ビタミンなので、余分に摂っても尿となって排出されるためです。ただし、人によっては過剰摂取で、吐き気や腹痛が起こることもあるので注意が必要です。

 

また、尿になって出ていくため、体内に一度に大量摂取してもあまり意味がありません。食事やサプリメントなどでこまめに摂取して、美肌&健康なからだづくりを目指しましょう。

 

PROFILE 工藤あきさん

消化器内科医・美腸・美肌研究科。一般内科医として地域医療に貢献する傍ら、腸活×菌活を活かした美肌・エイジングケアにも尽力。テレビ、本、雑誌などメディア出演多数。2児の母。

 

取材・文/大浦綾子

※:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」