ありそうでない架空の雑貨をTwitterで次々と発表し、話題沸騰中のクリエイター、ミチルさん。これまでに商品化された雑貨や、思い入れのある作品について聞きました。
SNSへの投稿をきっかけに企業からアプローチが
──「架空のプロダクト」を作り始めたきっかけを教えてください。
ミチルさん:子どもの頃から妄想するのが好きで、10歳の頃から架空のプロダクト作りをしていました。Twitterなどで発表するようになったのは、2020年からです。
創作のアイデアは、本屋さんや雑貨屋さんで得ることが多いです。
── 実際に商品化されたプロダクトもありますね。
ミチルさん:SNSへの投稿を見てくださった企業の担当者様から連絡をいただいて、商品化されたものがいくつかあります。
お好み焼きの形をした鉛筆削りで、削りカスがかつお節に見える「お好み焼鉛筆削り」は、Twitterでプロトタイプ(試作品)を発表したところ、オタフクソース様からお声がけをいただき、半年後くらいに商品化されました。やはり、商品化されると「子どもが喜んで使っています」などの声をたくさんいただけるのがうれしいですね。
ほかにも、置くだけで日常がマンガっぽくなる「マンガ擬態語オブジェ」や、「ネギの飴」などが商品化されました。
「マンガ擬態語オブジェ」は、漫画でよく表現される「ドーン」という効果音が表現されたグッズです。山積みの本や書類にはさむと、効果音が重さを強調してくれ、マンガの世界っぽい空間になります。
「ネギの飴」は、輪切りにした長ネギを再現した金太郎飴です。ネギの粉末が配合されていて、形だけでなく味までネギが再現されているので驚きました。
最近商品化されて、カプセルトイとして発売されたのが、「暇つぶしスクイーズ」です。
手でギュッとつぶしても元に戻る弾力性のある素材の上に「暇」という漢字をのせました。文字通り「暇」をつぶすこともできますし、ただ手に持って『暇を持て余す』こともできます。
商品化が待たれるプロダクトも続々
──「トカゲの鉛筆削り」や「氷山の一角になるティッシュケース」も、「商品化してほしい」という声が寄せられていますね。
ミチルさん:「トカゲの鉛筆削り」は、海外の方からもコメントをたくさんいただきました。エリマキトカゲの襟が鉛筆の削りカスに見えたので、形にしてみたんです。トカゲの口に鉛筆を入れて削ると、顔の周りをぐるりと囲むように削りカスが出てきて、エリマキトカゲに変身します。トカゲの顔をかわいく作りこみたくて、工夫をしました。
「氷山になるティッシュケース」は、ティッシュを見ていたら、氷山の一角のように見えたので制作してみました。よりリアルに見えるように、ティッシュケースの上部を水面っぽく仕上げてあります。ホッキョクグマもいます。
自分にとってSNSはあくまで「作品発表の場」ですが、SNSをきっかけに商品化されるといいなと思いながら、これからも発信を続けます。
PROFILE ミチルさん
クリエイター。架空のプロダクトを次々と制作し、Twitter(@mitiruxxx)で発表している。
取材・文/林優子 画像提供/ミチル