夏といえばすいか!野菜ソムリエプロとしても活躍する、すいか農家・株式会社EDENの我妻さんに「種が簡単に取れるすいかの切り方」を教えていただきました。
すいかの種はどこにできる?
──「すいかは好きだけど、正直、種を取るのは面倒…」と思っている人もいると思います。そんな人におすすめの「効率的な種の取り方」はあるのでしょうか?
我妻さん:1玉のすいかの種をなるべくラクに取りたいなら、最初の包丁の入れ方が重要です。すいかの縞模様に対して、垂直に包丁を入れて半分に切ってください。すいかを上下に切り分けるイメージです。
すいかの断面を見ると、水分や養分を運ぶ「繊維束」と呼ばれる筋があり、その周囲に種が集中しているのがわかると思います。種と種を繋ぐようにして包丁を入れると、カットした断面にすいかの種が出るので、食べるときに種が取りやすくなります。
── すいかの種の並びを知ることが重要なんですね。では、すいかの甘さを均等に分けつつ、種を効率的に取りたいときはどうしたらいいのでしょうか?
我妻さん:すいかは中心部分が甘いので、そこをいかに平等に切り分けるかということがポイントです。
単に甘さを均等に分けるだけなら、まず丸い状態のすいかを縦縞模様に沿って半分にカット。それをくし形切りで8等分します。次に果肉の中心の甘い部分を起点にして皮に向かってカットします。多くの方がこのカット法をされているのではないかと思います。ただ、この方法では、種は取りづらいです。
種の取りやすさを考えるならば、先ほどご紹介したすいかの縞模様に対して垂直にカットする方法をした後、果肉の中心の甘い部分を起点にして、種の上を通るようにして皮に向かってカットすれば、種を効率的に取りつつ、甘い部分も平等に切れます。
── すいかと言えば、大勢で食べる機会もあるかと思いますが、そんなときに重宝する究極の食べやすいカット方法はありますか?
我妻さん:「スティックカット」ですね。うちの農家で収穫体験をする大勢の子どもたちにすいかを振舞うときの切り方です。まず半分に切り、あとは格子状に切って、すいかをスティック状にします。これなら持ちやすく手軽に食べられるのでおすすめです。中央部分に近いほどすいかの果肉量が多くなりますが、子どもはすいかの好き嫌いがあるので、好みに合わせて量が選べるのもちょうどいいと思います。
── 農家さんのおうちでは普段どのように食べることが多いのですか?
我妻さん:栽培の途中で、良質なすいかをつくるため間引きをします。農家ではそんな間引いたすいか「摘果すいか」を食べることもあるのですが、まとめてキムチ漬けやからし漬けにしておきます。すいかの試し割りですいかを切ってみることも多いので、ブロック状にカットしておいて、水分補給がてら休憩のときにみんなで食べています。ひと口大に切って、種をある程度取っておけば冷凍も可能です。スムージーにもおすすめです。
── すいかの皮も実は食べられると聞いたのですが。
我妻さん:実はすいかは皮も食べられます。外のかたい皮以外は廃棄するところがほとんどない果実なんです。すいかはウリ科で、野菜の部類としては「果実的野菜」とも言われており、料理にも重宝します。硬い外側だけ少しピーラーなどで薄く落としてあげれば、あとはお好みの切り方で炒め物にしたり、煮物にしたり、ぬか床に漬けて漬物にしたりと楽しめます。低カロリー食材なのでダイエットにもおすすめです。ぜひいろいろな方法を試してみてください。
PROFILE 株式会社EDEN 笑伝すいかの我妻さん
山形県米沢市の農家、株式会社EDENの野菜ソムリエプロ。すいか農家で野菜&お米も栽培。「農業と食卓の未来をより豊かに!」をテーマにインスタグラム(@eden_asuka)で野菜の栄養素や保存の豆知識を発信中。
取材・文/加藤文惠 画像提供/株式会社EDEN