「スターバックスコーヒー」でドリンクをオーダーするときに、内容の一部を変更して自分好みにアレンジする“カスタム”。チャレンジしてみたいけれどハードルの高さを感じている人も多いかも?40万人以上のフォロワーを持つ、スタバのカスタム情報を発信するアカウントの草分け的存在「いんスタバぐらまー(@instaba.gramer)」。アカウントを運営する慶應義塾大学薬学部薬学科に在籍の中野結衣さんにカスタム法や人気のメニューなどについて教えていただきました。

 

【いんスタバぐらまーの人気No.1カスタム】「オレオ風フラペチーノカスタム」
【いんスタバぐらまーの人気No.1カスタム】「オレオ風フラペチーノカスタム」

これまで飲んだ量は計算したらバスタブ2杯分(笑)

── スタバのカスタム、やってみたいけれどハードルが高い気がして…。

 

中野さん:
そうですよね。私も最初はカスタムができるなんて知りませんでした。

 

高校生の頃、友達に連れていってもらって「キャラメルフラペチーノ」に出合って雷に打たれ(笑)、それから毎日のように、お昼代を浮かせてグランデサイズを頼んでいました。

 

大学生になって、「ほかのメニューも試してみよう」と思ってよく見ると、知らなかったメニューやカスタムがたくさんあって。メニュー表の下のほうに、ちっちゃく書いてあるんですよね。
 

 

たとえば、バニラやチャイなど6〜7種類のシロップや、ホイップ、チョコチップなどの増量はタダ。ミルクは全7種あるのですが、低脂肪タイプや無脂肪ミルクへの変更はタダです。「こんなカスタムも無料でできるの?」と感銘を受けて、「これはみんなにも知ってもらわなきゃ!」と3年前から投稿を始めました。

 

「いんスタバぐらまー」は友人と2人で、当初は毎日、今は週に2、3回投稿しています。1年ごとに10万ずつフォロワーさんが増えていきました。フォロワーの9割が20〜40代の女性です。「カスタムデビューできました」「もっと早くやればよかった」というコメントをいただくと嬉しいですね。

 

カスタムのメニュー作りは料理のレシピを作るプロセスに似ています。「この組み合わせが合うんじゃないかな?」「こんな味ができるんじゃないかな?」とイメージしながら、あれこれ試します。これまでに700杯以上投稿しているのですが、実際には1000杯以上飲んでいます。ちょっと前に計算したら、バスタブ2杯以上になりました(笑)。

 

── いんスタバぐらまーの投稿写真にカスタムメニューが書いてあるので、そのスマホの画面を見せるだけでオーダーできるのがありがたいです。

 

中野さん:
当初はカスタムメニューを文字で書いていたんです。それを見ながらフォロワーさんがレジで読み上げるんですけど、それでは「緊張する」「呪文みたい」という声をいただいて。

 

もっと気軽に誰でもカスタムが楽しめるように、見せるだけで伝わるメニュー表を作りました。スタバで働いている方にリサーチして、カスタムに必要な材料はレジで打ちやすい順番にしてあります。

18万回保存された圧倒的人気NO.1のカスタムメニューは

── 人気のカスタムメニューを教えてください。

 

中野さん:
ダントツの人気1位は「オレオ風フラペチーノカスタム」。インスタで18万回保存していただいた圧倒的人気のカスタムです。

 

「バニラクリームフラペチーノ」にチョコチップ追加(+50円)、ホイップ多め(無料)、シロップをホワイトモカに変更(無料)したもので、2019年のバレンタインに限定販売された「チョコ カスタマニア フラペチーノ(R)」を再現したいと思って作ったカスタムです。

 

バニラ味にチョコチップの食感が加わって、ザクザクした〝オレオ感〟が味わえます。

 

私が個人的に好きなのは、「エスプレッソアフォガードフラペチーノ」にキャラメルソースとホイップクリームを追加するカスタム。

 

アフォガードがさらに濃厚になった感じですごくおいしいんですけど、カロリーが高いので毎日は飲めません。

 

私が甘党なこともあってフォロワーさんには甘いカスタムが人気ですが、ダイエット用のカスタムもあります。ホイップクリームを抜いて無脂肪ミルクにするだけで100kcalくらいは落ちますよ。

「遠慮はしないで配慮はする」のがカスタムの精神

── スタバの一番の魅力は何だと思われますか。

 

中野さん:
“サードプレイス”としてくつろげる圧倒的な空間力はもちろんですが、一番の魅力は店員さんです。知識も豊富ですし、「特別な1杯を楽しんでもらいたい」という気持ちを持っていてくださる方ばかりです。店員さんと話したり仲よくなったりするためのツールとしても、カスタムがあると思っています。

 

私が心がけたいと思っているのが、「遠慮はしないで配慮はする」ということ。

 

カスタムは店員さんにお手数をおかけしてしまうのは確かなので、配慮はするけれど、遠慮はしなくていいと思っています。

 

── ご自身でも会社を経営されていますね。

 

中野さん:
2020年にステンレスストローを販売する会社「Cuet」を立ち上げました。

 

その年の初めにスタバが紙ストローに切り替えるというニュースを知って、2月から動き出して5月には販売していました。紙ストローもいいですが、ステンレスストローは繰り返し使えます。

 

ご購入いただいた方のなかには、スタバへ行くときはマイストローとして、ステンレスストローを持参するという方も増えていて嬉しいです。ステンレスストローを使うと、唇がひんやりしてフラペチーノがよりおいしくなるんです。

 

カフェタイムのアクセサリーになるようなアイテムを通して、使っているうちに自分の選択や、自然を大切にする気持ちを考えるきっかけにしてもらえればと思っています。

 

── カスタマイズ精神は、ご自身の事業でも意識されていますか。

 

中野さん:
そうですね。ステンレスストローはいんスタバぐらまーのアカウントでも販売しているので、お客さまとの距離が近いと思います。

 

当初はワンサイズの展開だったのですが、お客さまから「フラペチーノ用に太いタイプがほしい」というご要望があって、ワイドサイズを展開しました。これからもお客さまの声にはできるだけ応えていきたいです。

 

今はまだ大学生なので勉強と経営のバランスをとりながらやっていますが、来春大学を卒業したら、ライフスタイルを提案するアイテムをもっと増やしていきたいと思っています。

 

PROFILE 中野結衣さん

慶應義塾大学薬学部薬学科に在籍する大学6年生。大学在学中にステンレスストローを販売する会社「Cuet Inc.」を起業し代表を務める。スタバのカスタムを紹介するInstagramアカウント「いんスタバぐらまー」は、40万人以上のフォロワーを持つ。

取材・文/林優子 写真提供/中野結衣