「やればできる!」と思える自己効力感を育ててあげて
幼いころは子どもをコントロールできたとしても、やがてコントロールできなくなってきます。中学受験は思春期と重なる時期。思春期の子どもの反抗に悩む親は多いですが、それは「自分とお父さんお母さんは違う人間だぞアピール」だと考えてください。
思春期の子どもたちにとって、親の目が100%自分に向くことや、期待をかけられることは負担です。そう考えると、夢を託してコントロールすることはもう難しいですよね(笑)。
自己肯定感に加えて、「自分はなんでもやればできるんだ」という感覚を持つ「自己効力感」はとても大事です。これがないと、何かに取り組む力が湧いてきません。
自己効力感を伸ばすポイントは声かけです。このとき、どんな言葉をかけるかに注意を払ってください。次のような声かけはNGです。人格や才能そのものを褒め続けた場合、失敗すると、自分自身を否定されたような気持ちになってしまうために、未知のものに挑戦することが怖くなり、努力しなくなってしまいます 。「努力の過程を褒める」がコツです。
NG例(人格そのものを褒めるのはNG)
- あなた賢いね
- さすが天才だね
- いい子だね
OK例(努力の過程を褒める)
- たくさん練習したね
- 努力してきたからだね
- 頑張ってきたね
このような声かけによって「よし、頑張ろう」と思える自己効力感が育まれます。
相談者さんの場合、「第一志望は残念だったけれど、今まで勉強してきたことは絶対に活かせるから、あなたの努力は無駄じゃないよ」と“頑張ってきたこと”をお子さんに伝えられるといいですね。そして、相談者さん自身の新たな目標も探してみてください。
PROFILE 八木経弥さん
やぎ・えみ。臨床心理士/公認心理師。心療内科や児童相談所、スクールカウンセラーなどの勤務経験のもと、開業カウンセラーとしても活動中。仕事では心理学を活用した育児の方法などを伝えている。2人の娘の母。
取材・文/大楽眞衣子 イラスト/まゆか!