わが家は中高生の子ども2人と私たち夫婦、そして義父母の三世代同居家庭です。家族間で問題になりがちなのが、おこづかいについて。わが家の祖父母からのおこづかい事情は…?

 

「孫におこづかいをあげたい」義父母

「なんで君そんなにお金持ってるの?」

 

お子さんにこう尋ねたことのある親御さんは多いのではないでしょうか。子どもが、おこづかいとして親が与えた以上のお金を使っている気がする…その原因はいろいろと考えられます。何かよからぬことをしているのでは…?と、疑いたくはないけれどつい疑ってしまうこと、私自身も何度もありました。

 

しかし幸い…というべきか、わが家の場合、だいたいの原因は同居の義父母にありました。子どもたちが遊びに行くときや、おやつを探しているときなど、義父母はつい孫可愛さに500円、1000円とおこづかいを渡してしまうのです。

 

もちろん、子どもたちの月ごとのおこづかいは、話し合いで決めた額を毎月親から渡しています。決まった範囲のおこづかいでやりくりするのも大事な勉強ですから、やたらとお金を渡すのはやめてください、とこれまで何度も義父母には釘を刺してきました。子どもたちにも、おじいちゃんたちにおこづかいをねだるんじゃありません!と言い聞かせています。

 

しかし、やはり可愛い孫が「友達と遊びに行きたいけどお金がない…」などとしょんぼりしていると、義父母はどうしても財布を開かずにはいられないようなのです。

 

孫の側もそんな祖父母の情を理解していて、実にちゃっかりと「決して自分からねだったわけではなく、祖父母が自発的に押しつけてきた」ていを演出して、おこづかいをせしめたりしています。これは本当によくありません。

 

義父母からのおこづかいの供与が発覚するたび、話し合いをしてきたのですが、どうしてもこの、孫におこづかいをあげたい欲求というのは根源的なものがあるらしいのです。注意してしばらくは落ち着くものの、ほとぼりが冷めればまた繰り返されるのです。

みんなが満足できるおこづかい制度

そこで、祖父母のおこづかいあげたい欲求と、両親の勝手なことをしてほしくない感情との間の妥協案として、ここ数年わが家で実施されているのが、子どもたちのお手伝い報酬制度です。

 

普段は義父母がやってくれている毎日のお風呂掃除を子どもたちに委託し、報酬を義父母の財布から渡してもらうというだけなのですが、これが案外、上手くいっているのです。

 

報酬は1回当たり100円で、息子と娘のできるほうがやること。土日はお手伝いお休み。週ごとに500円を義父母から子どもたちに渡してもらいます。

 

このシステムの大事なところは月ごとではなく、週ごとにまめに渡してもらうことです。それによって義父母のおこづかいあげたい欲求も満たされるし、子どもたちへの家事教育的な効果もあります。

 

そして両親は、子どもがただお金をもらっているわけではないと精神的に安心できるし、子どもたちは大手を振って自分の稼いだお金を使うことができます。

 

わが家のことながら、なかなか良くできた仕組みになったな、と安堵しているところです。

成長とともに変わる家庭内アルバイトの形

もちろん問題がないわけではありません。子どもたちが成長するにつれ、「あれ…もしかして風呂掃除1回100円では割に合わないのでは…」と気づきはじめたりするのです。たしかに外でアルバイトする時給とくらべればずっと安いのかもしれませんが、私たち親世代の感覚からすれば十分すぎるほどの報酬…と思ったり。

 

このアルバイトも初めのうちは上の息子が担当していたのですが、「俺はもっと稼げる仕事をする」と言い出して、私が仕事でいない日の夕飯作りと片づけ、洗濯の代行を申し出てきました。たしかに私が仕事と家事が手一杯で困っていたこともあり、今では息子が、風呂掃除よりは格段にいい報酬で(それでも安いとは思いますが)請け負っています。

 

そんな風呂掃除ですが、現在のところ、中学生の娘は喜んで担当を引き継いでいます。割に合わないことに娘が気づくのはいつの日でしょうか。

 

子どもたちが家庭内アルバイトを卒業する日もそう遠くはないかもしれない…成長の過程とはいえ、一抹の寂しさを感じるのはきっと祖父母も同じでしょう。

 

文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ