けん玉だけではなく、昆虫の飼育や着付けなど、さまざまなジャンルを突き詰める「ビタミンボイス」の演歌歌手・三山ひろしさん(42)。ペットの散歩のときも、考えごとをしているそうですが、常に“無休”の毎日を語ってくれました。(全3回中の2回)
最終的に僕だけが…
── カブトムシやクワガタをご自身で繁殖させて、飼育もしていますね。
三山さん:カブトムシの累代飼育(※)は5年続きました。ある年は180匹くらいになって、「どうする?これ」というようなときもありました。ただ、去年は卵が産まれなくなり、残念ながら累代飼育は途絶えてしまいました。
(※)何世代にもわたり繁殖させ、飼育すること
── 飼育は、2人のお子さんたちも手伝ってくれるのですか?
三山さん:最初は、ですね。6年くらい前に、子どもたちが近所のお祭りでカブトムシを3ペアもらってきたんです。
家族で「命あるものだし、大事に育てよう」という話になったのが飼育のきっかけなんですが、もう今はお世話をしなくなってしまいました(笑)。最終的に僕だけが楽しんでいます。
昔は全然、興味がなかった
── 成長した個体をファンの人にプレゼントする譲渡会も行っています。
三山さん:クワガタは順調に増えているので、譲渡会は引き続きやります。今年は23、24匹かな。僕のところで成長したクワガタを大切に育てて、累代飼育を続けている方もいらっしゃいます。
そういうファンレターが写真入りで届くと、つないでいってくれてるんだなぁと嬉しくなりますね。
── 子どものころから昆虫は好きだったんですか?
三山さん: それが、昔はぜんぜん興味がありませんでした。子どものころは山へ行くと竹を切って、竹トンボや竹刀、水鉄砲や突き鉄砲などを作って遊んでいました。
子どもたちが祭りでカブトムシをもらってきたのがきっかけで、はじめて生態や飼育方法を調べたんです。
そのうちだんだん面白くなってきて、累代飼育を始めたり、乾燥剤を入れた瓶に入れて標本にしたりと、けっこう遊び尽くしていますね。
自分の知らないことをなくしたい
── 三山さんは小さなきっかけで始めたことでも、徹底してやりますよね。
三山さん:そうですね。手をつけたものは最後まで、行くところまで行きたいというところがあります。
やるからには、それがどこまで伸びていくものなのかをみてみたい。その分野に関して、自分の知らないことをなくしたいと思ってしまいます。
だから、カブトムシを育てようとなったときも、飼育方法を広く知っておきたくて、とことん調べました。
それを知識として得たら、今度はアウトプット。自分で実際にやってみるという、その繰り返しです。
けん玉にしても虫にしても、包丁研ぎにしてもドローンにしても、みんな同じようにやっています。そういう性分なんでしょうね。
休日も細かくスケジュールを入れる
── 何もしないで、ゴロゴロしていることはありますか?
三山さん:あまりないかもしれないです。いつも何かやっていますね。休みの日でも、朝起きて食事をしてコーヒーを飲んだら、何をしようかと考える。
このあとこれをやって、お昼を食べて、そのあとこれをやったら夕方6時くらいになるから今日はおしまいだな、という風に細かくスケジュールを立てます。
仕事が忙しくて、できなかったことを入れていきます。
空を見上げても考えてしまう
三山さん:忙しすぎて、嫌だっていう人もいるかもしれない(笑)。何もしないで時間が過ぎていくのは、もったいないと思うんです。
キャンプに行ってコーヒー飲みながら空をみたりするのも、たまにはいいんですけどね。
でも僕、空をみていても、何をやろうかなと思ってしまうんですよ。せっかくここに来てキャンプをするんだから、できることはないかな、と。
普段、考えていることにオチをつけて、発展的なことを探してしまいます。
── 愛犬のリリちゃん、みるくくんの散歩をしているときも?
三山さん:犬の散歩のときは、犬のことを考えています。…いや、あやしながらも何か考えてるかも(笑)。無の状態になることはありませんね。
根っからの貧乏性というか、動いていたいという性分です。時間があったら、何か見つけて仕事をしてしまう。そういう母を、ずっと見てきたからかもしれません。
PROFILE 三山ひろし さん
1980年、高知県生まれ。高校卒業後は地元のガソリンスタンドに就職。歌手を目指し上京後は作曲家の中村典正さんのもとで3年間修業。2009年に『人恋酒場』で歌手デビュー。’15年からNHK紅白歌合戦に連続出場。著書に『はじめてでも絶対できる!三山ひろしのけん玉教室』。
取材・文/原田早知 写真提供/三山ひろし