「父の“クドい”舞台を涙を流しながら笑ってくれたのがうれしかった」夫についてそう話す関根麻里さん。韓国出身の歌手・Kさんとの馴れ初めから、結婚生活までを聞きました。(全4回中の2回)
笑いのツボにはまった「5本指ソックス」
── 2014年に韓国出身の歌手・Kさんと結婚。出会いのきっかけは?
関根さん:山寺宏一さんと一緒にやっていたラジオ番組の公開生放送のゲストとして夫が出演したのがきっかけです。そのときすでに父とは共演済みだったそうです。すごく礼儀正しくて、爽やかで、歌も素敵で、フレンドリー。すごく楽しく盛り上がった放送でした。山寺さんとも「素敵な方だったね」なんて話したのをよく覚えています。その後、ライブに招待してもらい、近所に住んでいることもわかったりして、友達と一緒にご飯を食べに行き仲良くなりました。
── 結婚を意識したのはいつごろですか?
関根さん:わりとすぐに仲良くなって、自然体でいられるし、居心地がよくて楽しくて。今回、出会いのころについてもインタビューしていただくということで、何かエピソードがあるかなと夫と話していたのですが、いまだに言われるのは初デートでの5本指ソックスです。
── もう面白い単語が並んでいますね(笑)。
関根さん:お店で靴を脱いだら私が5本指ソックスを履いていたのが衝撃だったと夫は話しています。私にとってはいつも通りで、ごくごく普通のことなのに、夫は「初デートで5本指ソックス!?」ってなったそうです。でも「初めて見た」と言いながら笑い合えるのがいいなって。本当にありのままの自然体でいられるってこういうことだなと思いました。
私にとって笑いのツボはとても重要です。父がやっている「カンコンキンシアター」というクドい、お笑いの舞台公演があるのですが、私も出演していて、おつき合いしているころに観に来てくれました。そこで、大笑いしている夫を見て「大丈夫だ」って思いました。私が言うのもなんですが、あの独特の笑いを受け入れてくれる、涙を流しながら「サイコー」と言ってくれたことがすごくうれしかったんですよね。
私にとって大切なものを共有できることがすごくうれしかったし、私が尊敬する舞台を「僕もすごく尊敬する」と言ってくれたことは大きかったです。
ぬるぬるピラミッドで義母と盛り上がって
── 笑いのツボが合うっていいですよね。
関根さん:笑いのツボに関しては義母とのエピソードもあります。おつき合いしているころ、初めて義母と会ったときの話なのですが、彼が仕事で出かけ、私と義母の2人きりでテレビを観ることになったんです。そのときに観たのがバラエティ番組「リンカーン」。ぬるぬるピラミッドっていうローションまみれの階段を芸人さんたちがのぼるというシーンが流れて、「気まずくなるかな」と心配しましたが、義母は大声を出して笑っていて安心しました。
その後、韓国に行ったときには、義母と夫と私3人で映画『ハングオーバー2』を観て大爆笑。下ネタ満載でちょっとどうしようと思ったら、義母も夫も涙を流して笑っていて、もちろん私も一緒に楽しみました。
── 結婚式の気まずい感じも描かれる映画ですよね…。
関根さん:ですよね(笑)。父の毒舌やブラックな部分を存分に出している舞台も笑ってくれて、バラエティ番組や映画も共感して楽しめる、わかり合える感覚が「ずっと一緒にいられる、いたい」と思えるきっかけになったと思います。
子どもたちはトリリンガルに!?
── 関根さんもKさんもバイリンガルですが、お子さんたちの語学教育はどのような方針ですか?
関根さん:日本語、韓国語、英語を話せるようになって欲しい、目指せ!トリリンガルというのはあります。
話せる言語が増えればより多くのコミュニケーションが取れるし、世界が広がります。「友達と一緒に遊びたい」「先生と話したい」という思いから、生活のなかで必要な言葉が楽しく身についていったという自分の経験があるので、子どもにも楽しく学んでほしいなと思っています。
実は、幼少期にインターナショナルスクールで英語を学んだときと大学でスペイン語を学んだときとでは身につきかたがまったく違いました。学問として文法から学ぶことも大切だと思いますが、まずはカタコトでもいいから「伝えること」の楽しさを知ってほしいなと思っています。
── 笑いのツボが合うというお二人ですが、Kさんは、父・勤さんのように子どもとふざけることはありますか?
関根さん:寝かしつけで子守唄を歌っているときに、ミュージシャン魂に火がついたのか、ウクレレをかき鳴らして歌い始めることがありました。子どもたちも「ワーイ!」って盛り上がって、ノリノリ状態。もちろん楽しい思い出だけど、寝かしつけはもっとゆっくりとした歌で…とお願いしたことはありますね。
── おうちでは、英語、韓国語、日本語の絵本を読むのでしょうか?
関根さん:いろいろ読みます。この間、発見したのは「韓国のメロディの速さ」。ボタンを押すと「ABCの歌」が流れる絵本があるのですが、日本語バージョンも英語バージョンもゆったりとしたメロディなのに、韓国語バージョンは倍速なんですよ(笑)。お誕生日の歌とかにもそんな傾向があります。夫が「韓国人はせっかちだな」って大笑いしていました。
── Kさん自身からせっかちさを感じたことは?
関根さん:実は、私がかなりせっかちで、倍速の韓国バージョンを上回るせっかちなんです。
── 確かにインタビュー中の関根さんも早口でネタがたくさんです(笑)。
関根さん:そして、父・勤はキング・オブ・せっかちです(笑)。だから、せっかちが標準なんですよね。もしかしたら夫もせっかちなのかもしれないけれど、私たちがせっかちだから気づかないだけかもしれません。
PROFILE 関根麻里さん
東京都出身。1984年生まれ。幼稚園からインターナショナルスクールで学び、2006年に米国エマーソン大学を首席で卒業した後、日本へ戻り芸能界デビュー。2014年に歌手のKさんと結婚し、現在は2児の母でもある。テレビ、ラジオ、ナレーション、絵本翻訳などマルチな才能を活かし幅広く活躍中。
取材・文/タナカシノブ 画像提供/関根麻里