父・関根勤さんとふざけるのが大好きだったという関根麻里さん。ふざけすぎているとよく母に止められたそう。自身が育児するなかで気づいた、当時の母親の気持ちとは。(全4回中の3回)
父は情熱担当、母は冷静担当
── 愉快な関根家ですが、お母さまはどんな方なのでしょうか?
関根さん:父は情熱担当、母は冷静担当。私がこのように育ったのは母が家庭で情熱と冷静のバランスをとってくれたのが大きかったと思います。
お尻を叩きながら踊る「ケツケツダンス」は関根家のコミュニケーション手段ですが、子どものころは「ケツケツダンス」をやる父は楽しい人、母はそれを止める面白くない人、と思っていました。ふざけすぎていつまでもお風呂に入らないと、母が「そろそろやめなさい」と止めるんです。だから「こんなに楽しいのに止められちゃった!ラスボス出てきた!」って思っていました。
でも母は、「ケツケツダンス」をする父と私をすぐには止めず、しばらく見て楽しんでいたはずなんです、一緒にやってはいませんでしたが(笑)。私が気づかなかっただけで、実は母も当時から相当面白い人だったんだろうなと思います。
関根さん:父と結婚したくらいですからね。今は「そろそろやめて寝なさい」と言った当時の母の気持ちが理解できますし、家庭内でのバランスをとってくれていたことに感謝しています。
野菜嫌いの娘にかつての自分と母を重ねる
── ほかにも、お母さまの当時の気持ちがわかる場面があるとか。
関根さん:食事ですね。娘たちは揃って好き嫌いが多くて…。特に長女の野菜嫌いには苦戦しています。餃子が好きでよく食べてくれていたので、チャンスだと思い野菜を入れていたのですが、最近は餃子作戦もあまりうまくいかなくなってしまいました。
私自身も好き嫌いがものすごく多かったので、娘の気持ちもわかるのですが、同時に当時いろいろ工夫してくれていた母の気持ちもわかるようになりました。
実は、父も子どものころは好き嫌いがひどくて、給食はつねに放課後まで居残りで、いつも先生とのバトルだったという話をたくさん聞きました。食べる、食べない、帰る、帰らないみたいな(笑)。
父と私の経験も踏まえて、トラウマになるくらいなら無理をさせちゃいけないという思いもあり、食べられるものを食べればいいって感じにしています。大人になったら自然と食べられるようにもなるし、実際私も、今はほとんど好き嫌いはありません。もちろん母が頑張ってくれていたおかげもあります。娘たちとは、そのうち食べられるようになるよ、っていうくらいの姿勢で向き合っています。
そうは思っていても「あーーー!」ってなるときはありますけどね。子育てはそんなことの連続です。
母の発案でインターナショナルスクールへ進学
── 関根さんがインターナショナルスクールに通うことになったのはお母さまがきっかけと伺いました。
関根さん:母が英語を話せて、海外の友達も多く、その友達の子どもと自分の子どもが仲良くなれたらいいよね、ということで英語が話せるようにという気持ちはあったようです。母の発案で、父も「いいね!」とインターナショナルスクールに通うことになりました。
── インターナショナルスクールからアメリカの大学へ。多様な世界に触れられたと思いますが、そうした経験は教育方針に反映されたりしていますか?
関根さん:娘たちには、いろいろなことを感じながら、自分自身で考えて、導き出すようになってほしいと思っているので、偏見を与えないように意識しています。
例えば、「女の子だから足を閉じなさい」などは言わないようにしています。言うとしたら「スカートのときは膝を開くと下着が見えちゃうから閉じようね」と理由を添えるようにしています。
逆に理由がない場合は「あれ…?」って立ち止まります。最近は、子どもへの接し方を通してアンコンシャスバイアス(無自覚な偏見)に気づくことが多いですね。
── インスタでヘアドネーションされた投稿も拝見しました。病気や不慮の事故で髪の毛を失った人に自分の髪の毛を提供する活動ですが、どういった経緯で?
関根さん:長女はもともと髪を伸ばしていましたが、ブリッジや側転にハマってからは「髪が邪魔になるから切りたい」と言うようになりました。私は過去にヘアドネーションをしたことがあったので、その話をしたら、興味を持ってくれたんです。
素敵なアイデアに賛同して髪を切ったのですが、本人が思っていたより短くなってしまったようで、最初は「結べないな…」とも言っていたけれど、新しい髪型も気に入っているようです。「今は結べないけど、髪はまた伸びるから!」って笑っています。
娘の友達やママ友との会話でもヘアドネーションが広まっていくのを実感しています。そうやって広がっていくのはとてもいいことだなと思っていますし、私もまた伸ばしてヘアドネーションする予定です。
PROFILE 関根麻里さん
東京都出身。1984年生まれ。幼稚園からインターナショナルスクールで学び、2006年に米国エマーソン大学を首席で卒業した後、日本へ戻り芸能界デビュー。2014年に歌手のKさんと結婚し、現在は2児の母でもある。テレビ、ラジオ、ナレーション、絵本翻訳などマルチな才能を活かし幅広く活躍中。
取材・文/タナカシノブ 画像提供/関根麻里