ここ数年で浸透した「推し活」。好きなキャラクターや人を応援する活動のことですが、その上でどうしても増えてしまうグッズに困っている人も多いよう。自身も推しがいるミニマリストのおふみさんが目指すのは、「持続可能な推し活」です。
ミニマリストが2.5次元に沼落ち
長年、2次元コンテンツのオタクをやってはいましたが、3次元世界に推しと呼べる存在がいたことはありませんでした。
しかし3年前、人生で初めて観劇した2.5次元舞台で盛大に沼落ちしてしまいました。
ちなみに2.5次元とは、アニメやゲームなど2次元が原作のコンテンツを、3次元の俳優が演じる演劇のことです。友人が取ってくれたチケットで何げなく観劇したが最後、そこに広がっていたのは広大で深い沼でした。
観劇前は1回見られたら十分だろうと思っていたのに、終わった瞬間に残りの申し込み可能なすべての公演のリセールチケットに申し込んでいました。1席空けで座席数が普段より少なく、公演期間が短かったのもあって、その後当選したのは1公演だけでしたが、これ以上ない幸福な時間でした。
その公演のテーマソングを聴きながら目を閉じると、今も鮮明にあの日の記憶が蘇ります。推しが躍り出てきた瞬間のこと、比喩でなく本当に光り輝いていたこと。
とはいえ、ものが増えがちなのが推し活。無限に増えがちなグッズはどうしているのか?後追いしたら過去の作品はどこまで追うのか?ものの持ち方・残し方にルールはあるのか?
などなど、ハイエース1台分の物量で暮らすミニマリストが2.5次元俳優に沼落ちして、どのようにミニマリズムと共存しているかについてお話ししたいと思います。
「持続可能な推し活」を試行錯誤して
ハマって最初のうちは何をどこまで追うのか決めきれず走りながら考えるという感じでした。
初めのうちは自分のなかで、グッズをどこまで買うかのルールが定まっておらず、ブロマイドも公演パンフレットもアクリルスタンドも缶バッチも買いました。ブラインド商品といって、開けてみるまで中身のわからないグッズを買って推しをゲットするためにTwitterで交換依頼をかけたりもしました。
公演限定のペンライトやリング型のライトなど光り物も購入。過去のインタビューもすべて読みたいという衝動に駆られ、メルカリでいくつかの雑誌の切り抜きを買ったりもしました。しかし、この調子ではものが無限に増えてしまいます。
いくら愛する推しとはいえ、部屋にグッズがあふれる状態は自分にとって好ましい環境といえません。
在宅ワークなのでものが散らかっていると作業効率が落ちます。推し活には資金が必要ですから、楽しく働いて推すためにも自宅の環境を整えるのは大事。自分に合った形で推し活を続けないとどこかで無理がたたってしまいます。
継続可能な推し方をしなければ。そう思った私は「サスティナブル推し活」を掲げて、自分に合った方法を探ることにしました。
「過去」よりも「現在」を軸にする
まず、自分が大事にする軸を定めました。具体的には、過去よりも現在を重要視することに決めました。
舞台はテレビ越しにDVDで観るのと現地で観るのでは、同じ作品でも体験がまったく違います。ものすごくおいしそうな食べ物の写真を見ることと、実際に食べることくらい違うと感じています。過去よりも現在、今開催している公演に足を運ぶことを優先するようにしています。
そして過去作は追いかけると際限がないのもあり、そのとき観たいと思ったものだけを追うことにしました。
古参ファンに追いつこうとしない。なんでも知っていないといけないとは思わない。仕事をしながら追いかけるのだから、自分のペースを大事にすると決めました。
限られたリソースの分配、自分が何をしている瞬間に最も気分が上がるかを判断基準にしています。
私の場合、グッズよりも優先すべきは現地観劇。
タオルやバッグやポーチなど様々なグッズがありますが、公式への課金はグッズでないとできないわけではありません。not for meなものは買わない、その分チケット代で還元していると考えています。
かさばらないブロマイド類を気に入ったときだけ購入する形にシフトして、ブラインドグッズからは撤退。グッズ類は引き出し1杯分、雑誌や紙ものはファイルボックス1箱分が上限という自分にとっての適量を見つけることができました。
また、家全体で物量を調整しました。自分の中で熱量が下がったと感じたジャンルのDVDや書籍などを手放し、トータルの物量は変わらないようにバランスをとりました。
また、私は1シーズン10着で過ごしていますが、服は観劇できることを基準にしています。
推しコンテンツにチームカラーがあるのですが、私の推しチームは黒・グレーを基調としています。服選びで色に迷ったらこのチームカラーを取り入れています。楽しみなお出かけの筆頭は舞台観劇なので、服選びに迷ったら観劇時に着ていて気分が上がるものを選びます。舞台の思い出と相まって、普段着ていても気分が上がります。
少なく暮らすために好きなことをあきらめるのはもったいないです。少ない物量で暮らすことは目的ではなくあくまで手段。
そのことを念頭に置いて、自分にとってほどよいバランスをとって推し活していきたいと思う今日この頃です。
文・イラスト/おふみ 構成/阿部祐子