新人コピーライターの成長を描く漫画「ゾワワの神様」。描かれるエピソードは、作者であるうえはらけいたさん(@ueharakeita)が、博報堂でコピーライターをしていたときの経験もいかされています。漫画を通して「働くこと」を見つめるうえはらさんに、仕事が楽しくなる秘訣を聞きました。

仕事を楽しめるのは「好奇心を腐らせない人」

──「ゾワワの神様」の「ゾワワ」は、仕事で感動を越える体験をした主人公の生理反応をあらわす言葉です。主人公の気づきや感動を共有することで、「仕事っていいものかも」と思えます。

 

うえはらさん:仕事って楽しいこともありますが、そればかりではないですよね。僕にも会議室で夜中にひとりで泣いた経験がありますし、日曜の夜はいつも憂鬱になっていました。

 

だからこそ、仕事をしている若い人たちが少しでも気がラクになって、「明日もがんばろう」と思ってもらえるような作品を描きたいと思っています。

 

── 仕事が楽しくなる秘訣はなんでしょうか。

 

うえはらさん:結局は「自分が楽しむこと」じゃないかと思います。

 

仕事を楽しんでいる人には、どんなに優秀な人もかなわない。というより、優秀な人ほど仕事を楽しんでいるんですよね。

 

第12話で登場するI沢さんにはモデルがいるんですが、どんなときも楽しそうに仕事をする人でした。

 

── テレビCMで「ペガサスを飛ばしたい」というアイデアを実現させるクリエイティブディレクターですね。ペガサスのリアリティを大真面目に追求する姿が印象的でした。続く第13話では、CM監督に「撮影で楽しそうなクリエイターは愛されますよ、彼女みたいにね」と言われていましたね。

 

空想の動物のリアルさをとことん追求する先輩の仕事ぶりに主人公は影響を受ける

うえはらさん:ペガサスが本当に空を飛べるのかを調べているときは、子どもみたいに楽しそうでした。

 

仕事を楽しめる人って、“いくつになっても好奇心を腐らせずに持ち続けられる人”だと思います。

 

I沢さんと一緒に仕事をして、僕もこういう人になりたいと思いました。

 

── 確かにI沢さんのように仕事をしていたら、日曜の夜が憂鬱になることはなさそうですね。

 

うえはらさん:実は僕も、漫画家として独立してからは日曜の夜が憂鬱じゃなくなりました。

 

仕事ってやらされているのと“自分ごと”としてやるのとでは、全然違う。

 

博報堂でCMクリエイターとして長く活躍された故小沢正光さんの名言に、「早く月曜日が来ねえかな」という言葉があるんです。

 

組織にいてもいなくても、仕事を“自分ごと”にできれば、毎日は楽しくなるんだと思います。