「宝くじで高額当選した人」のその後はいかに。当選すると、散財するのか貯金するのか。誰かに話すのか、話さないのか。そして、高額当選した人の末路はいわゆる波乱が待っているのか。数々の高額当選者を取材した、宝くじ専門の月刊誌『ロト・ナンバーズ「超」的中法』編集長の石川修さんにお話を伺いました。

高額当選したら誰に伝える? 

── 宝くじで高額当選したら誰かに言う方が多いのか、それとも黙っているのでしょうか?

 

石川さん:身内には話すケースが多いです。夫婦間だと、高額当選した7、8割くらいは、相手に伝えるそうです。夫婦は、財布が一緒だったり、隠すのが難しいですし。子どもが親に話すケースも多いです。親を安心させたくて高齢のご両親に伝える方もいるのでしょう。

 

ただ、親から子どもには言わないほうがいいかもしれません。場合によっては、おこづかいを期待されすぎてしまうことがありますしね。

 

── 身内以外、会社の人や親しい友人にも言わないほうがいいですか?

 

石川さん:絶対に言わないほうがいいです。一度でも誰かに伝わったら、おごってほしい、お金を貸してほしいなど、めんどうなトラブルに巻き込まれる可能性が高いです。仮に1000万円当たったとしても「100万円当たった」と言って、親しい人数人に食事をごちそうするくらいでいいでしょう。

 

ただ、そうは言っても高額当選した人の多くは、本当は人に話したくて仕方がないんです。

 

私は、高額当選者を取材する機会も多いのですが、高額当選した人は、自分の思いのたけを胸のうちにしまっています。普段人に話せないぶん、宝くじのことがわかってる人に話すと、話が終わらないんです(笑)。

 

また、どちらかというと、取材に応じてくださるのは、地域差なく男性が多いように思います。

当選した人のその後はやっぱり不幸なの?

── 実際に高額当選した人のその後は?

 

石川さん:「高額当選すると不幸になる」という話をよく聞くかと思います。しかし実際はそんなことはなくて。割とみなさん堅実にお金を使われてます。

 

なぜなら、高額当選するとみずほ銀行の別室に連れていかれて「高額当選をして、そのお金で失敗しない方法」というような冊子を渡されるんですよ。

 

高額当選をした人は、最初に投資信託などにお金を入れて、あとは欲しかったバイクや住宅など、お金がかかるものを買う人もいます。住宅ローンの支払いがある人はそれで完済したり、子どもの教育費のために積み立てたりする人もいます。高齢者だと老後資金にする人とか。

 

── 実際に当選した人のエピソードはありますか?

 

石川さん:以前、ある会社員の女性がロト7の宝くじで一等8億円を2本…おそらく1人で16億円当てたといわれていて、その女性は親族を引き連れてどこかに引っ越したという話を聞きました。

 

また、3億2000万円当てて株に手を出し、3か月で2億散財した方もいます。残りのお金も飲んだり食べたりして散財したとか。でも楽しかったし、いい経験になったそうですよ。

 

ほかにも、高額当選を2回した人がいます。最初は散財してしまったから2回目当たったときはアパート経営などをしてしっかりとお金を貯めたそうです。

 

── どちらかというと、散財せずに貯金する方が多いのでしょうか?

 

石川さん:
使ってはいるんですよ。クルーザーとか高級車を何台も買ったり。でも、途中でムダ使いだと気づくみたいですね。そこからは堅実な生活に変わります。そういうムダ使いを1回する方は多いでしょうね。

 

── なるほど。逆に株などにつぎ込み失敗した人はいないのでしょうか?

 

石川さん:ほとんどないですね。最初に子どもの養育費や学習費に使って、残りは投資信託で運用する感じです。

 

高額当選しても、ほぼ100%の人が身内以外には話をしないので、基本的に不幸になっている人は少ないような気がします。

 

── ちなみに、宝くじ専門家である、石川さん自身の宝くじ歴はいかがですか?

 

石川さん:ナンバーズだけで当選金は1300万円を超えています。しかし、すでに5000万円ほど使っているので、実際のところ大赤字です。ただこれは僕の考え方ですが、「負けている」という考え方ではなく、みずほ銀行に「預けている」感じです。どこかで大きく引き出そうと思って買っています。

 

宝くじは、予想するのが楽しいんですよね。この数字が来るんじゃないかと思ってやっぱり買うわけですから。そこを楽しみながら続けるのがいいですね。

 

宝くじ専門誌、編集長の石川さん

 

PROFILE 石川修さん

宝くじ専門の月刊誌『ロト・ナンバーズ「超」的中法』編集長。宝くじ高額当選=「夢」で終わらせないことを実現するために、日々研究、取材に明け暮れている。

 

取材・文/間野由利子