トイレトレーニングやおもらしなど、子供のトイレまわりの悩みや困りごとはたくさんありますよね。

 

やっとトイレでできるようになったと思ったら、今度は夜中に「怖いからトイレについてきて」と言われて、「おむつの方がラクだったなぁ」とひそかに思ったり、年齢が上がってくると「いつまでついて行けばいいの…?」と心配したり。

 

今回は、子供が夜のトイレを怖がるときの心理や原因、そもそも何歳頃から夜に1人でトイレに行けるのか、年齢別の対策や声がけなどを紹介します。

夜中のトイレはなぜ怖いのか

まずは、どうして子供がトイレを怖がるのかを考えてみましょう。

 

トイレの個室または途中が暗い

赤ちゃんはともかく、物心ついた年の子にとっては、基本的には「暗い場所」は何が潜んでいるのか分からず、怖いと感じるもの。

 

一戸建てにせよマンションにせよ、トイレや廊下の照明はリビングなどに比べて暗めであることも多いですよね。

 

保育園や幼稚園では平気なのに家のトイレは怖がるという場合、夜特有の雰囲気や暗さが原因のことがあります。

トイレ特有のさまざまな音がする

トイレの水を流す音は、背の低い子供にとって大人よりもずっと大きく響きます。

 

また最近の温水洗浄便座にはさまざまな機能がついていて、消臭や使用後のノズル洗浄など、何も操作しなくても突然「ブーン」と鳴り出したりすることもあり、敏感な子はびっくりしてしまうかも。

 

ザワザワしている昼間と違って、周囲が静かな夜にはこういった音がより怖いと感じる子もいるでしょう。

「お化けが出たらどうしよう」と不安

テレビ・絵本・漫画など、お化けや幽霊が出てくる作品はとても多く、トイレは定番の出没場所です。

 

昼間は怖い物見たさで楽しんでいる子も、夜になって1人で思い出すと急に怖く感じる…という経験は、ママやパパが子供の頃にもあったのではないでしょうか?

 

いままで平気だったのに、急に怖がり出した場合は、日中に怖いお話を読んだり見たりしたのかもしれません。

一度怖くなるとどんどん怖さがふくらむ

暗闇が怖い、お化けが怖い、泥棒が怖い…一度何かが怖いと思い始めると、そのことで頭がいっぱいになってしまうことがあります。

 

特に暗い夜、1人で目が覚めたときなどは、いったん生まれた恐怖を心から追い出すのは避難の技ではないでしょうか。

「怖さ」は生きるのに大切な感情!?

怖さの原因はさまざまですが、もし同じような環境だったとしても、子供の反応や感じ方には個人差があります。

 

きょうだいで同じように育てていても、上の子は平気なのに下の子はまったく1人でトイレに行けない…というお宅もあるはず。

 

人間が先史時代に野外で集団生活を行っていた頃には、夜に仲間から離れて1人で遠くに行けば野生動物に襲われるリスクがありました。

 

つまり、夜にトイレに行くのが怖いというのは、生き物としてはむしろ自然なことで、生き延びるのに必要な感情でもあるわけです。

そもそも何歳から夜1人でトイレに行ける?

ところで、子供は通常、何歳頃から1人で夜にトイレに行けるのでしょうか。

 

ベネッセ 教育情報サイトが行った調査では「何歳になるまで、夜中のトイレについていっていましたか?」という質問に対し、もっとも多かったのが「5~6歳」で全体の約3分の1(34%)を占めていました。

 

次に多いのは7~8歳で14%、3~4歳で1人で行けている子も12%。さらにおむつが外れる頃には最初から1人で行けたという子も約4分の1(27%)とかなり多かったようです。

 

夜に1人でトイレに行ける条件としては、まず昼間に一連の動作(トイレに行き、照明をつけ、用を足したら必要に応じて紙でふき、パンツやパジャマのズボンをはいて、水を流し、手を洗うなど)ができている必要があります。

 

また間取りによっても、1人で行かせるかどうかの判断は異なります。

 

寝室からトイレが近い場合は比較的小さい子でも行きやすいですが、一戸建てで寝室が2階、トイレが1階という場合は寝ぼけて階段で足を踏み外す危険性があるので、大きくなるまでついていくケースが多いでしょう。

年齢別のおすすめ対策

つづいて、家庭でできる子供の「夜のトイレが怖い」対策を、幼児・園児・小学生など年齢別に紹介します。

 

5歳未満の子は1人で行けなくてもOK

トイレトレーニングは一人ひとりに合った時期と進み方があり、昼間はトイレでできるけど夜はおむつという子もいれば、夜はパンツになったものの毎晩のようにトイレに起きるという子、朝までぐっすりの子までいろいろです。

 

しかし、5歳未満の子が夜中に「トイレに行くからついてきてほしい」と言えたとすれば、それだけでもすばらしいことです。基本的には誰かが付き添ってあげると良いでしょう。

 

また、なかには「なかなか戻ってこないと思ったら、トイレの中で寝てしまっていた」という子も。

 

熱中症や風邪をひく可能性もあるため、真夏や真冬は特に、1人で行けるとしても戻るまでは起きて待っていてあげた方が良いかもしれませんね。

6~8歳の子は臨機応変に対応

幼稚園の年長から小学校低学年(6~7歳)くらいの子は、少しずつ膀胱が大きくなり尿を濃くして朝まで溜めておくホルモンの働きも発達するため、朝まで起きない子も増えてきます。

 

階段から落ちたりするおそれも少なくなってくるため、1人でトイレに行く練習を始めるには良い時期といえるでしょう。

 

しかし、この年頃の子はお化けや妖怪・幽霊などの話が大好き。園や学校・友達との遊びを通じて、お化けや泥棒など「夜に現れる怖い存在」に触れる機会も多くなるため、以前より夜のトイレを怖がるようになってしまうことも。

 

特に気をつけたいのは、小さい頃から「早く寝ないとお化けがくるよ」と言うことを聞かせていたママ・パパです。すでに怖がってしまっているときはもちろん、できるだけそうなる前の段階でやめるようにしたいですね。

 

暗い廊下に出て行くのが怖いという子には、人感センサーのライトや足元灯などをつけると安心して行けるようになることもあります。

 

また、子供の好きなキャラクターなどのポスターや小物を飾り、定期的に模様替えもするとよりトイレが楽しい場所になるでしょう。

 

またママやパパの世代から子供たちまでよく知っている「おばけなんてないさ おばけなんてうそさ」の歌は、テンポがよく楽しい歌詞なので、歌いながら1人で行けるようになった…というママの体験談もあります。

小学校中学年以上の子は、無理のない範囲でチャレンジを

9歳(小学校3年生頃)以上の子でも、夜中に1人でトイレに行けない子は一定数います。

 

生まれつき繊細で怖がりな子もいれば、昼間に見聞きしたことが原因という子も。

 

叱ったり突き放したりしても余計にパニックになることも多いので、無理せず付き添いながら、少しずつ1人で行けるようチャレンジしていけると良いですね。

 

具体的には「何がいちばん怖いと感じる?」と落ち着いた雰囲気で話してみて、その子に合った対策を取りつつ、「そろそろ1人で行けるといいよね。何歳になったらやってみる?」と子供自身に目標を立てさせるのが効果的です。

 

その目標がママやパパの理想通りでなくても、できるだけ口を出さず、忘れないようにだけしておいてあげてくださいね。

 

また、目が覚めなければトイレの悩みもなくなりますので、寝る前にトイレに行っておく、水分を取りすぎないといった基本的な対策も取っておきたいもの。

 

身の回りのことが1人でできるようになった年齢の子は、本人任せにしておいたら実はできていなかった…という可能性もありますので、一度どうしているか確認してみてください。

おわりに

筆者も小さい頃は古い一軒家に住んでいたため、夜に1階のトイレから階段を上がって2階の寝室に戻るとき、真っ暗な階下から手が出てきて足をひっぱられそうな気がして、いつも怖かったのを覚えています。

 

たとえ自宅が新しいマンションでも、怖がるときは子供なりに思いがあるはずですので、「もう○歳なのにトイレを怖がるなんて…」と思っても、できるだけ口には出さずに共感的に話を聞いてあげてくださいね。
 

文/高谷みえこ

参考/ベネッセ 教育情報サイト「夜中のトイレに一人で行けるようになったのは何歳ごろ?」 https://benesse.jp/kosodate/201908/20190819-1.html