エッセイ漫画を描く花森はなさん(@hanamori_h)がTwitterに再投稿した漫画「人が弱ると本当にいろんな人がいろんなことを言ってくるよね」が話題になっています。
「この子のために」善意の押しつけに疲労困憊…
学校に行くのがしんどい娘と不登校の息子のエッセイ漫画を描いている花森さん。子どもたちと向き合い必死に日々頑張っているところに、よかれと思って周囲から寄せられるアドバイスに疲れてしまったそう。漫画ではその経験談が描かれています。
弱ってるときに余計なことを言ってくる人たちについて振り返る花森さん。息子の不登校に対して、花森さんにはさまざまなことを言ってくる人がいたそうです。たとえば、「子どものこと怒ってへんやろ?もっと厳しくしたほうがえんちゃう?」とか、「下の子に構いすぎて愛情不足では?」とか、「お墓参り行ってる?ご先祖様大事にしてる?」など…。なかでも強烈だったのは身内でもある義母の言葉でした。
「息子くんはサーモン好きやからあかんねん!」と、サーモンがいかに息子に悪い影響を与えているかという独自の理論を展開。矢継ぎ早に自分の見解を並べ立て、信頼している医者がいるから息子を連れて行くと提案。花森さんは、わけのわからない話にまったく納得できず、息子を連れて行かれるのが嫌で断るも、義母は断られる理由が理解できない様子で腹を立てます。
数日後、義母を交え家族で回転寿司に行ったときのこと、サーモンを取る息子に対して「サーモン、食べすぎちゃう?脳に悪いからもう食べたらあかんで」と、子どもにまで口を出し始めたそう。「お義母さん、毎日食べるわけではないので好きなもの食べさせてあげてください」と言うと、「なんでやの?私はこの子のためを思って」とみずからの正当性を主張してきたそうです。
夫に相談したことで、義母の口出しはいったんは止んだそうですが、それも束の間、「このサプリ、鬱に効くらしいで!」と、またよくわからないものをすすめてくる始末。「病院の処方薬もあるので勝手にサプリなど増やせません」と断ると「アンタ、なんで私が信用できへんの!?」とすごんでくる義母。逆にどうして信用できると思うのか、心底疲れてしまったといいます。
弱っているときに飛んでくる「善意の矢」がしんどい
フォロワーからのコメントには、「彼らの価値観は否定しないけど、なんで人の人生に口を突っ込んでアレコレ言うのだろうか…」「つらすぎます…弱ってる子を支える親だって弱ってるのに、さらに善意という名の矢を射ってこないで欲しいですね…そこで子どもがさらに傷つかないように親が盾になって守らないといけないんですよね、親子ともども満身創痍ですよね。助けてくれとは言わないからほっといてほしいです」などの声が寄せられました。
「家族の介護や子どものサポートをしている人って、私もそうですが、人に見せている姿の裏側では、心は本当にぎりぎりいっぱいのところまで風船に水が入っているような状態。割れないようにしている毎日だと思うんです。だから、向けられる言葉の数々が風船を割る矢になりかねない状況。弱っているときに善意で放たれた矢は強烈で、とどめを刺すように傷ついたり疲弊してしまいます」
「同じように悩む人と気持ちの上でつながれたらうれしい」
「私と同じように子どものサポートを頑張っている方にお伝えしたいのは、自分や子どもが信頼できるプロの意見だけを信じてほしいということ。私の事情を知って弱みにつけ込んで近づいてくる人って、驚くほど本当にたくさんいるんです。無責任にとやかく言ってくるしんどいアドバイスは心では無視できるようになってくれたらと、この漫画を通して同じ悩みを持つ人と円陣を組んで気持ちのうえでつながれたらと願っています」
どんな人もいろんな事情を抱えていて、良かれと思うことが本当にその人にとって良いことなのか、無知で無責任にアドバイスしてそれが押しつけではないか、本当に心配する人に対しては「発言する前にちょっと立ち止まって考える」ということを大事にしたいですね。
PROFILE 花森はなさん
学校に行くのがしんどい娘と不登校の息子の漫画をSNSで発信。著書に「息子が学校に行けなくなりました。」(KADOKAWA)。
取材・文/加藤文惠 画像提供/花森はな