創作活動は言葉以外の表現方法を知る機会に

── おすすめの活動はありますか。

 

杉本さん:
ダンスや音楽、絵画などの表現活動やプログラミングなどの創作活動はおすすめです。遠慮がちな子どもが多いので、言葉以外の表現方法があると知ると喜んで取り組むケースも多いです。

 

創作活動に取り組むイメージ

研究熱心なHSCは、環境が整っていればいきいきとその好奇心を満たすために、物事を知ろうとします。

 

一方で、HSCは断ることや、欲しいものを伝える自己表現を控える傾向があります。自分が口にしたことで、相手が嫌な気持ちになると考えるからです。しかし、自分の意思を発信することはとても大切で、親はそのサポートをする必要があります。

 

具体的には、選択肢を用意して、「どっちが好き?」と好きなほうを選ばせる手法をおすすめしています。好きなものであれば、答えやすく、無理なく自己表現できると思います。

 

日頃からこのように接していれば、自分を発信できるようになり、気の合う人が周囲に集まるようになり、HSC自身がとても楽に生活を送れるようになります。

HSCはみんな我慢していると思っている

── なぜHSCは自分のことを発信しないのでしょう。

 

杉本さん:
HSCは「みんなも同じように思っているけど我慢している」と考えているからです。他の人もみんな我慢しているのに、自分だけが「こうして欲しい」と意見を主張するのはいけないことだと思っています。

 

人への気づかいができる優しい心を持っているがゆえに、本来しなくてもいい我慢をしてしまうのです。

 

これは周りの大人が「みんな我慢しているわけではないよ」と教えるしかありません。親が「困っていることは言っていいんだよ」と伝えてほしいと思います。そして、感じていることに気づけるよう、子どもをよく観察してください。

 

 PROFILE 杉本景子さん

公認心理師、看護師、保護司。NPO法人千葉こども家庭支援センター理事長。千葉市スクールメディカルアドバイザー。不登校児童生徒をサポートするフリースクール「ペガサス」を千葉市に開設。

 

取材・文/天野佳代子 写真/PIXTA 本人写真/杉本さん提供