ラグビー元日本代表の山田章仁選手の妻で、コラムニストやタレントとして活躍中の山田ローラさん。ハワイで1男3女の子育てに励んできましたが、今年3月に章仁選手の所属チームがある福岡に移り住みました。双子のお子さんは小学1年生。入学準備にあたり、ハワイのカルチャーとの違いを感じたそうで…?

 

14個のトランクと一緒にハワイから福岡へ移住

── ハワイから福岡に移住することになった経緯について教えてください。

 

ローラさん:そもそもハワイに自宅を買った背景には、夫のラグビー人生が終わったら、家族全員でハワイで暮らしていきたいという計画がありました。当時は「33歳くらいで引退かなあ」と話していたのですが、それから4年経ってもまったく引退する気配がなく(笑)。

 

本当に幸運なことにここまでラグビーができていて、本人も身体的には問題がなさそうなので、やれるところまでやってみたいと思っているようで、だったら私もサポートしたいと。今のチームの契約が2年間あるので、ひとまずその間だけでもと、思いきってみんなで福岡に行くことにしました。

 

彼の実家も福岡にあるのですが、これまで子どもたちは頻繁に顔を出せていなかったので、親戚の方たちにも会ってもらいたいという気持ちもありました。

 

── 引っ越しの作業はスムーズに進みましたか?

 

ローラさん:ハワイの自宅は賃貸に出したのですが、入居する方たちの荷入れが3月半ばだったので、絶対にそこまでには出なきゃいけなくて。慌てて荷造りをして、何とか日本に運び込めたのですが、引っ越しから1か月が経つ今も荷ほどきは終わっていません。

 

もはやテーブルみたいになっているので、このままダンボールとともに生きていこうかと…(笑)。

 

2017年からハワイと日本の二拠点生活を送ってきた章仁選手・ローラさん一家

── お子さんたちを連れてのハワイからのフライトも大変だったのでは…?

 

ローラさん:引っ越しの荷物もあったので、14個のトランクと4人の子どもを連れていて、空港職員の方たちにも「この人、大丈夫?」と好奇の目で見られていました(笑)。

 

子どもたちは飛行機に慣れているのであまり手がかからないんです。一番上の双子は飛行機に乗る手順やマナーも理解し始めていて、真ん中の子も彼らを見て「騒いじゃダメなんだ」と悟ったらしく、大人しく座っていてくれました。

 

子どもたちよりむしろ、荷物を運ぶのが大変でしたね。

 

── 双子のお子さんたちは春から小学生になりました。アメリカでは「キンダーガーデン」に通っていて、すでにお勉強も始めていたそうですね。

 

ローラさん:アメリカでは年長さんにあたる学年の子たちは、キンダーガーデン生として小学校に通い始めるんです。なので基本的な読み書きや足し算、引き算は教わっています。ただ、日本の学校に通うにあたって、言葉の壁にぶつからないかという心配はありました。

 

── 家庭内では主に英語でコミュニケーションを取っているのでしょうか?

 

ローラさん:私は英語で話しかけてしまいますね。特に3番目の子は生まれてからずっとアメリカで過ごしてきたので、英語しかわからないんです。冬休みの間に3週間ほど日本に来ていたのですが、周りが日本語しかしゃべらない環境に不安になったらしく、指しゃぶりをするようになってしまって。殻に閉じこもってしまわないように、日本語をゆっくりゆっくり教えていこうと思っています。

入学式の正装選びでカルチャーショック

── 日本とハワイでは小学校の雰囲気や規則にも違いがありそうですね。

 

ローラさん:ハワイの学校にもある程度、校則はあるのですが、服装や髪型といった自己表現にはとても寛容なんですよね。なので髪を染めようがパーマをあてようが、何も文句を言われないんです。

 

ハワイの学校では制服として規定のTシャツさえ着ていれば、ズボンはショートパンツでもいいですし、足元はビーチサンダルでもよくて。自由なファッションで過ごしてきたので、入学式の洋服を買うにあたって、すでに子どもたちが服装の壁にぶつかってしまって…。

 

── 入学式はカジュアルな服装だと目立ってしまいますよね…。

 

ローラさん:娘は白いワンピースを選んだのですが、「羽織るものが必要だよ」と言ったら、レザージャケットを持ってきたんです(笑)。店員さんにも「ちょっと威圧感が…」とやんわりと止められたのですが、娘は「なんで?すごく可愛いでしょ?」って何の違和感も感じていなくて。

 

一方の息子は髪型にこだわりがあって、サイドを剃り上げた上にラインを入れているのですが、「入学式のときはやめようか」とさすがに引き止めました(笑)。

 

晴れて双子のこうちゃんとさっちゃんの入学式に臨んだローラさん一家

── 二人ともオシャレさんですね!ハワイと日本では授業の進め方にも違いがあるのでは?

 

ローラさん:ハワイの学校は生徒が主体的に発言することをよしとしていて、質問をたくさんしたり、自分の考えを伝えたりなど、ディスカッションのような授業も多いんです。

 

ただ、日本の学校だと先生の説明を聞いて問題を解いたり、ノートにそのまま写したりと、あくまで先生と生徒の立場がはっきり分かれているイメージがあります。

 

ハワイの学校はとても自由な雰囲気で、もちろん先生として接しながらも、仲のよいお友達みたいな感覚だったと思うので、そういうギャップも感じるかもしれませんね。

 

── はじめはいろいろな違いに戸惑うかもしれませんが、少しずつ馴染んでいくとよいですね…!

 

ローラさん:あまりにも自由すぎる子どもたちなので、日本の学校に通うことで、もう少しシャキッとしてくれるかなという期待もあります。あいさつをしっかりするとか、大切なマナーを学んでほしいですね。

 

── 子育てをするうえでの現在の環境はいかがですか?

 

ローラさん:今住んでいるところは子育て世帯がとても多いからか、のびのびとした空気感があります。なので習い事もこの近所で完結しますし、公園も周りにたくさんあります。

 

東京に住んでいた頃は双子のベビーカーを押していると、後ろめたい気持ちもあったのですが、今住んでいる場所はとても開放的なので、ハワイに似ているなと感じています。

 

── 章仁さんと一緒に暮らすことで、子育ての協力体制がより強くなりそうですね。

 

ローラさん:それが、スケジュールのすり合わせがすっごく大変なんです…(笑)。ハワイに住んでいる間は自分ひとりでこなすしかなかったので、ある意味ひとりでルーチン化できたのですが、大人が一人増えた分「どっちが今日は面倒を見るの?」となりがちで。

 

今日は私が取材なので子どもたちを任せようと思っていたのですが、夫もトレーニングが入っていて、最終的にこの状態(ローラさんの膝の上にお子さん)に至っています(笑)。

世界中にラグビー仲間がいるダディの背中を見本に

── 将来的には家族全員でハワイ移住ということですが、今後も章仁さんの移籍などに合わせて拠点を移していくのでしょうか?

 

ローラさん:私自身、ありがたいことにコラムの執筆などは場所を選ばずにできるので、夫のラグビー人生についていくつもりです。私も小さい頃は親の転勤で、小学生の間だけで4回も学校が変わっているので、特に引っ越しや転校に抵抗はありません。

 

ただ、子どもの性格にもよるのでそこはちゃんとケアしていきたいと思っています。もし子どもたちに「寂しい」と言われたときには、「ダディを見てごらん!これまでいっぱい引っ越しをしてきたから、世界中にお友達がいるんだよ!」と前向きに伝えていきたいですね。

 

トップリーグや海外のチームを渡り歩いてきた夫の章仁選手に様々な刺激を受けているのだそう!

── ラグビーで世界中を渡り歩いてきたお父さんがとてもよい見本になりますね。

 

ローラさん:たくさん引っ越しをしてきたからこそ、世界中に遊びに行ける場所があるし、どこにいても世界中の友達が遊びにきてくれる。親自身がポジティブなマインドで生活していく姿を、子どもたちに見せていけたらなと思っています。

 

── ローラさんご自身は今後チャレンジしたいことはありますか?

 

ローラさん:常にいろいろなチャレンジをしているのですが、たとえば赤ちゃんの手作りの帽子やおくるみのブランドを立ち上げているので、落ち着いたらもっと広げていきたいですね。あとは今後のために資格の勉強もしています。今はハワイの不動産売買の資格取得のコースを受講していて、次は試験に向かって勉強しているところです。

 

私はもともと消極的なタイプなのですが、夫は思い立ったら何でも行動するタイプなんですよ。悩んでいる時間がもったいない!と動いている姿に感化されているのかもしれません。

 

PROFILE 山田ローラさん

1988年生まれ。アイオワ大学卒業後、モデルとしてデビュー。2015年、ラグビー選手の山田章仁さんと結婚。16年に男女の双子を出産。20年に第三子を出産。22年に第四子を出産し、1男3女の母として子育てに励む。現在はタレント・コラムニスト・ヨガインストラクターとして活躍中。

 

取材・文/荘司結有 写真提供/山田ローラ