小学2年生の女の子のママである中山エミリさん。夫に「口うるさいママ」と思われても、「社会で生きるうえでの最低限のルールやマナーは教えておきたい」と日々の育児に奮闘しています。(全3回中の1回)
子育ては「小学生になると楽」と言われたけど
── 現在、7歳になる娘さんの子育てに奮闘されているとのこと。どんな毎日を過ごしていらっしゃいますか?
中山さん:幼稚園時代、先輩ママから「小学生になると、学校に行っている時間も長いから、だいぶ楽になるよ」と聞いていたのですが、いざ小学校に上がったら、学校の準備や宿題、習い事の送り迎えなど、やることがグッと増えて。「あれ?この忙しさっていつまで続くんだろう」と感じています(笑)。気づくとあっという間に1日が終わっていますね。
── 今は、どんな習い事をされているのでしょう?
中山さん:バレエと新体操に通っています。新体操は、オリンピックの競技を一緒に見るうちに、キラキラとした衣装に心を奪われて「これをやってみたい!」と。たまたま家の近くに教室があったので体験に行ったら、すごく楽しかったようで、習い始めました。最近は、子どもと一緒にミュージカルを観にいくのが、親子の楽しみになっています。
ミュージカル鑑賞で身につく“場にふさわしい振る舞い”
── ミュージカルを一緒に楽しまれているのですね。お子さんを最初に連れて行ったのはいつ頃ですか?
中山さん:子どもが年少のときに、劇団四季の「ライオンキング」に連れていったのが、初デビューです。最初は、小さな子どもが2~3時間もおとなしく座っていられるか少し心配で、「周りが真っ暗になってから大きな音がするからね」とか「舞台が始まったらおしゃべりはしないようにしよう」など、最低限のマナーを伝えてから行ったのですが、いざ舞台が始まったら、夢中になって静かに観ていました。
その後は、子ども自身が周りを見ながら、その場にふさわしい振る舞いとして、幕が上がったらおしゃべりをやめたり、1曲歌い終えた役者さんに拍手を送ったり、スタンディングオベーションをしたり。自然とマナーが身につくいい機会になっているみたいです。
チラシを見ながら、「ママ、次はこれを観ようよ」とリクエストしてきます(笑)。
── 感動した体験を通じて、子どもが自然とマナーを学べるのというのは、理想的です。しかも、ママにとっても、息抜きできる時間になるのもいいですね。ミュージカルや舞台は、ちょっとおしゃれをして出かける場所だったりしますし。
中山さん:そうなんです。珍しくお化粧をしたりして(笑)。生で本物の歌声を聞くことができるのは、すごく贅沢な時間だなと思いますし、心が満たされます。
子どもが行くと、カーテンコールで手を振ってもらえたりするのですが、それがすごく嬉しいみたいですね。「美女と野獣」を観に行ったときに、娘がベルのコスプレをしていったら、カーテンコールでベルが手を振ってくれた!と大興奮。そうしたコミュニケーションがあるのも、舞台を観に行く醍醐味だと思います。
勉強などの知識は後から身につくけれど
── 子育てにおいて、心がけていることはありますか?
中山さん:社会で生きるうえでの最低限のマナーやルールは、きちんと教えておきたいという思いがあり、ものごころついたころから、事あるごとに伝えてきました。
しつけに関しては「子どもだから仕方ないよね」という発想はせず、ダメなものはダメ。変に子ども扱いせず、なぜそれをしてはダメなのか、それをすることで、周りの人がどんな迷惑をこうむって、どんな気持ちになるのかと、大人に説明するのと同じように、順序だてて伝えます。
── それはなぜですか?
中山さん:そのほうが、子どもが自分自身で考えるようになってくれるかなと思うからです。あまり子ども扱いすると、「ママに言われたから」とやらされ発想になるだろうし、物事によっては、「自分はもうお姉さんなのに…」と自我が芽生え始める年齢でもあるので、大人と同じように説明してもいいのではないかなと思っています。子どもがどう感じているかは分からないのですが…。
ただ、夫には「口うるさいママ」だと映るみたいで、「そんな細かいことを言わなくても…」と言われたりします。
── たとえば、どういう場面でしょう?
中山さん:習い事に行かなきゃいけないのに、子どもが何度注意してもグズグズしているので、「自分でやりたいと言った習い事にいくんだよね?それなら約束の時間を守らなくてはいけないよね?」と、“いい加減にしなさい”モードになっているところに、ことの経緯を知らない夫が現れて、「そんな口やかましく言わなくても…」と言われると、“こっちはさっきから何度も言っているんだけど”とちょっとイラっとしたり(笑)。
── “夫婦あるある”ですね。
中山さん:そうかもしれないですね。娘も、そういうときは、「パパ~」と助けを求めます。言葉の最後にハートマークがついている感じ。パパと娘がラブラブで、私は蚊帳の外です(笑)。
ただ、勉強などの知識は、後からいくらでも身につけられるけれど、マナーやルールといった習慣は、日々のなかで蓄積されていくものだと思っていて。いったん悪い習慣が身についてしまうと、それを直すのは大変ですからね。
親としては、できれば、周りの人から愛される人になってほしいという気持ちがあります。そのためには、社会のマナーやルールをきちんと守れること、周りの人ときちんとコミュニケーションが取れる、相手に対して思いやりの心が持てることが、大事な要素になると思うので、ちょっと口うるさいママかもしれないけれど、最低限のマナーやルールは、今のうちに教えておきたいと思っているんです。
産後3か月は余裕がなくモヤっとしたことも
── 子育てをめぐって夫さんと意見がぶつかることはありますか?
中山さん:彼は幼少期から子育てに協力的だったので、あまりぶつかった記憶はないですね。子どもの夜泣きが激しい時期も、なんなら私よりも先に夜泣きに気づいて、子どもをあやしているほど。すごく助かりました。
ただ、子どもが生まれて3か月くらいまでは、彼に対してモヤっとしたことが。私は、家のなかにこもりきりで、一日中子どもと向き合ってぐったりしているのに、夫は友人たちに出産のお祝いの会なんかを開いてもらって、シャンパンをもらって上機嫌になっている。「いやいや、頑張って産んだの、私だから!」という感じでしたね(笑)。
今なら、「お祝いしてもらってよかったねえ。みんなにお礼しなきゃね」と思えるのですが、当時は余裕がなかったですね。
── プロライフセーバーの飯沼誠司さんとの結婚は2010年。仲の良いご夫婦という印象がありますが、夫婦円満の秘訣はありますか?
中山さん:どうでしょう。お互い、あまり記念日だったり、2人で過ごすということにこだわりがないタイプなんです。この間なんて結婚記念日を忘れていて、周りから「おめでとう」と言われて、初めて気づいたくらい(笑)。特に夏の期間は、夫はライフガードで各地を飛び回って家にほとんどいません。生存確認はしますが(笑)、あまり細かく把握はしていないですね。
── なかなか家にいる時間が少ないと、家事や育児の分担は難しそうですね。
中山さん:それはもうあきらめています。過度な期待はしないほうがストレスも少ないので、あえてルールは作らないようにしています。ルールを作ると、達成できなかったときに「ああ、ダメだった…」と自分でも落ち込んでしまいそうですし。それなら、何も決めずにいるほうがいいよねというのが私たち夫婦のスタンスです。
PROFILE 中山エミリさん
1978年、神奈川県生まれ。1994年、15歳で芸能界にデビュー。ドラマやCM、2000年代にはバラエティ番組の司会としても活躍。2010年、プロライフセーバーの飯沼誠司さんと結婚。2015年に出産。現在7歳の女の子のママ。
取材・文/西尾英子 画像提供/中山エミリ