バービーさん(38)とコンビを組むフォーリンラブのハジメさん(38)に10月、ついに女の子が産まれました。2014年に2歳年上の妻と結婚し、なかなか子宝に恵まれなかったハジメさん。最初の検査で自身に原因があることを知り、手術を決断して長い治療生活に入りました。その甲斐あって、小さな命が宿りましたが、過酷な試練が待ち受けていました(全3回中の2回)。
バービーがイジってくれた
── 不妊検査や人工授精をおこなったうえで、精子の活動力を上げる手術に踏みきったそうですね。すぐに決断できましたか?
ハジメさん:そうですね。男性不妊専門の病院で、精子の活動率が悪いということがわかり、先生から漢方薬の服用と手術の2つが提案されました。
漢方は、いつまでにどれくらいよくなるという明確な数字がない一方、精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)の手術は70%くらいの割合で改善があるとのことで、検討の末、手術に踏みきりました。
精索静脈瘤は、精巣から心臓へ戻る血液が逆流して、血行が悪くなり精巣の温度が上がり、熱に弱い精子に影響を与えてしまい、男性不妊の原因になります。
鼠径(そけい)部からメスを入れていく手術で、麻酔で痛みは感じませんが、気持ちのいいものではありませんでした。
手術の翌日に仕事があり、麻酔が切れて痛みが出て、うまく歩けなかったのですが、それを相方のバービーがちゃんとイジってくれたことには感謝でした。
不妊は女性だけの問題ではない
── 不妊やその治療の公表には抵抗はありませんでしたか?
ハジメさん:ありませんでした。僕も検査や手術をするまでは、男性不妊という問題があることは知らなかったので、多くの人に知ってもらいたいと思いました。
ブログでも発表して大きな反響があったのですが、女性からのメッセージから9割くらいで、不妊というと女性のほうが悩みが深いのだなと思いました。
ただ、不妊は女性、男性どちらかだけの問題ではないことは強く訴えたいですね。
── 大変な手術でしたが、結果はよくなかったそうですね?
ハジメさん:そうですね。僕ができることはなくなり、漢方やサプリメントを飲むしかなく、かなりヘコみました。
ただ、妻の切り替えがはやく、自然妊娠は無理かもしれないけど、顕微授精での妊娠の可能性があると不妊治療をステップアップすることにしました。
有頂天になったが流産に…
── 薬で排卵を促し卵子を取り出す顕微授精は、女性の負担が特に大きいようですね。
ハジメさん:そうですね。卵子を抽出するときの痛みと、特にホルモンを調節するためにみずから打つ注射が妻にはしんどかったようです。僕も体をさすってあげることくらいしかできませんでした。
結局、受精卵はできたのですが着床せず、妻の負担が大きいので別の治療法がある病院に移りました。
── 別の病院での治療はどうでしたか?
ハジメさん:ここで初めて受精卵が着床することができて、とてもうれしかったです。
このときは有頂天になり、母子手帳や父子手帳をもらいに行き、まわりにも公表していたんですが、その後の検査で10週の段階で成長が止まっていて稽留流産という結果になってしまいました…。
このときほど、精神的につらい状況はありませんでした。妻にどういう言葉をかけていいかもわからず、泣いてしまいました。
このまま2人でじいさん、ばあさんに
── とても悲しい出来事でした。
ハジメさん:俗に言う安定期より前に、周囲に伝えるべきではないかなとも思い、妻にも申し訳なかったです…。
その後は、治療を継続するかどうかはよく考え、話し合いました。
幸せのために、こんなにつらい思いをするのは本末転倒なのではないかとも考えました。
僕から治療を続けようと言うつもりはなく、妻からストップが出れば、やめるつもりでした。
「このまま2人でおじいさん、おばあさんになってもいいよね」という話をしたこともあります。
そのころに、ちょうど新型コロナウイルスの感染拡大が始まったので、治療を中断することになり、それが次のステップにつながったのかもしれません。
PROFILE ハジメさん
1984年、和歌山県生まれ。2007年にバービーさんと「フォーリンラブ」を結成後、お笑い番組など出演多数。’14年に結婚。この10月に不妊治療の末、待望の第1子誕生。YouTubeの『釣りハジメ』ではフィッシング情報も発信。
取材・文/CHANTO WEB NEWS 写真提供/ハジメ