小学校高学年くらいのお子さん、特に男の子がいる人は、年上のきょうだいがいる同級生のママ友から「もうすぐ壁に穴があくかもよ」と予言(?)されたことはありませんか?男の子だけでなく女の子も、思春期や反抗期のモヤモヤした気持ちや周囲への反発、ストレスなどが重なった時に壁を殴ったり蹴ったりして穴をあけてしまうことがあります。

 

それに対して「怖い、ありえない」と感じる人もいれば、「まあよくあること」「普通」、はたまた「子育てが成功している証拠、お赤飯を炊くべき」という人まで、親側の受け止め方もさまざまです。

 

そこで今回は、幅広い年代の子育て中のママにアンケートを実施し、お子さんが壁に穴をあけたときの体験談や、どう感じたか、対処方法などを紹介します。

証言「うちは壁に穴開いてます!」その理由は…

今回は、0歳から18歳までのお子さんがいるママ・パパ50人を対象にアンケートを実施。そのうち、お子さんが10歳以上の22人に「お子さんが怒って家の壁に穴をあけてしまったことはありますか?」と聞いてみました。

 

すると回答は以下のように。

 

  • 子供が壁に穴をあけたことがある…3人(約12%)
  • 子供が壁に穴をあけたことはない…19人(約88%)

 

母数が少ないため全てのお子さんが同じような割合なのかどうかは分かりませんが、今回の結果だけみると、10~18歳のお子さんの約8人に1人が、怒った時に壁に穴をあけたことがある…ということになります。

 

その時の様子を聞いてみました。

 

「息子が中3の受験前に、本当に合格できるのか不安でスランプになり勉強が手に着かなかったそうなんです。でも当時は親からはサボっているように見えて…必死で塾代も払っているのにサボっていたことを知り、強く注意したところ、オレの気持ちなんてなんにも分かってない!とキレて…息子がリビングの壁をグーで殴ったら穴が開いたんです」(kさん・高校2年生男の子のママ)

 

他のお子さんのケースも「第一志望に不合格で」というものがあり、受験が子供に与えるストレスはとても大きいことが分かります。

 

他にも、

 

「娘が中2のとき、夏休みに友達と遊びに行って何度か続けて門限を破ったので、外出禁止にするよと言ったら、ママなんて死ねばいいと言われて、壁を蹴って穴が開きました。ショックと怒りでしばらく口がきけませんでしたが、後で聞くと仲の良かった子たちと溝ができていろいろ苦しんでいたようです」(Rさん・専門学校生のママ)

 

と、外でトラブルを抱えているときに家での親とのやりとりがきっかけで爆発したというケースもありました。

「壁に穴」あける子、親の影響はあるのか

子供が家の壁に穴をあけてしまったとき、それまで素直でおとなしかった子であれば余計に動揺し、「育て方を間違った」と思ってしまうかもしれません。

 

また、今小さい子を育てているママ・パパは「この子も将来、暴力を振るうようになるの?どう育てればいいのか…」と不安になりますよね。

 

しかし、今回のアンケートで以下の質問にも答えてもらった結果、意外なことが分かっています。

 

「親御さん自身は、思春期や反抗期に家の壁に穴をあけたりガラスを割ったりしたことはありましたか?」

 

上の質問に、実は50人中12人が「ある」と答えています。

 

しかも、今回「わが子が壁に穴をあけたことがある」と回答した3人のうちで、親自身も昔同じことをしたと答えたのは1人だけでした。

 

また、「現在、お子さんを叱るときや夫婦ゲンカのとき、思わず相手を叩いてしまったり、家の中のモノに当たったりすることはありますか」という質問には4人が「ある」と回答しましたが、こちらもお子さんが壁に穴をあけてしまった3人とは全員が別の人でした。

 

調査人数が少ないため断言はできませんが、一概に「親が暴力的だから子供が壁に穴をあけるようになった」とは言えないのではないでしょうか(とはいえ暴力的な関わりは、お子さんの行動以前にもちろんNGです)。

 

壁に穴をあけたこと自体は決して良くはありませんが、今回体験談を寄せてくれたUさん(当時中学2年生の男の子のママ)は、こんな風に話してくれました。

 

「息子はそんなに体格がいいほうではありませんが、やっぱり中学生でも全力で殴られたら私は大怪我したでしょう。だけど、口論していてカッとなったのだから本当は私に向けられていたパンチですよね。それをしなかったということは、ちゃんと相手への思いやりや善悪は身についているはず…と思いました」

 

Uさんは夜に帰宅した夫にもそう話し、罰を与えるのではなく、それからは頭ごなしに話すのをやめることにしたといいます。

子供が壁に穴をあけたときの対処はどうする?

子供が怒って壁にパンチ、穴が開いてしまった…!その後、穴はどうなったのでしょうか。

 

今回は「自分自身も昔やったことがある」という人も含めて対処方法を教えてもらいました。

 

「親がポスターで隠してました。ちょっと低めの位置なので人によっては察しがついてたかも(笑)」(Jさん・4歳児と0歳児のママ)

 

「その部分を四角く切り抜いて同じサイズの板をはめ、同様に壁紙も貼り直しました。ちょっと線が見えるけどまあなんとか元通りです」(Tさん・小学3年生と6歳児のパパ)

 

「賃貸だったのですが、母は大家さんにとても言えなかったそうで、修理屋さんを呼んで直していました…今となっては申し訳ない」(Aさん・中学2年生の双子のママ)

 

「昔1回だけ穴をあけてしまったことがあります。父がその部分をくりぬいて照明までつけ、小さな飾り棚(ニッチ)に。もちろん反省していますが、よく思いついたなと妙に感心」(Kさん・5歳児と3歳児のパパ)

 

「息子があけてしまった穴は、しばらくそのままにしておきました。するとある週末に、ごめん、修理してほしいと息子から言ってきたので、一緒に直すことにしました」(Kさん・高校2年生のママ)

おわりに

「年頃の子がいるお宅にお邪魔して、壁の妙な位置にカレンダーが貼ってあったら、たいてい子供があけた穴の上」というママもいるほど。

 

ただ、今回のアンケートでその後の家族の関係を聞いてみたところ、多くの人が

 

「自分も昔荒れていたけど、今では親と仲良くしている」「兄が中学生の頃、部屋の壁にいくつも穴が…でも高校生からはやさしい兄に戻り、妻子にも暴力を振るったりしていない」

 

といった回答でした。

 

壁に穴をあけたからといって、その子は必ずしもこのまま暴力的な人間になるわけでも、親を傷つけようと思っているわけでもありません。

 

とはいえ、その子は今、壁に穴をあけるほどストレスを感じていること、うまく自分の気持ちを表現できない状況にあることもまた事実です。

 

「赤飯を炊く」とは違うかもしれませんが、お子さんが成長と変化の過程にさしかかっていることは間違いないので、これまでの接し方を見直す機会と考えてみてはいかがでしょうか。

 

文/高谷みえこ

アンケート実施期間:2022年7月 アンケート実施人数:50人 アンケート実施手段:インターネット