観察眼が光る友近さん。自分と合う・合わないも瞬時にわかるといいます。子ども時代、学生時代をどのような環境で過ごしながら今に至るのか。お話を聞きました。 (全4回中の1回)

「無罪!」の半紙を前に掲げて…

── 友近さんの観察眼はとても鋭い印象がありますが、子どもの頃はどんな子どもでしたか?

 

友近さん:よく人を観察していましたね。冷静だったし、自分が好きなもの、苦手なものも昔から分かっていたと思います。

 

── 学校生活はどのように過ごされましたか?

 

友近さん:そこはすごく恵まれていて、小学生から大学時代まで自分の感覚と近い人…、人の面白い言動をスルーしないとか、ニュアンスでイメージ想像できる人が周りにいたので楽しかったですね。

 

たとえば高校のときだったかな。黒板消しを掃除する機械あるじゃないですか。ウィンウィンって音がするやつ。あれが毎回私、バイクのふかし音に似てるな…!って思ってたから、休み時間になると友達誘って「ちょっとツーリング行こう!」って廊下に出て。毎回黒板消し機のスイッチを入れてからウィンウィンとしながらエアバイクに乗る遊びをしてましたね。 それって、それがくだらなく面白いと思わないとできないじゃないですか。

 

あと、高校の卒業アルバムでは、全校生徒が集合して空撮で写真撮ったんですけど。前日に家で「無罪」って書いた半紙を仕込んで両手で持って写真に映るとか(笑)。みんな出来上がった卒業アルバム見てアホやなって笑ってました。

 

高校生の時、「無罪」と半紙を掲げて            

── 一緒に盛り上がれる友人がいたんですね。

 

友近さん:くだらないことを大事にする人って面白い人が多いんですよね。そこをスルーしてしまうと話をしていても伝わらないし、盛り上がりに欠けるというか…、それ以上、会話が派生しませんからね。決して面白いことは言わなくていいんです。くだらないこと、面白いことに気づく人と話をしていてワクワクします。

 

── 友近さんは、自分と合う、合わないは、5分10分話をしたら、もしくは会話をしなくても雰囲気でもわかるものですか?

 

友近さん:自分が会話に参加しなくても、人の会話を聞いていても大体なんとなくわかりますね。相槌を打つタイミングや、ここで笑う、笑わない!とか。ここでニヤニヤしている…、そう、ニヤニヤしているかが一番ポイントですね。自分と合う・合わないはもちろん、この人とこの人が一緒になったらこんな空気になるっていうのも絵で想像できます。だからキャスティングもめちゃくちゃ好きなんです!友達づくり、ボーイフレンドづくりも得意なほうだと思います。

 

あと、80年代のドラマの話は一番盛り上がりますね。大映ドラマとか土曜ワイド劇場とか昭和すぎますが…。その人がどこに食いついてるのか、熱くなってるのかでも人柄が出たりして。

 

旅館で仲居として働いていた21歳の友近さん

── 本人が、自分の面白さに気づいていないこともありますか?

 

友近さん:私は水森かおりちゃんとすごく仲がいいんですけど。実は、彼女の笑いのセンスってあんまり世間に知られてないというか…、とにかくマニアックでくだらないことが大好きな人なんです。本人曰く人前でそういう部分は友近さんの前じゃないと出せない、と(笑)。

 

具体的になんで水森かおりちゃんが面白いかっていうと、千葉の海浜幕張にあるラジオ、bayFMについて話をしていたら、「あのイオンの本社があるところね」って言うんです。「イオンがあるところね」じゃなくて「イオンの本社」って、どこに興味もってんの…!って。母体とか本社に詳しいんですよ。どこどこが母体でどういう風に枝分かれしてるとか。そんな話どーでもええやん!ってみんなスルーするかもしれないけど、私はそういうとこに食いついている水森かおりちゃんが大好きです。

友近さんが思う、嗅覚が似ている人

大御所演歌歌手のキャラクター、水谷千重子さん

── 芸人さんは、そういった嗅覚や観察眼が鋭い人が多いのでしょうか?

 

友近さん:う〜ん、少なくはないですが、多くもないと思います。そのなかでも嗅覚が似ているのは、ロバートの秋山さんとかですかね…。秋山さんと喋ってると、私の幼い頃の行動が全部一緒なんです。私もそれやってました、そこ引っかかってました!って。でも他の人に話しても共感得られないというか、たとえば、薔薇のトゲを鼻の頭に乗っけて「サイ」って遊んでたとか!秋山さんも誰よりも気づいてきた方なので、ああいう細かいコントができるんですよね。

 

── 同じ景色を見ていても、気づく、気づかないで楽しみも変わりそうです。

 

友近さん:それはあるかもしれないですね。私は子どもの頃から人を観察するのが趣味みたいな部分もあったけど、常にアンテナを張ってきました。意外と面白いことって、目の前に起きてるかもしれないです。

 

PROFILE 友近さん

愛媛県出身。2000年デビュー。お笑い芸人として活動しながら、女優として舞台やドラマ、映画にも多数出演。2023年6月に明治座、7月から博多座で3度目となる水谷千重子50周年記念公演が決定。

 

取材・文/松永怜