お子さんが中学生になり、コミュニケーションに難しさを感じる家庭も多いのではないでしょうか。今回の相談者もその一人。そろそろ高校受験に向けた話もしたいと考える親御さんに、教育家・見守る子育て研究所(R)所長の小川大介先生がアドバイスします。

【Q】反抗期でまともなコミュニケーションができない

中学2年生の男子を育てています。最近、とんと会話をしなくなりました。何でもかんでも面倒くさがってやってくれず、最低限の問いかけに対しても返事がないのでコミュニケーションが成り立ちません。イライラしますが、反抗期だと分かっているのでもちろん息子を責めるつもりはありませんし、時間が解決してくれると思っているので、基本的に放っておいています。

 

しかし、そろそろ高校に向けて受験勉強も意識しなくてはなりませんし、まともに会話ができないこのままの状況はまずいなあ…と思っています。反抗期の子と会話をする効果的な方法があれば教えていただきたいです。

 

「中2息子と会話ができない!親が見落としがちな『反抗期』の解釈」(1/7P)
「中2息子と会話ができない!親が見落としがちな『反抗期』の解釈」(1/7P)
「中2息子と会話ができない!親が見落としがちな『反抗期』の解釈」(2/7P)
「中2息子と会話ができない!親が見落としがちな『反抗期』の解釈」(2/7P)※漫画の3P以降は本文の後に掲載しています

「自分への信頼」と「親への信頼」を育むこと

実は、私は「反抗期」という言葉が好きではありません。子どもが自分の考えや思いを表明することを「反抗的だ」と周囲が捉えてしまいがちで、子ども自身もそうした状況に対してあきらめや不快感を抱いてしまうからです。

 

いわゆる反抗期とは、自我が芽生える時期を指します。親元から離れて自由に挑戦したい欲求と、同時に不安感や自信のなさ、苛立ちや怒り、諦めなどがわき上がる時期、いわば成長に向けた「チャレンジ中」の状態なのです。

 

だから、お子さんには「親の管理下からは離れたいけれど、保護はしてもらいたい」という矛盾した思いがあるわけです。ご相談者様には、そこをまずご理解いただきたいと思います。つまり、放っておいてはいけないのです。「本当は構い続けてほしい」というお子さんの奥底にある欲求を理解し、干渉は控えながらも目を離さないことが重要になります。

 

そのうえで、まずは自己点検をしてみてください。ご相談者様は、ご自身がお子さんからどのような信頼を得ていると思いますか。「ご飯は好みを理解して作ってくれる」「体調が悪いときには心配してくれる」など、お子さんが親御さんに抱いているであろう信頼のポイントを思い起こしてください。

 

またお子さんは、自分自身に対してどういった信頼があるでしょうか。「宿題は自分で終わらせられる」「友達との約束は絶対守る」など、お子さんが自分の内面に抱いている信頼もチェックしてみましょう。

 

こうした自分の内面への信頼と外(とくに親)への信頼が分厚ければ、本人もいわゆる反抗期を抜け出しやすくなるので、この両面を豊かにしてあげることが大切です。

 

お子さんが自分自身を信頼するためには、親御さんの声がけが重要になります。「あなたはこういうことを頑張る人だよね」「あなたはこれが得意だよね」と、親が気づいたことを教えてあげましょう。ただし、「でも、これはやらなきゃダメでしょ」などと「Yes〜, but〜」構文で話すと、子どもからの信頼は下がる一方ですから気をつけてください。

 

親に対する信頼を育むのも、会話の仕方が重要になります。親が決めつけるような話し方をしていては望ましい関係は築けません。

 

注意したいことや心配なことがある場合は、「私にはこう見えるんだけど、大丈夫?」「今の言葉はこういう意味に受け取って嫌だなと思ったけど、本当はどういう意味だったの?」と聞いてあげましょう。そんなふうに「子どもが言いたいことを、親である私たちは聞けているか」をときどき確認してあげてください。

「勉強しなさい」と言われてできる子は1割もいない

こうしたお子さんとのコミュケーションの土壌を整えたうえで、学習について考えていただきたいのですが、高校受験については本人なりに考えているはずです。しかし、勉強をしなければという思いがあったとしても、実際にすぐ勉強に取り組めるとは限りません。

 

「勉強しなさい」と言われて、すぐに勉強を始められる子は1割もいません。勉強ができるという体験をあまりしてこなかった子が取り組めるようになるには、具体的な計画づくりなどを手伝ってあげないと動き出せないのです。

 

そこを理解せずに、「いいから勉強しなさい」と親が言ってしまうと、お子さんの中では「やれないことを押しつけられた」という恐怖心と怒りが生じ、よけいに抵抗したり逃避したりするリスクが高まります。

 

まずは、学習の具体的な計画の入り口に立たせてあげることがポイントです。たとえば、「部活の役割も増えてくる頃だけど、勉強に関してはどうイメージしてる?それを知っておけば私も手伝えるから」などと声をかけてみてください。

 

そして、「余計な口出しはしたくないから、『これはしてほしくない』ということがあれば先に教えてね」と安心させてあげながら、お子さんがどこから手をつけたいのか、どこまでやれるとよいと思っているのかなどを聞き、一緒に学習計画を作ってあげましょう。

 

計画ができたら、「ちょっと今やってみようか」とやらせてみること。それを機に継続できる場合もあるでしょうし、つまずくようであれば、「できるサイズに細分化してみようか」と計画づくりの再考を助けてあげましょう。

 

そんなふうに、お子さんの成長に合わせてコミュニケーションを取り、「手伝って応援してあげる」というスタンスでサポートに取り組んでほしいと思います。

 

「中2息子と会話ができない!親が見落としがちな『反抗期』の解釈」(3/7P)
「中2息子と会話ができない!親が見落としがちな『反抗期』の解釈」(3/7P)
「中2息子と会話ができない!親が見落としがちな『反抗期』の解釈」(4/7P)
「中2息子と会話ができない!親が見落としがちな『反抗期』の解釈」(4/7P)
「中2息子と会話ができない!親が見落としがちな『反抗期』の解釈」(5/7P)
「中2息子と会話ができない!親が見落としがちな『反抗期』の解釈」(5/7P)
「中2息子と会話ができない!親が見落としがちな『反抗期』の解釈」(6/7P)
「中2息子と会話ができない!親が見落としがちな『反抗期』の解釈」(6/7P)
「中2息子と会話ができない!親が見落としがちな『反抗期』の解釈」(7/7P)
「中2息子と会話ができない!親が見落としがちな『反抗期』の解釈」(7/7P)

 

PROFILE 小川大介さん

教育家・見守る子育て研究所(R)所長。京大法卒。30年の中学受験指導と6000回の面談で培った洞察力と的確な助言により、幼児低学年からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。メディア出演・著書多数。Youtubeチャンネル「見守る子育て研究所」。

取材・構成/佐藤ちひろ イラスト/まゆか!