「46歳で祖母になり、ふたりの孫がいるおはぎさん(51歳)。娘をフォローし、ふたたび育児に関わっています。祖母として孫に関わることで、新しい発見はあったのでしょうか(全3回中の3回)。
娘の出産に「立ち会う」経験は貴重でした
── おはぎさんは、娘さんの立ち会い出産も経験されたそうですね。
おはぎさん:第一子出産のとき、夜中の3時ころに産気づいたので私が病院に連れていきました。里帰り出産だったのですが、そのとき、娘の夫は産院までは車で4時間ほどかかるところに住んでいて。娘は、産気づいてから出産までほんの数時間の超安産でした。
予想よりも早く生まれそうだったので、夫は間に合いませんでした。付き添っているのは私だけだったため、「ひとりで出産させるのもかわいそう」と思い、私が立ち会いました。
私自身は帝王切開での出産だったので、陣痛などを経験していません。娘の様子を見て、出産は本当に神秘的なものだと感じました。女性は自分が産む姿を見られないし、人の出産を見る機会もほとんどないと思います。私も、もし娘の夫が出産までに病院に到着していたら、立ち会いの機会はなかったでしょう。そういう意味でも、非常に貴重な経験をさせてもらったと思います。
孫たちの「予想外のいたずら」は体力勝負
── おばあちゃんの立場で子育てに関わるのはいかがですか?
おはぎさん:じつは娘は2019年に第二子を出産後、離婚しました。いまは私の家から車で5分のところに親子3人で暮らしています。そのため、何かと手伝う機会は多いです。孫はふたりとも女の子ですが、孫たちは娘とは違ってすごくキャラが強いんです。
静かにしているなと思ったら、部屋中、ガムテープが張りめぐらしてあったり。食器棚からお皿を出そうとしたら扉が開かなくて、よく見てみるとセロテープがしっかりと張られていたことも。いたずらが全部予想外なんですよ。
テープをはがすのも時間がかかるし、意外と力仕事です。孫たちのこうした行動や、あちこち走り回るのにつきあうのも大変で、自分がまだ体力のある年齢だからこそ、なんとかなっていると思います。
── お母さんとして娘さんを育てていたときと、変わったなと思うことはありますか?
おはぎさん: 思ったほどないです。私が娘を育てていたのは20年くらい前なので、観ていたテレビ番組も育児の方法もそれほど変わっていないんです。だから孫の世話をしているのだけれど、自分がしていた育児の延長という感覚もあります。
たとえば、高齢で祖母になるケースだと、自分が育児をしていたころから30〜50年経っているため、赤ちゃんの育て方やテレビ番組も違って新鮮さがあると思います。私の場合は「娘も好きだったアンパンマンに、孫もハマっているな。この時期を卒業したら、次はプリキュアにいくのが王道パターンかな。それともドラえもんかな」みたいに、ある程度予測が立てられるのはおもしろいですね。
自分の時間は減っても「孫との時間」はかけがえがない
── 40代でおばあちゃんになってよかったと思うことはありますか?
おはぎさん:一番のメリットは、やっぱり体力があることです。保育園がお休みのときは私が預かることがあります。やんちゃ盛りの孫たちの相手をするのは、エネルギーが必要だと実感する毎日です。
私はもうすぐ80歳になる自分の母と同居しています。母にもかなり手伝ってもらっているのですが、ひ孫たちのお世話をするのは体力的に大変そうです。子どものエネルギーについていけず、すぐ疲れてしまうようで。
もし私も年齢を重ねてから孫ができていたら、いまのように孫と向き合えなかったかもしれません。それに、40~50代はまだ現役で働いている世代です。経済的にも比較的ゆとりがあるのもいい部分だなと感じます。もちろん赤ちゃんは授かりものです。だから、いつ孫ができるかは誰にもわかりません。でも、私の経験から感じるのは、早くに孫ができるのは体力的にも金銭的にもメリットが大きいと思いました。
── 逆に、もし大変だと感じていることがあったら教えてください。
おはぎさん:あえて言えば、自分の時間が減ることはデメリットかもしれません。娘も独立して、これからは旅行など好きなことを楽しもうと思っていた矢先に孫ができたので、ひとりの時間が持ちにくいです。
娘は働いていますが、土日休みではありません。日曜日は保育園が休みなので、私が預かっています。そうなると、土日で旅行に行こうと思っても、なかなか自由に動けないんですよ。
とはいえ、「孫がいるから自由な時間がない」と不満に思うのではなく、孫ともふれあいながらバランスをとっていくのが理想です。孫が成人したとき私は60代。孫と長く過ごせ、成長を見守れると思うと、これからが楽しみです。
PROFILE おはぎさん
シングルマザーとして一人娘を育て、46歳のときに初孫を授かる。現在はふたりの孫がいる。17年間勤務した金融機関を退職後、ライターとして活動。
取材・文/齋田多恵 写真提供/おはぎ