千葉の大根農家・泉水さんが実践する大根の保存法が、「実際に体験してみた」という、もがママさんのTwitter投稿で紹介され、話題になりました。

「え?それだけ?」紹介された意外な方法

もがママさん(@sobakasu_shimie)が投稿で紹介したのは、テレビ番組で見たという大根農家さんが実践する保存方法。「『皮をむいてビニール袋に入れれば最大で4か月もった』というから、そんなバカな~と思い、やってみたら1か月でもシャキシャキで水分しっかり残ってて、すごいライフハックを見つけてしまったと思っている。。。」というもの。

 

11万いいねがついたもがママさんの投稿
11万いいねがついたもがママさんの投稿

フォロワーからは「大根大きくてなかなか使いきれず、いつもシナシナになっていたので知れて良かったです」「これはかなりのライフハック術…!!シェアありがとうございます」「こんな簡単な方法でももつなんてすごいです!」などの驚きの声が寄せられました。

 

さっそく、その情報源である「大根の保存方法」を教えてくれた大根農家・泉水淑子さん(@daikonnosato)にお話を伺いました。

 

── 具体的にどのような保存方法ですか?

 

泉水さん:なるべく新鮮なうちに、大根の上部と下部を約1cm程度切り落として、ピーラーで皮をむきます。小傷がついてしまっている大根の表面をシャープなピーラーできれいに皮を剥く、というイメージです。気持ち、厚めに皮をむくといいような気がします。

 

ビニールはスーパーのビニール袋でOK。口はしっかり閉めずに、すこし緩めにしておきます。密閉せず、袋のなかである程度の空気の入れ替えがあることで、傷みにくいような気がします。あとは冷蔵庫の野菜室に入れておくだけです。ラップなどでしっかり包んでしまうと逆に傷みが早いので気をつけてください。

 

── この保存方法を知ったきっかけを教えてください。

 

泉水さん:農家の日常から発見した保存方法です。大根農家は収穫の時期、一度に大量の切り干し大根を作ります。その際に、収穫した大根をどんどん切り干し用の器具で削っていかなければなりません。上部と下部を1cm程度それぞれ切り落とし、皮をむいて数本ずつビニールに入れて、保存用の冷蔵庫内の野菜室に保管していくのですが、そんななか、日が経ってもあまり大根の水分が抜けていないことに気づいたんです。

 

科学的な根拠などはっきりしたことはわかりませんが、テレビで紹介されたときに専門家の方がおっしゃっていたことには「微生物がつきやすい表面の皮を取り除いて低温保存することが日持ちする理由なのでは?」と分析されていました。

 

泉水淑子さんが作る「霜降り姉崎大根」
泉水淑子さんが作る「霜降り姉崎大根」
「姉崎大根」とは?(昨年1月に投稿した泉水さんのInstagramより)
「姉崎大根」とは?(昨年1月に投稿した泉水さんのInstagramより)

── 実際、どれくらい日持ちしますか?

 

泉水さん:私の経験でいうと、最大4か月持ったことがあります。千葉県の大根農家は5月に大根を作ったら次は10月まで大根を作らないので、その間、家庭で使う大根を冷凍したりしてストックしている人も多いのですが、やっぱり鮮度が落ちてしまうんですね。この保存方法で5月の大根を9月に家族で食べたら気づかないほどの味でした。ですので、1~2か月は少なくとも大丈夫なんじゃないかな…。ご家庭の冷蔵庫の環境にもよりますし、保証はできませんが…。

 

── ところで、大根がシナっとしてしまったら、もう捨てるしかないのでしょうか?

 

泉水さん:いえいえ、わが家でも大根はあえて土間などに放置してシナっとさせて食べたりもしますよ!大根を丸ごと日陰の風通しのいいところに吊るしたり、土間などに置いておくといいと思います。シナっとしている大根のほうが、味が染みやすく煮物に向いています。おでんの大根などの煮物におすすめです。ですので、もし冷蔵庫でそんな状態になっている皮つきの大根があったら、よっぽど干からびたり、カビが生えていなければ、ぜひお料理に使ってみてください。

 

──今回の保存方法にはたくさんの反響がありましたが、どのようなお気持ちですか?

 

泉水さん:もがママさんが「大根を1本買うのが怖くなくなった」と言ってくださったことは、農家として本当に嬉しかったですね。

 

私たちが千葉で作っている「姉崎大根」は、美味しく育つ山側の気候ならではの土地で育てた大根です。たくさんの方にこのおいしい大根を食べてもらいたくて、昨年からはキッチンカーで大根メニューを提供し始めました。大根のおいしさを実感してもらって、1度に2~3本買う人が増えてくれればいいなという思いもあります。

 

大根の水分たっぷりの「無水カレー」などキッチンカーでは大根をふんだんに使ったメニューを提供
大根の水分たっぷりの「無水カレー」などキッチンカーでは大根をふんだんに使ったメニューを提供

ぜひこの大根の保存方法を活用していただき、ご家庭で大根料理を楽しんでもらえたらと願っています。

 

PROFILE 泉水淑子さん

千葉県で「姉崎だいこん」「姉崎すいか」「姉崎メロン」を主に生産している「たねや泉水農園」を営む農家。農家の畑ごはん「たねやキッチンカー」で農作物の美味しさを伝えるべく活動中。

取材・文/加藤文惠 画像提供/もがママ、泉水淑子