人と一緒にいるとなぜか疲れてしまう、損した気分になる…でも、それって“自分のせい”と思っていませんか?カウンセラーの石橋典子さんによると、相手の力や時間を奪う人、“エネルギー・バンパイア”の存在が大きく影響していると言います。

 

自己評価の低い人ほどエネルギーを奪われやすい

他人といるとどうしようもなく“気疲れ”する正体

ママ友に急に呼び出されて自分の用事がすませられなかったり、同僚から“お願い”と言われて忙しいのに引き受けてしまったり…他人との関係性で気疲れをしている人は、個人の気質の問題だけではないそう。

 

「相手の力や時間を奪うような人を、メンタルヘルス業界では“エネルギー・バンパイア”と呼びます。エネルギーは目に見えないもので『体力』と認識する方も多いですが、『やる気』『元気』『生命力』などを統合したものだと考えてください。

 

アメリカでは、エネルギー・バンパイアは5人に1人の割合でいると言われています。日本人は自分より周りのことを気にする国民性のため、もっと多いのではないでしょうか」

 

石橋さんによれば、エネルギー・バンパイアの被害にあう人も数年前にくらべて増えたと言います。

 

「コロナの影響で人々がストレスをためやすくなったのも一因だと思います。窮屈になった日常で、疲弊していく自分のエネルギーを補おうと、他人のエネルギーを吸い取っている話を聞く機会が、クライアントさんだけでなく周りの人にも増えました」

成功者にはエネルギー・バンパイアが多い?

「ちょっとお茶しようよ」と誘って、延々と自分の話ばかりする人もいます。話を聞かされた人は、別れた後でぐったりしたり、モヤモヤしたり…不快・不安定な状態に。

 

少しずつ、かつ継続的に相手のエネルギーを吸い取る様子から、このようなタイプの人をエネルギー・バンパイアと呼ぶようになったそうです。

 

じつは成功者にはこの気質が多いそう。人を惹きつける魅力をもった人が多いため、周囲は知らない間に、自分の体力ややる気を削がれてしまうのもやっかいな点です。

自己評価が低い人は注意が必要

自分のエネルギーを奪う人とはなるべく距離を取りたいものですが、タイプによっては難しい場合があると石橋さんは言います。

 

「たとえば自己評価が低い人などはエネルギー・バンパイアに自分のエネルギーが奪われていることに気づいても、それを受け入れ、許してしまうことがあります。

 

自分にはできないことをやっている、夢を叶えてくれる、心のスキマが埋まるなどと解釈し、彼らを容認してしまうのです」

 

自分で自分を認め、自分を大切にすることを許可できるようになると、心身のバランスが取れてエネルギーを守ることができるそうです。

 

「もし他人といるときに疲れてしまうと感じたら、その相手がエネルギー・バンパイアである可能性を考えてみてください。そして、自分の身を守る意識を持つことが大切です。

 

カウンセラーとして皆さんの話を聞くと、じつに多くの人が知らず知らずのうちにエネルギー・バンパイアに自分のエネルギーを吸われていることに気づきます。

 

でも、不調の原因が自分のせいではないことに気づくと、『生きることがラクになった』と思われる方もいます」

 

コロナ禍で定着したソーシャル・ディスタンスの考え。エネルギー・バンパイアからは物理的な距離だけでなく、心の距離も保つことで、自分の身を守って欲しいと石橋さんは話します。

 

PROFILE 石橋典子さん

ピラティスインストラクターとして活動中に、クライアントからの要望でカウンセリングのみのコースを立ち上げ。コロナ禍の影響によりニーズが高まり、現在はカウンセラーに専念。INSIDE主宰。NGH(米国催眠士協会)認定ヒプノティスト。近著に『エネルギー・バンパイア エネルギーを吸い取り、あなたを困らせる人から身を守る方法』(現代書林)。

 

取材・文/清宮あやこ