昨年、小学校に入学したケンジくん

4人目のお子さんが誕生したばかりのラミレス美保さん(40)。長男のケンジくん(7)に先天的な疾患がありましたが、元監督の夫(48)からのひと言が背中を押してくれました。(全4回中の2回)

「学校に行きたくない」

── ケンジくんはこの春から小学2年生ですが、小学校に入って1年を振り返ってどうでしたか?

 

美保さん:地元の公立小学校の支援学級に通っていますが、とても成長した1年でした。言葉も増えて、自立に向かっていると思います。

 

最初は、就学前のモンテソーリーの教室を懐かしがって「今日は行きたくない」と言うこともありました。でも、登校して帰ってくるとうれしそうにしているので、学校自体は楽しそうです。朝は途中まで送りますが、パパが送ってくれることが多いです。

 

── ケンジくんの日常生活は、どう心がけていますか?

 

美保さん:話をしっかりと聞くようにしています。学校に行きたくないときは、仮病を使うこともありますが、その理由をきちんと聞くようにして、「途中まで行ってみたらどう?」と提案することもあります。パパは「とにかく行くぞー!」というノリなので、ケンジは「行きたくなーい!」と玄関で揉めているときもあり、少し心配ですが(笑)。

 

富士山の前で4人のお子さんとラミレス夫妻
富士山の前で4人のお子さんと

傷つきながら学ぶことも必要

── 小学校に入学するにあたり、心配はありませんでしたか?

 

美保さん:ないことはなかったです。ただ、彼も自立していかなくてはいけないので、私たちが守りすぎるのもよくないと思っています。自分がダウン症であることを理解して、傷つきながら学ぶこともあるはずです。私たちも心配なので、あれはしなくていい、これはするなと言いがちですが、強く育ってほしいので、サポートはしつつ自分で生きていく力をつけてほしいですね。

 

だから、ケンジについては次男のジュリ(5)や長女のリア(3)よりも厳しくしているかもしれません。最近は、彼の世界ができつつあるようです。先日、終業式のときに、同じ学校の6年生のダウン症の子が来ていたのですが、ハグをしたり肩を抱き合ったり会話をしたりする姿をみたときは、グッとくるものがありました。

 

アンゲくんを抱くラミレス家の子どもたち
アンゲくんを抱くケンジくんとジュリくん(左)。右はリアちゃん

「次の子はもっとうまく育てられる」

── 長男のケンジくんがダウン症で、2人目のお子さんも同様の心配はありませんでしたか?

 

美保さん:正直、私にはありました。夫とも話をしましたが、ダウン症について何も知らないところからケンジを育て、スペシャリストになりつつあるから、「次の子がそうでも、もっとうまく育てられる」と言われ、不安はなくなりました。

 

その時点で高齢出産のため、ダウン症がわかる出生前診断を受けることもできましたが、ダウン症の有無で選択するつもりはなかったので、受けませんでした。

 

ケンジは今でも、赤ちゃん時代からの笑顔が変わらなくて本当にかわいいです。9か月のアンゲと同じように人懐っこくてピュアですね。

 

アンゲくんを妊娠中も、家族でプールへ 
アンゲくんを妊娠中も、家族でプールへ

「五輪出場だ!」

── これからケンジくんを、どうサポートして見守っていくつもりですか?

 

美保さん:普段の生活では、できるだけ多くの経験をさせてあげたいと思っています。今は泳ぐことが好きなので、それができる環境づくりをしたいですね。パパはさっそく「スペシャルオリンピックス出場だ!」と息巻いていますが、どうなんでしょうか(笑)。

 

ただ、自分が好きで始めたものを嫌いになってほしくないので、彼の気持ちを尊重しながら続けさせたいと思います。難しいことですが。

 

ケンジだけではなく、ほかの子どもたちにもそうですが、夜になると今日の対応の仕方はよかったのだろうかと振り返ってしまいますね。お母さんはみんなそうだと思いますが、正しい答えはないですよね。

 

PROFILE ラミレス美保さん

1982年、東京都生まれ。大学卒業後、アパレル企業勤務をへて2015年に横浜DeNAベイスターズ監督(当時)のアレックス・ラミレスさんと結婚。’19年に「クロスフィット モトマチベイ」、’20年に一般社団法人「バモス トゥギャザー」を設立。4人の育児に奮闘中。

取材・文/CHANTO WEB NEWS 写真提供/ラミレス美保