今回は、友達の言葉に傷つくお子さんを心配する親御さんからの相談に、教育家・見守る子育て研究所(R)所長の小川大介先生がアドバイスします。

【Q】「じゃ、友達やめるね」と言われた娘

小学3年の娘を育てています。娘はとても仲のいい友達ができ、登下校も一緒で、学校でも授業の合間に交流し、下校後もたびたび遊んでいるようです。ふたりともとても仲がいいのですが、その友達の口癖が「じゃ、友達やめるね」。何かその子が気に入らないことがあるとすぐにそう言ってくるそうです。

 

娘はその言葉をスルーできず、また、友達をやめたくないので、本気で「嫌だ!なんでそんなことを言うの」と毎回言っているそうですが、全然聞き入れてくれないよう。といっても、その友達も本気で友達をやめるわけではなさそうです。親としてどうしたらいいかなあと静観しているうちに半年過ぎました。「また今日も言われちゃった…」と娘は本気でしょんぼりしています。親としてどうしたらいいのでしょうか?

 

「『友達やめる』と言われて傷つく小3の娘 放っておくと『LINEいじめ』につながる恐れも」(1/7P)
「『友達やめる』と言われて傷つく小3の娘 放っておくと『LINEいじめ』につながる恐れも」(1/7P)
「『友達やめる』と言われて傷つく小3の娘 放っておくと『LINEいじめ』につながる恐れも」(2/7P)
「『友達やめる』と言われて傷つく小3の娘 放っておくと『LINEいじめ』につながる恐れも」(2/7P)

人によって「友達」の意味はまったく異なる

ご相談者様は「友達」という言葉を聞いてどのような関係をイメージされますか。まずは自分なりの定義を考えてみてください。そのうえで、「友達」の意味は人によってまったく違うということを理解しておいていただきたいです。

 

例えば、違う考えを持っていることを前提に理解し合い、信頼して心を開き合える関係が「友達」であると思っている人は多いのではないでしょうか。そうした関係では、時にはけんかもするでしょうし、距離を置こうとしたりすることもあると思いますが、それは理解し合っているからこそできることです。

 

一方、ただ一緒にいる時間が楽しいという関係を「友達」だと思っている人もいます。言葉を選ばずに言うと「都合がいい存在」です。理解し合うことは想定しておらず、楽しみを共有できればそれでいいと思っているので、友達になるのもやめるのも簡単にできる関係性です。

 

つまり、「相手のことをもっと知りたい、もっと自分のことを知ってほしい」と相互理解を望んでいるのかどうかで、「友達」が意味する深さは変わってきます。娘さんは、きっとお互いを深く知っていくような関係を求めているように感じます。一方、おそらくお友達は自分の都合による「友達」なのでしょう。

 

あるいは、ご相談者様から見て、ふたりがお互いに関心を持ち合っている様子でしたら、それは考え方のズレではなく、お友達の言葉の使い方の問題だと思います。その場合、なぜ「友達やめるね」なんて言い方を選ぶのか、大人なりに考えてあげること。

 

お友達は、本当は「自分が感じたのと同じようにわかってほしい」ということを言いたかったけれど、まだ語彙力や表現力が十分ではないために「友達をやめる」という言い方になってしまった可能性もあります。娘さんには、そういった翻訳をしてあげるとよいかもしれません。

 

いずれにせよ、ふたりは共感力や言葉に対する感度の差が大きいように思います。

「自立意識」がないと「いじめ」に巻き込まれる?

この問題は、今後スマホを使い始めた際の「LINEいじめ」などにも関わってくるお話です。

 

LINEは情報交換ツールとしては便利ですが、仲間同士であることを確認するための安心するツールになっている場合は非常に危険です。後者の場合、LINEグループの既読がつかないことなどからつまらないトラブルが起きやすくなります。

 

しかし、自立意識の高い子はそういう問題に巻き込まれたとしても過度に傷つかずにすみます。たとえ自分が仲間外れにされても「その程度のグループなら抜けよう」と友達を選ぶことができるので、いじめをうまくかわすことができます。自分自身の成長に忙しければ、いじめている暇もいじめられている暇もないのです。

 

ところが、自立意識が育っていない子は、仲間外れにされるのが怖いからとLINEにしがみつく傾向があります。娘さんもお友達の言葉に傷つきやすい今の様子のままでは、先々LINEを通じたトラブルに巻き込まれやすいのではないかと心配です。

 

目の前の娘さんが傷ついていてかわいそうだと思うお気持ちもわかりますが、親としては「そんなことに振り回されない自我」を育むという視点に切り替えていきましょう。

 

今、娘さんは年齢的にも、いろいろな人と接触を持ち、自分は人とどう関わりたいのか、誰とつき合っていくかということを考えながら、自立した人間関係を育み始める時期でもあります。将来どんな人になりたいのか、どういう人間関係を大事にしていきたいのかといったことを娘さんが自分なりに考えていけるようなサポートを始めてあげましょう。

 

まずは「友達って何だろうね」「ママはこういう関係をお友達だと考えているけど、あなたはどう思ってる?」と、親子で話し合ってみるとよいと思います。長期の視点で、娘さんの様子を見てあげてください。

 

「『友達やめる』と言われて傷つく小3の娘 放っておくと『LINEいじめ』につながる恐れも」(3/7P)
「『友達やめる』と言われて傷つく小3の娘 放っておくと『LINEいじめ』につながる恐れも」(3/7P)
「『友達やめる』と言われて傷つく小3の娘 放っておくと『LINEいじめ』につながる恐れも」(4/7P)
「『友達やめる』と言われて傷つく小3の娘 放っておくと『LINEいじめ』につながる恐れも」(4/7P)
「『友達やめる』と言われて傷つく小3の娘 放っておくと『LINEいじめ』につながる恐れも」(5/7P)
「『友達やめる』と言われて傷つく小3の娘 放っておくと『LINEいじめ』につながる恐れも」(5/7P)
「『友達やめる』と言われて傷つく小3の娘 放っておくと『LINEいじめ』につながる恐れも」(6/7P)
「『友達やめる』と言われて傷つく小3の娘 放っておくと『LINEいじめ』につながる恐れも」(6/7P)
「『友達やめる』と言われて傷つく小3の娘 放っておくと『LINEいじめ』につながる恐れも」(7/7P)
「『友達やめる』と言われて傷つく小3の娘 放っておくと『LINEいじめ』につながる恐れも」(7/7P)

 

PROFILE 小川大介さん

教育家・見守る子育て研究所(R)所長。京大法卒。30年の中学受験指導と6000回の面談で培った洞察力と的確な助言により、幼児低学年からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。メディア出演・著書多数。Youtubeチャンネル「見守る子育て研究所」。

取材・構成/佐藤ちひろ イラスト/まゆか!