多くの親にとって、特にお腹の中でわが子を育てたママにとっては、生まれた赤ちゃんと自分がまるで一心同体のような気持ちになるのではないでしょうか。しかし、親子といえど、子供はやはり親とは別の人間。だんだんと成長するにつれ「うちの子、何を考えているのかさっぱり分からない…」という嘆きもときどき耳にします。
特に、2歳・小学3年生頃・そして中学生前後の思春期のお子さんのママからよく聞くこの悩み。それぞれの年齢はちょうど反抗期とも重なります。
今回は、わが子が何を考えているか分からなくなったときの理由や対処方法について考えてみました。
魔の2歳児…なに考えてるの!?
生まれたばかりの赤ちゃんは泣くことでしか感情表現や要求を伝えられません。
1歳を過ぎても「ワンワン」「ブーブー」など出てくるのは単純な言葉が中心で、お出かけも着替えも言われるがまま、あるいは比較的すなおに動いてくれて、あまり「考える」という姿は見られませんよね。
しかし2歳頃からは、ママやパパからの指示に対し、やる・やらないを主張し始めます。しかもほとんどが「イヤ!」と拒否することばかり。
また、ちょっとしたきっかけでかんしゃくを起こして大泣きする子もいます。
なまじ会話ができるようになってきているだけに、「さっきは公園に行くって言ったのに、何がそんなにイヤなの?」「かんしゃくの理由が分からない…」と嘆く人も出てきます。
イヤイヤ期の子は、指示の内容に対してではなく、指示されることそのものに「イヤ!」と言っていることが多いので、さっきと正反対のことを嫌がるなど、大人からすると理屈に合わないことも多々あります。
この変化が急激に訪れた場合は特に、ママやパパは「いったい何を考えている?」と戸惑うかもしれませんが、程度の差はあれ、2歳児ならそれも発達の過程の1つといえます。
過剰に心配する必要はありませんが、まれにお子さんが発達の課題を抱えている可能性もあります。通常のレベルを超えて理解できない点があると思ったときは、検診や自治体の育児支援窓口、毎日たくさんの子供を見ている信頼できる保育士さんなどに相談してみると安心です。
小学校3~4年でガラッと変わる子も
小学校の3年生や4年生(9~10歳)は、別名「ギャングエイジ」と呼ばれる年頃。
いつも親と一緒だった幼児期から、同年代の友達集団で行動するようになり、価値観も親より仲間内のルールを優先するようになります。
友達に誘われると悪いことと知りながら断れずイタズラに加担したり、仲間内で流行っているからと、今まで使ったこともないような汚い言葉を口にして親を驚かせたりします。
また小学校低学年頃からこの時期にかけては「中間反抗期」にも重なり、「最近口答えばっかり」「外ではちゃんとできるのに、家では態度が悪くて…」と、わが子の変化に首をかしげるママもいます。
これらはいずれも、赤ちゃんから幼児期の「なんでも家庭(親)が一番」という世界観から、友達を手始めに社会性や広い視野を身につけていく成長の一環であり、たいていは心配いりません。
思春期は「分からなくて当たり前」
「小さいときはあんなにママ大好きっ子だったのに、中学生の今はろくに親と口もきかずブスッとしてばかり…」
「かと思えば急にきげんよく話しかけてきたり。本当に何考えてるんだろう」
思春期の親御さんのほとんどが、そんな経験をしているのではないでしょうか。
ただ、思春期の子供の考えていることが分かるというのは、そもそも非常に珍しいといえます。
なぜなら、他ならぬ子供自身が「自分でも何を考えているのか分からない」という可能性が高いから。
思春期の子供は、「自分とは何者か」「この先どう生きていくのか」を考え始める時期です。周りと自分を比較して、やたらと見た目を気にしたり、成績や部活などでコンプレックスを感じて不機嫌になったりもします。
また第二次性徴の影響で身体も大きく変わり、6年間通った小学校から中学校への進学で環境もガラリと変わる子が大多数。ホルモンの影響で感情もとても不安定です。
「うるせえババア!と言われたら子育て成功」「壁に穴があいたら赤飯を炊く」など、この時期特有の子供の揺れ動く姿を、成長の証としてポジティブに捉える親も少なくありません。
どこまで許せるかは人それぞれですが、犯罪や自他を傷つけるような行為でなければ、内心「その態度はないわ」「何考えてるの!?」と思っても、できるだけ否定せず見守ってあげたいですね。
おわりに
すべてをママにゆだねていた赤ちゃん時代から、子供はどんどん成長し、短期間でびっくりするほど変わってしまうこともあります。
急激に変化がおとずれると、親のほうがそれについて行けず「何を考えているのか分からない…」と悩んでしまうのかもしれません。
ただ、わが子が生まれた時から独り立ちするまで、ずっと何を考えているか分からなかったという人は少ないはず。
親としては少し淋しい気はしますが、急な変化の時期には、一歩引いてよく様子を見たり、それまでの「この子はこういう子」という思い込みを捨ててフラットに接する中で、その子なりの感情のサインや本当の気持ちを見つけられると良いですね。
文/高谷みえこ