「仕事と家庭どちらにも100%を求めたら、破綻すると思います」と話すのは、フジテレビの春日由実さん。働く女性として仕事で結果を出すだけでなく、2人の女の子を育てる母親でもあります。アナウンサー時代に結婚・出産を経験し、現在も多忙な広報の仕事と家庭の両立をどうこなしているのか、お話を聞きました(全4回中の4回目)。

 

フジテレビ広報・春日由実さん
「家族にはいつもすごく助けられています」と話す春日さん

仕事と家庭両方100%は無理、合計で考える!

── 働く女性には、仕事と家庭を両立させるのが大変という方が多いと思います。仕事が忙しい上、小学6年生と3年生の娘さんがいらっしゃるなか、どういうスタンスで両立していますか?

 

春日さん:仕事と家庭、どちらも完璧に100%を目指した時期もありましたが、それは無理だということにすぐ気づきました。それぞれできる範囲で最大限、頑張る。仕事には時間という制約が伴いますが「合計で100%に近づけたら、それでよしとしよう」と。どちらも手を抜かないけれど、何ができる、何はできないかを取捨選択するようになりましたね。

 

出産を機に、仕事と家庭のバランスは見直しましたが、仕事だけが絶対じゃない。母親としての仕事もある。どちらかをあきらめるのではなく、どちらの柱も大切に考えています。

 

フジテレビ・春日由実さん
子育てをしながら番組でも活躍していたママアナ時代

── 共働きの家庭では、ご主人の協力も不可欠かと思います。

 

春日さん:家事もかなり、やってくれています。子どもの送迎や勉強を見てくれたり、食事を作ってくれたりすることもあります。特に掃除や食器洗いは夫が…というより、“見かねて”やってくれるようになった状態かもしれません(笑)。

 

私は、思いついた目先のことをつい優先してしまい、掃除や食器洗いなどは後回しにしてしまうタイプ。夫は生活空間をキレイに保ちたい人なので、なんでしょう…惨状を見かねて?やってくれるので感謝しています(笑)。

分担を決めず「やってもらったら感謝」

── ルールや分担などで、どちらがこの家事をやると決めているわけではないのですね?

 

春日さん:いっときは分担制にしていたこともありました。たとえばお風呂掃除は夫が担当でしたが、あるとき洗っていなくて「帰宅したらすぐ子どもをお風呂に入れようと思っていたのに、これから私が洗うの?」って、すごくストレスを感じました。

 

夫婦で分担を決めるということは「私がやる家事を決めると同時に、私がやらなくていい家事を決める」ということになるんですよね。

 

だから、わが家では分担を決めないのがルールです。互いがやることを決めず、気がついたほうがやるようにしたほうが、ストレスがたまらないんですよね。たまに、気づかないふりをすることもありますが(笑)。

 

フジテレビ広報・春日由実さん
「家事を分担するとむしろイライラしてしまいがち」と話す春日さん

── お子さんたちも、お手伝いしてくれますか?

 

春日さん:下の子は週末の朝ごはんに、スクランブルエッグなど一品作ってくれますが、遊びの延長線かな(笑)。「牛乳がない〜!」と言ったら、お使いにもサッと行ってくれますが、それは、自分が飲みたいから(笑)。

 

長女も以前、私が週末夜の番組を担当していたとき、夫に手伝ってもらいながら、お弁当を作ってくれました。「お仕事頑張ってね」などのメッセージを添えて、ケーキを持たせてくれたこともありました。

 

娘たちも幼く、仕事で子どもたちから離れるのが気まずい時期だったので、救われましたね。今は小学校高学年になり、私が仕事のときは妹のお世話をするなど、しっかり母親の代わりを務めてくれます。

 

それぞれ自分ができることで最大限協力してくれて、助かっていますね。

 

── それは嬉しいですね。

 

春日さん:夫のおかげですね。ドラマクリエイターだったので、仕事柄、演出上手というか、なんでも家族のイベントにするんです。

 

幼い子どもにとって、母親が週末の夜に家にいないのは、大ごと。それを子どもたちとの特別なイベントにして「じゃあママにお弁当を作ってあげよう!」と提案したり、近所で買ってきたアイスクリームやチョコレートでケーキを作ったり。「今週は3人で何を作ろうか?」という具合で。

 

わが家は、どちらかが週末仕事になると、家族4人そろって一緒に出かけるんです。私が仕事なら、その間は夫と子どもたちで「映画を観よう」とか、夫が仕事している間は、私と娘たちでショッピングとか。

 

そうすると「今日はママ仕事でいなかったね」「パパお仕事だったね」ではなく、「家族で出かけられて、楽しかったね」という1日に。そのようにして過ごした家族の時間は、子どもたちにとって、記憶に残るものになると思うんです。

子どもたちには「自分で考えて行動できる人になって」

── ご主人の言動は、どれも明るくポジティブなお話ですね。ご家族の仲の良さも感じます。

 

春日さん:常に前向きで、言霊の力があるというか…。家族がいろいろな局面にポジティブに向き合えるのは、夫の存在によるところが大きいです。

 

夫は「批判と比較から何も生まれない」と、よく言います。「批判は悪口、比較は物事が進まず足を止めている状態。比較したら、相手のほうが良く見えるに決まっている」と。

 

あと昔から言っているのが「空気は読むものではなく、つくるもの」。これはもはや、わが家の家訓になっていますね。キャッチコピー好きで、娘たちにもよく「人に優しく、自分に強く」と、言っています(笑)。

 

フジテレビ広報・春日由実さん
子どもたちと過ごす時間は「濃密なものにしたい」と笑顔で話す春日さん

── それぞれ、説明していただけますか?

 

春日さん:私自身もアナウンサー試験で、周りと自分を比較して「自分なんてダメだ」と思いました。確かに、比較したら相手が良く見えてしまうものなんです。子どもが「○○ちゃんのママは、来てくれるのに」などと比較して言うこともありますが、「でもこの日は一緒に行くからね」と、自分にできることを明確に伝えるようにしています。

 

「空気は読むものではなく、つくるもの」は、わが家の家訓。

 

社会人になると、誰もが空気を読めと言われますが、私たちメディアの仕事はその空気をつくること。子どもたちには将来、時代の空気を創れるような大人になってほしいと思っています。良い雰囲気や環境にするためには、自分から行動することが大切だと。

 

幼い頃、子どもがお友達と喧嘩したときも、いちいち親が出て行くことはしませんでした。仲直りをしたいのなら、自分でどうすべきかを考えて、謝らなくてはならないのであれば「ごめんなさい」と言う。申し訳ない顔をしているだけでは伝わりませんから。

 

学校生活で起きたことは、まずは自分自身で環境を整える努力をしなさい。それでも解決できなかったら親や先生に相談すればいいのだから…と。

 

常に親が子どものそばにいて、守ってあげることはできません。何か起きたときに自分で解決する力をつけてあげたいし、子どもの心を強くするのも親の役割だと思うんです。

 

きっとそのコツが「人に優しく、自分に強く」なんですよね。

 

── どれも素敵な言葉ですね。

 

春日さん:子どもたちに「パパとママの宝物!」と言い続けていたら、最近は下の子が恥ずかしいのか「パパとママの子ども」と訂正してくれます(笑)。言葉に出して伝えることを大切にしているから、わが家はみんなよく話しますね。

 

共働きで、娘たちには不自由な思いをさせたりしているところもあると思います。できることが限られる分、一緒にいられる時間は濃密なものにしてあげたいんです。

 

PROFILE   春日由実さん

1974年兵庫県生まれ。1997年アナウンサーとしてフジテレビに入社。2017年に広報宣伝へ異動となり、番組広報を担当。現在は企業広報担当として、アナウンサーへの取材対応を中心に活躍している。

取材・文・撮影/鍬田美穂