うちの子は、いつも似たようなYouTubeばかり見ていて、興味・関心が偏っている気がする。きょうだいがいない一人っ子だからだろうか…。そんな悩みに対して、進学塾VAMOS代表の富永雄輔さんは「一人っ子は保護者の影響をもろに受けるから、意識して世界を広げてあげてほしい」と話します。『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)の著書もある富永さんに聞きました。
親子で共通の話題を持つ
兄弟姉妹がいれば、お互いに好きな遊びや漫画などを教え合うことができます。教え合わずとも、自分の興味とは違うものを身近に感じることで世界は広がる。
いっぽう、一人っ子は、保護者の影響をもろに受けるため、親が与えてくれた情報によってものを考えるようになります。
近年、中学受験から大学受験まで「考える力」を評価する出題が増えており、社会に出てからもあらゆる場面でこの「考える力」は役に立ちます。
「考える力」は「知識量」に比例します。だから、家庭でどういう情報を与え、多様な世界を示すかはとても重要です。
一人っ子が知識を増やすには、できるだけ保護者と時間を共有することだと思っています。
昔を思い出してください。居間にあるテレビを家族全員で囲んで同じ番組を見ていませんでしたか。ところが今は、家庭によっては全員が自分のタブレットで違うものを見ている。それぞれ何を見ているのか分かりませんし、これでは子どもの世界は広がりません。子どもが、好きなYouTubeしか見なくなってしまうのは当然です。
保護者は漫画、アニメ、テレビドラマ、ニュース番組、自分の興味関心のあるものを子どもと共有してみてください。それが「考える力のもと」になります。
『ドラゴンボール』や『スラムダンク』が好きだったら、それを勧めてみてもいいでしょう。
逆に子どもが好きなYouTubeを一緒に見るなど、子どもの世界に参加してみるのもいい。否定はせず、それがなぜ好きなのか、何がおもしろいのかを考えてみることも子どもの世界を広げます。
YouTubeはタブレットではなくテレビ画面を通して保護者も一緒に見られる環境にしておくのがおすすめ。
というのも、YouTubeは、規制の厳しい地上波のテレビ放送とは違って、いろんな動画が流れてくるからです。悪影響なものを見せないという考え方もありますが、グレーなものに対して、意見を交わせば、良いこと、悪いことの社会性を身につけさせるきっかけにもなります。
会話は、記憶力と理解力を養います。もちろんコミュニケーションの練習にもなる。兄弟姉妹と話す機会のない一人っ子は、意識的に家庭での会話を増やすようにしましょう。