最近は高齢出産も増えて40代で出産する人も多い時代。いっぽうで、同世代で孫を持つ人も。46歳で初孫ができたおはぎさん(51歳)に当時の心境を聞きました(全3回中の1回)。

 

【画像】孫ふたりと仲むつまじく過ごしている様子

19歳の娘が出産「あっという間におばあちゃんに」

── おはぎさんに孫ができたのは46歳のときだったそうですね。当時はどんな心境でしたか?

 

おはぎさん:まったくの想定外でした。おばあちゃんになるのは、早くても50代後半かなとぼんやり思っていたので。娘に「妊娠した」と告げられたときは、本当に驚きました。妊娠がわかった2017年当時、娘は19歳で本人も不安が多かったと思います。

 

── 19歳での妊娠、結婚はかなりお若いですね。

 

おはぎさん:娘は定時制の高校に通っていたのですが、1歳年上の彼氏ができ、同棲するために家を飛び出していたんです。もともと私は同棲には反対していました。でも、妊娠がわかってから、娘自身や彼に結婚の意志を確認し、双方の親同士でも話し合い、最終的には本人たちの気持ちを尊重して結婚を認めました。

 

私は娘が小学校に上がるタイミングで離婚しています。娘はあまり感情を外に出さないタイプですが、もしかしたら私たち両親が離婚したことで、ずっとさみしい思いをさせてきたかもしれない、と申し訳なさも感じていました。

 

孫たちと近所を散歩するのも楽しみのひとつ

そんな娘が彼と一緒にいるときに、とても幸せそうな顔をしていたんです。娘が笑顔を浮かべ、楽しそうにしている姿を見るのは本当にうれしかったです。2017年、19歳で娘は長女を出産し、2年後には次女を出産しています。

「肌プニプニ!」孫を抱っこしたら懐かしい感覚に

── はじめてお孫さんに会ったときはどんな印象を抱きましたか?

 

おはぎさん:生まれたての孫をはじめて抱っこしたときは「赤ちゃんのやわらかい感覚、久しぶりだな」と感じましたね。すごくかわいかったです。それに「自分が産んだわけではないけれど、私の娘の子どもなんだ」と思うと、唯一無二の、特別な存在に感じられました。

 

もちろん、赤ちゃんは誰でもかわいいと思うんですが、孫に対しては「かわいい」以上の血のつながりを実感。それは初めて抱く、不思議な感情でした。

 

── 娘さんとお孫さんに対し、感覚の違いはありますか?

 

おはぎさん:よく「孫はかわいい」と言いますが、本当でした!もちろん娘も大切な存在ですが、別物ですね。親だと子どもの人生すべてに関わる必要があります。健康はもちろん、お金や教育についても、しっかり向き合わないといけません。親の対応によって、子どもの将来も変わってくる可能性もあり、とても責任重大です。

 

それに対して、孫は食事や生活のサポートをすることはあっても、孫の将来や人生に母娘の関係ほど関わることはないと思います。というより、干渉しすぎるのもよくないのではないでしょうか。ある程度、距離があり、子どもに対するほどの責任を負わないからこそ、孫に対しては「かわいい、かわいい」と、無条件で愛でられるのかなと思います。

孫を病院に連れて行くと「お母さんですか?」と

──「40代で孫がいる」というと、周囲の人たちはどんな反応をしますか?

 

おはぎさん:やっぱり「もう孫がいるの?」とみんなに驚かれます。生まれてからずっと同じ地域に住んでいるので、近所の年配の方たちは、私を幼少のころから知っているんです。だから「あの小さかったあなたが、もうおばあちゃんなのね」みたいに言われます。私の子ども時代を覚えている人たちからすると、当時の印象が残っているのでしょう。

 

公的な場所では、私がおばあちゃんなのか、母親なのか迷う人もいるようです。昨年、2番目の孫が熱を出して、私が病院に連れて行ったことがあります。そのときに病院の人に「お母さんですか?」と聞かれました。「祖母です」と答えましたが、いまは晩婚化や高齢出産も増え、私の世代でも子育て中の人は珍しくないですからね。

 

── おはぎさん自身が、おばあちゃんになって気をつけていることはありますか?

 

おはぎさん:「おばあちゃんになったからって、老けこまないようにしよう」というのは意識しています。髪の毛や肌など、外見のケアは怠らないように気をつかっていますね。

 

上の孫が描いたイラスト

あとは、孫にどう呼ばせるかも悩みました。ふつうに「おばあちゃん」や「ばあば」でもいいんですが、なんとなく必要以上に歳をとった感覚になる気がして。孫ができるのはずっと先だと思っていたから「おばあちゃん」と呼ばれる覚悟みたいなものができていなかったんです。

 

だから孫たちには「ばちゃ」と呼ばせています。もともと姪が私のことをそう呼んでいたので、それを引き継ぎました。呼ばれ方はちょっとしたことかもしれませんが、意外に自分の気持ちへ与える影響が大きい気がします。孫たちは日々大きくなり、やんちゃ盛りです。パワフルな孫たちに負けないよう、私も楽しく元気に毎日を過ごしたいですね。

 

PROFILE おはぎさん

シングルマザーとして一人娘を育て、46歳のときに初孫を授かる。現在はふたりの孫がいる。17年間勤務した金融機関を退職後、ライターとして活動。

 

取材・文/齋田多恵 写真提供/おはぎ