元ベイスターズのラミレスさん(48)との間に、4人目を出産した美保さん(40)。長男のケンジくん(7)がダウン症だったことがきっかけで慈善団体を設立し、積極的に活動しています。(全4回中の3回)
子ども4人をひとりで外食へ
── ラミちゃんパパは家事、育児はかなりしているようですね?
美保さん:何でもしてくれます。ごはんもお風呂も、産まれたばかりのアンゲ(9か月)のおむつ替えもしてくれます。子ども4人をひとりで外食に連れて行ってくれることもあります。
でも、やりっ放しが多くてイライラすることもありますね!「ごはんの後は片づけるでしょう」「おむつは捨てるでしょう」ということがありますが、それも期待をするからですよね。だから“あきらめ”というか、やってくれたことにのみ感謝するようにしています。
「アレはどこにあるの?」といつも同じことを聞くので「どうして、何度も同じことを聞くの?」と言ったら「知っていたら聞かないよ」と返され、たしかにそうだなとあきらめました(笑)。
長男の自立が一致する意見
── ラミレスさんはベネズエラ出身ということで、文化の違いやギャップはありますか?
美保さん:ゴミを裸足で捨てに行くなど、「ウソでしょ!」と思うことは多々あります。肉ばかり食べたり、水分を水で摂らなかったり、生活習慣の違いもありますね。夫婦の考えで唯一同じなのは、ケンジを自立させることだけですね。
── 家庭内での言葉はどうしていますか?
美保さん:ラミレスは日本語もわかりますが基本は英語で、私も日本語と英語半分ずつですね。だから最近、次男(ジュリくん・5)の日本語が怪しくなってきたので、日本語も積極的に教えています。バイリンガルになってほしいですね。
── 今後のケンジくんはどう見守り、サポートしますか?
美保さん:どうしても成長がゆっくりなので私は気にしてしまいますが、夫は「何の心配をしているの?」と楽観的です。だから、もし私がひとりだったら追い込まれていたと思うので、まったく価値観の違うラミレスと一緒に子育てをできていて助かっています。
── ラミレスさんは、そういったおおらかな性格なのですか?
美保さん:そうですね。「まあ、いいか」の精神で私とはまったく違います(笑)。たとえば、長女(リアちゃん・3)がお菓子とお肉しか食べないのですが、「死ぬわけじゃないよ」「風邪もひいてないじゃん」という感じです。
習い事を断られたことも
── ラミレスさんと「バモス トゥギャザー」という団体を立上げましたが、どのようなものですか?
美保さん:ケンジはダウン症ということで、習い事を断られたこともありました。だから、「みんな違って、みんないい」という旗印のもとに、スペシャルニーズ(特別な支援が必要な人)の子やそうでない子も関係なく、スポーツやアートなどを体験してもらえればと思い設立した団体です。
コロナ前には、横浜スタジアムでラミレスも参加した野球イベントを開いて、地元の少年野球チームやスペシャルニーズの子を招待しました。
スペシャルニーズだからといって、「かわいそう」とか「どう接していいかわからない」ではなく、少しの助けがあれば同等にやっていけるという、助け合いや共生の精神ができればと思います。スケートやダンスや私が経営するジム(クロスフィット モトマチベイ)での体験もしてもらいましたが、みんな成長して、できるようになりますよ。
誰にでも“スペシャル”な部分はある
── 今後の活動の展望はありますか?
美保さん:今年はベネズエラにも支局をつくり、子どもだけではなく大人の雇用につなげていければと計画しています。たとえば私たちの知り合いで、自閉症の方でピアノがすごく上手な人がいますが、大手企業に就職して、パソコン業務を人の2倍こなすことができます。
このようにスペシャルニーズだから特定の仕事ではなく、得意や不得意を見極めたうえでの働き方ができるようなサポートをしていきたいです。
── 美保さんが「スペシャルニーズ」という言葉を使う理由を教えてください。
美保さん:誤解を恐れずに言えば、ブランディングの一種です。「障がい者」という言葉は、「大変」とか「かわいそう」など特定のイメージが先行しがちです。だから、そういう意識を変えるために、誰にでも“スペシャル”な部分はあるという考えで、個性のひとつとして捉えてもらうために使っている言葉です。
PROFILE ラミレス美保さん
1982年、東京都生まれ。大学卒業後、アパレル企業勤務をへて2015年に横浜DeNAベイスターズ監督(当時)のアレックス・ラミレスさんと結婚。’19年に「クロスフィット モトマチベイ」、’20年に一般社団法人「バモス トゥギャザー」を設立。4人の育児に奮闘中。
取材・文/CHANTO WEB NEWS 写真提供/ラミレス美保