「外で働いている夫が羨ましく見えた」と語るトレンディエンジェル斎藤さんの妻・しゃんさん。第一子を出産後、夫とのコミュニケーションで考えた日もあったようで──。(全5回中の2回)

夫の掃除機かけにもイライラしていた

── 2018年に第一子を出産されました。妊娠が分かったとき、旦那さんはどんな反応をされましたか?

 

しゃんさん:妊娠についてはすごく喜んでくれたものの、”父親になる”という実感は、まだ湧いていなかったように思いました。私がベビーグッズを買った話をしたり、赤ちゃんの様子を話しても、夫は「へー」というだけ。「もうすぐ父親になるんだよ?わかってる?」と不安になって思わず言ってしまったほどです。

 

── 初めての妊娠、出産は大変だったのでは?

 

しゃんさん:妊娠中は体調がすぐれないことが多く、ソファで横になることもありました。何もやる気が起きず、気分も不安定だったと思います。夫が気をつかってか、掃除機をかけたり、食事の準備をしてくれました。でも、そんな夫の姿が家事をやっていない自分への当てつけのように感じてしまって、「あとでやるからやらないで!」と、つい怒ってしまったこともあります。いくらマタニティーブルーで神経質になっていたからとはいえ、申し訳ないことをしたなと反省しています。

 

トレンディエンジェルの斎藤さん
お宮参り ブルーのスーツで息子さんを胸に抱いて

── 第一子の出産では、深夜に破水されたそうですね。

 

しゃんさん:午前2時過ぎ、突然自宅で破水して病院に行きました。夫が出産に立ち合って、子どもが生まれる瞬間をビデオに収めてくれました。夫は感動して泣くというより、どちらかというと驚いたような表情で「ああ、すごいー!」と…! 出産の瞬間があまりにも神秘的だったことに驚き、そのあとじわじわと感動が広がってきたようでした。

 

── 退院されるまで、旦那さんは毎日病院に寝泊まりして仕事に通っていたそうですね。

 

しゃんさん:仕事が終わるとすぐに病院に駆けつけて、夜中も子どもにミルクをあげたりおむつを替えたりしてくれました。生まれたばかりの我が子の世話は、思った以上に大変だと実感したらしいです。父親である自分が手伝わなければと、毎日頑張って病院に通ってくれました。そんな夫の姿を見て、子どもをかわいがってくれているんだと実感できました。

産後、まるで社会と断絶された感覚に

トレンディエンジェルの斎藤さん
息子さんを抱き抱える斎藤さん テレビではみないパパの表情

── お子さんを迎えての新生活はいかがでしたか?

 

しゃんさん:赤ちゃんはすごくかわいくて大切な存在。そう思いつつも、睡眠不足だし、一日に何度も泣く我が子を見て、思っていた以上にお世話が大変だと思ってしまったことも。他のママと比べて私は子どものことを十分にお世話できているのか、母親失格かもと思って落ち込んでばかりいました。

 

産後1か月が経った頃だったと思います。ある時、仕事から帰ってきた夫に、「一日中、子どもと一緒にいられていいよね」と言われたことがあって。すごくショックでした。夫は、自分も子どもと一緒にいたくても仕事に行かなければならない。でも私は一日子どもと一緒にいられるからいいね。そんな思いで出たひと言かもしれません。

 

── しゃんさんには、旦那さんはどう見えたのでしょうか?

 

しゃんさん:夫は仕事とはいえアミューズメントパークにでかけたり、テレビで活躍したりと、毎日がとても充実してるように見えたし、羨ましくもありました。仕事で輝いている夫に対して、自分は毎日子どもと家で2人きり。まるで社会と断絶されたように感じることもありましたね。

 

そこで、モヤモヤした気持ちを思いきってブログで書いてみたところ、思った以上にたくさんの方からコメントをいただきました。中には辛辣なコメントもありましたが、「私だけじゃないんだと思えました」という共感のDMを送ってきてくださる方もいて。そういった皆さんの声に私自身も救われました。

コロナ禍で子育てにも変化

── 産後の憂鬱な気分は、その後、回復してきたのでしょうか?

 

しゃんさん:子どもが生まれてから最初の数か月は、慣れない子育てで、日々、不安になることもたくさんありました。たとえば、子どものミルクを作るのにミネラルウォーターを使っていいのかなど、一つひとつのことにとても神経質になり、夫にも意見を聞いていたほどです。夫は、しっかりと話を聞いてくれたうえで大丈夫だよと声をかけてくれたので、夫のおおらかな性格にずいぶんと救われて、徐々に気持ちも落ちついていったと思います。

 

── 旦那さんは今も子育てに積極的に関わっているのでしょうか?

 

しゃんさん:普段から積極的に子育てに関わっています。でも、子育ての大変さを本当の意味で実感したのは、コロナ禍が大きかったかもしれません。朝から晩まで1日家にいることが増えてからですね。

 

それまでは、夫が子どもを目にするのは、夜寝る直前のかわいい時だけ。でも、24時間自宅で子どもの面倒を見るようになったことで、どんなに自分が疲れていても子どもが泣いたら抱っこしなければいけない。哺乳瓶は使うたびに洗わなければいけない。子どもを見てかわいいと思うだけじゃない大変さを、改めて実感したのかもしれません。

 

PROFILE しゃんさん

福岡県出身。トレンディエンジェル斎藤司さんの妻。ブログ「斎藤さんの家族だぞ!」にて発信中。

 

取材・文/間野由利子