人の真似は絶対にしない。自分の個性を表現する

── どれひとつとっても同じものがないそうですね。しかも個性的です。子どものころから作ることがお好きだったのですか?

 

京子さん:わたくしの幼少期は物がない時代だったんです。ピアノが習いたいと言っても「高くてダメだ」って言われて、道に絵を描きたくても、ろう石すら買ってもらえませんでした。

 

マキシマ研究所の表札
お二人が営むマキシマ研究所は台東区・谷中銀座のそばにある

幸三さん:ただ、京子の母親は手先が器用だったんですよ。着物も縫っていました。

 

京子さん:一流のものをね。実家は呉服屋だったんです。だから、色彩感覚は家のおかげで身についたかもしれませんね。

 

幸三さん:今は私が染色をするんですよ。世界中から染料を集めて。

 

── 共同作業なんですね。京子さんの美への想いを、幸三さんが支えていらっしゃるんですね。

 

幸三さん:マキシマクラウンはシルク・化学繊維糸で作っています。原材料から技術まで勉強を重ねて特注しました。シルクの糸を編み上げる技術は世界ではあまり見られません。その技術の研究もうちでしているんです。

 

京子さん:お金もかかりますから、親戚からは厳しい言葉をかけられたこともあります。

 

幸三さん:私たちが創る美の世界は、なかなか理解されにくいんです。

個性美に気づくと、全然違う生き方が生まれる

── それでも、お二人でここまで美の仕事を極めてこられて。

 

幸三さん:私たちが創り出してきた美は、世界唯一のもので、特許も取りました。最高レベルだと誇りをもって言えます。これからも、とことん美を極めていきたい。

 

── お二人の美の世界を次の世代にもつないでいきたいですよね。

 

幸三さん:お客様がマキシマクラウンを身に着けられたとき、それまでとは違う表情をされるんです。それが「個性美」です。マキシマクラウンをきっかけに、女性お一人おひとりが新しい美の可能性を発見してくださったら嬉しいですね。

 

マキシマ研究所の巻島京子さん・巻島幸三さん
取材は、マキシマクラウンの魅力が詰まったお二人の仕事場で行われた

京子さん:どれだけご自身の個性美に気づかれるか、ということなんです。そうすると、それまでと全然違う生き方が生まれてくるわけです。女性たちが自分の美と生き方の可能性に気づいてくださることが、わたくしのいちばんの望みです。

 

幸三さん:私たちにとっては、著名な方でも一般の方でも、思いは変わらないんです。お一人おひとりが喜んでくださればそれでもう十分なんです。そのために、私たちは人生をかけてきたのですから。マキシマクラウンで新しい美を喜んでくださったら、自分たちがやってきたことの意味があるというものです。

 

PROFILE 巻島幸三さん・京子さん

東京・谷中でマキシマ研究所を経営。巻島幸三さんは87歳、京子さんは91歳。結婚後、二人でかつらでも帽子でもない、新しい頭飾品「マキシマクラウン」を生み出す。現在も研究を重ね、個性美を大切にした世界で一つのマキシマクラウンを創り続けている。

 

取材・文/高梨真紀 撮影/河内 彩

※「マキシマクラウン」は登録商標です。