缶コーヒーに使われるコーヒー豆と、お店で提供されるコーヒー豆、多くは異なる品種を使っているということをご存知でしょうか。今回は、缶コーヒーとお店コーヒーの「豆の違い」について紹介します。

栽培しやすく、安価な「ロブスタ種」が缶コーヒーの定番

日本で缶コーヒーが発売されたのは、1960年代後半のこと。今では自動販売機やコンビニなど、あらゆる場所で缶コーヒーを購入することができるようになりました。100円台で購入できる気軽さから、仕事の休憩時間やドライブのお供に購入する人も多いのではないでしょうか。

 

缶コーヒーとお店で提供されるコーヒーの大きな違いは、「コーヒー豆の品種」です。一般的に、缶コーヒーに使われているのは「ロブスタ種」。低地での栽培が可能で、病害虫にも強く、大量生産しやすいため、安価で提供することが可能なコーヒー豆です。このロブスタ種を主に使用していることも、缶コーヒーが100円台という値段で提供できている理由の一つと考えられます。

缶コーヒーの写真(PIXTA)

焙煎後の味の特徴は、苦味が強く、風味は弱め。ストレートで飲むことは少なく、複数の豆をブレンドして使われています。缶コーヒーが発売されたばかりのころは、「コーヒーはミルクと砂糖を入れて飲む」のがトレンドだった時代。ミルクや砂糖にも負けないコーヒー感を表現するためにも、ロブスタ種は缶コーヒーにぴったりの品種だったのかもしれません。

 

ちなみに、ロブスタ種の生産量がもっとも多いベトナムでは、甘いコンデンスミルクをコーヒーにたっぷり入れて飲むスタイルが主流。この「ベトナムコーヒー」は、苦味の強いロブスタ種を、美味しく楽しむためのアレンジコーヒーといえるでしょう。

苦いコーヒーをコンデンスミルクと一緒に楽しむ「ベトナムコーヒー」

ストレートでも楽しめる風味豊かな「アラビカ種」

お店で提供されているストレートコーヒーのほとんどが「アラビカ種」です。ストレートコーヒーとは、一種類のコーヒー豆で作られたコーヒーのことで「シングルコーヒー」と呼ばれることもあります。この品種は標高が高い地域での栽培が一般的で、病害虫への抵抗力も高くありません。「栽培が難しい」というデメリットがある一方で、苦味と酸味のバランスが良く、豊かな香りと甘味を持つため、全世界のコーヒー生産量の約7割がアラビカ種だと言われています。含まれるオイル成分が多いので、抽出したときの口当たりもよく、ストレートで味わいを楽しむことができます。モカ、マンデリン、ブルボン、ゲイシャなど、店頭でよく耳にするコーヒーもすべてアラビカ種です。

コーヒー豆のイメージ写真(PIXTA)

近年、ミルクや砂糖が入っていない「ブラック」の缶コーヒーが増え、使用するコーヒー豆も「アラビカ種使用」を強みとする商品が登場しています。ロブスタ種も品種改良により良質なものが出現しているとか。時代のニーズに合わせて開発されていく缶コーヒー。今後、どのように進化していくのか楽しみです。

取材・文・撮影/佐藤有香(バリスタ)