「丸ごと!!カニバーガー」「びたびたバターフィッシュ」など、斬新な商品が注目されるドムドムハンバーガー。快進撃を続ける発想はどこから?専業主婦、渋谷109店員、居酒屋のバイトなどを経て、社長に就任した藤﨑忍さんの頭のなかに迫ります(全3回中の3回)。
チーズで具材をはさむ!奇抜バーガーが生まれた理由
新商品を発売するたびにSNSで話題になるドムドムハンバーガー。斬新さを大事にするため、商品開発は2名のみで行っています。
大人数が納得する形にすると、平凡なものになりがちだからだといいます。
バンズの代わりにカマンベールで具材を挟んだ「丸ごと!!カマンベールバーガー」をはじめ、丸ごと揚げたカニが入っている「丸ごと!!カニバーガー」などの商品が次々ヒット。
こうした目新しいハンバーガーを生み出すようになったのは、代表取締役に就任したばかりのころ、「ドムドムってなんだろう?」と考えたのがきっかけでした。
「ドムドムハンバーガーの店舗は、スーパーの一角などにあることが多く、規模も小さいです。要するに、限られたお客さまに守っていただいてきたのです。
そこで、もっとたくさんの客観的な意見を聞くため、さまざまなイベントに出店し、オリジナルのハンバーガーを販売しました。
あるとき、声優さんに依頼され、幕張のライブ会場にキッチンカーで出店したことがあります。
声優さんのイメージカラーがピンクだったので、しば漬けを入れたピンク色のタルタルソース入りのチキンバーガーを販売したところ、2日間で約1900個売れました。
SNSでも話題になり、“ドムドムって子どものころ初めて行ったハンバーガー屋さんだ”とか、“まだ頑張っていたんだね”と温かい書き込みを目にしました」
このイベントだけでなく、さまざまなイベント参加や異業種コラボなどを通し、このような声を聞き、ドムドムハンバーガーが長年続いてきたのは、たくさんの人が愛してくれたからだと気づいた藤﨑さん。
そこでハンバーガーはもちろんのこと、「ドムドム」というブランドそのものを大切に育んでいこうと考えます。
「応援してくださるお客さまやスタッフの人生に寄り添い、並走していきたいと思っていました。
だから、“ドムドムはこういうブランドです”と企業側が決めつけるのではなく、お客さまやスタッフのニーズに合った新しいものを生み出し、お客さまに楽しんでいただきたいです。
ハンバーガーはもちろん、アパレルなどの商品もお客さまのご要望があれば積極的に開発していく予定です」
新しいハンバーガーを作る場合、もっとも大切にしているのは「おいしいこと」。奇抜さだけで目を引いても、味が悪ければ支持は得られません。
見た目で話題になった“丸ごと!!カニバーガー”も、おいしさが受けてヒットしたと分析しています。
「見た目やおいしさに加え、チェーン店で販売したことも大きかったと思います。
というのも、このバーガーは冷凍のソフトシェルクラブ(皮ごと食べられるカニ)を店舗で解凍して揚げるなど、調理のオペレーションがかなり複雑なんですね。
個人経営のお店なら手の込んだものも作れますが、どの店舗でも同じ味のものを提供するチェーン店では難しいんです。
それでも、本部と店舗の信頼関係をしっかりつくり、店舗のスタッフに、どんなハンバーガーを作りたいかを理解してもらう、わかりやすいレシピを考案するなどの工夫をして提供しています。
スタッフの協力なくしてハンバーガーは作れません。本当に感謝しています」