「正直、家のことは何ひとつ回っていません」──。そう明かすのは、フリーアナウンサーで2児の母でもある吉田明世さん。ラジオのレギュラー番組を担当するなど多忙な日々のなか、家が散らかり、夫と喧嘩になったことも。そんななか、夕飯を簡単に済ませたり、家事や育児を家族で抱え込まず、外部サービスを利用することで気持ちが前向きになったそうです(全4回中の3回目)。

 

吉田明世さん
「ONE MORNING」「THE TRAD」(いずれもTOKYOFM)にレギュラー出演している吉田明世さん

家事は完璧を目指さない

── 育児と仕事の両立で、やってよかったことはありますか?

 

吉田さん:まず完璧にやろうとしないことですね。食事も、昔は頑張って凝った料理や離乳食を作っていて、子どもに飽きさせないためにレパートリーを増やしていたんです。

 

でも、子どもって性格にもよると思うんですが、ハイクオリティな料理は求めてなかったりしますよね。

 

── そうですよね。手の込んだ料理に限って、あまり食べてくれなかったり…。

 

吉田さん:そうですよね。一方で、しらすごはんにお味噌汁とか、シンプルなものでも、おいしそうに食べてくれたりする。栄養バランスは考えますが、そんなに手の込んだものは作らなくていいんだな、と思ったんです。

 

今は、月曜と火曜が特に帰宅後にバタバタするので、そんなときは納豆しらすごはんに温泉卵をのせて、それにお味噌汁をつけて夕飯を済ませたりします。子どもたちも喜んでくれるし、かつ時短なので。手を抜けるところは手を抜いていますね。

 

── 納豆しらすご飯は、勇気をもらえるエピソードですね。

 

吉田さん:娘は温泉卵が好きなので、事前に作った温泉卵をのせています。私も好きですし、栄養も取れるし、時短だし。おいしいのでオススメです。

 

── 旦那さんも一緒に食べるんですか?

 

吉田さん:夫には物足りないとは思うんですけど、大人は自分のことは自分でできると思って。

 

うちの母は専業主婦で、ごはんは必ず毎日作って、料理は女性がするものという価値観のなか生きてきたタイプで、私もそういう背中を見てきたので、罪悪感はあるんですけど。

 

でも、夫も大人だから自分でできるだろうと思って、甘えているところはあります。

 

吉田明世さん
週末は2人のお子さんと公園へ。嬉しそうに長男と同じ指差しポーズをとる吉田明世さん

吉田さん:あと、最近利用してよかったなと思うのは、病児保育のサービスです。

 

以前は、子どもが風邪を引いたら、近所に住む母親に頼ったりしていたんですよ。ただ、そうなると、どうしても母も体調を崩して、共倒れになってしまって…。そこで、最近は区の病児保育に登録して、これまで何回かお世話になっています。

 

利用するまでは「病気なのに一緒にいてあげられないなんて」とか、「他の病気もらったらどうしよう」とか、マイナスなイメージを抱いていたんですけど、本当に丁寧に保育してくれるので、安心感があります。そういった便利な地域のサービスをなるべく活用して、自分ひとりで背負わないというマインドが大事なんだなと思いますね。

 

── 病児保育、ありがたいサービスですよね。

 

吉田さん:はい。初めて利用するまでは抵抗がありましたが、いざ利用させてもらうと本当に助かる制度です。意外と使ったことない人が周りにも多かったので、両立のためにはそういうサービスを頼ってもいいんだということはお伝えしたいですね。

洗濯は、山の中から着ることも…

── その通りですね。お話を伺っていると、吉田さんは育児も仕事も完璧で、正直、マネできないな、と…。

 

吉田さん:いえ、全然、完璧なんてことはなくて…。家もずっと散らかっていますし、正直、家のことは何一つ回ってないです。

 

最低限、洗い物や洗濯はしますけど2、3日、洗濯物の山が放置されていることもあります。

 

でも、優先順位は低いんですよね。命にかかわらない。洗濯物はたたんでなくても、山から出して着られるし、バスタオルをとったりもできますし。食器は雑菌が怖いので、なるべく当日に洗うようにしていますけど、それでも次の日に回っちゃうこともあります。

 

でも、私のなかでは、子どもといる時間と、自分が健康でいるための睡眠時間を確保することが、すごく重要なことなんです。洗濯物を綺麗に畳んで、洗い物を洗って、食器を拭いて、棚にしまうという時間によって、睡眠時間が30分とか1時間削られちゃうんだったら、もう寝るっていう感じです。

 

現在長女は4歳、長男は1歳になり、二人で遊んでくれる時間も増えてきたそう

 金額以上の価値があった「家事代行」

── 掃除は、ある程度週末にまとめているんですか?

 

吉田さん:実は、お願いするまでは抵抗があったんですが、最近、家事代行サービスを利用するようになったんです。

 

利用するまでは、散らかった部屋をみると「やるべきこともこなせず、ダメな人間なんじゃないか」という罪悪感でいっぱいだったんです。家があまりにも汚れたりすると、夫にも当たっちゃうんですよ。

 

何度もケンカしてしまって、心の健康を保つためにも、一回利用してみようかなと、夫と相談して利用するようにしたところ、すごく良くて。最初は2週に1回だったんですけど、最近は週に一度、お掃除をお願いするようにしています。

 

── 共働きの夫婦は、家事代行は現実的な選択肢ですよね。

 

吉田さん:決して安い金額じゃないので、「その分、貯金したほうが…」とか、いまだに考えることもあるんです。でも、私にとっては金額以上の価値がありました。その分、子どもとの時間に費やせたり、週に一度、きれいになった部屋を見ると、気持ちもリセットされて前向きになれたので、今後も利用しようと思っています。

 

── 大事なことですね。

 

吉田さん:何に重点を置くかにもよると思うんですけど、お掃除のサービスを使う前は、料理するのがしんどいと思って、お料理の宅配サービスを使ったときがあったんです。

 

最近は、手の込んだものじゃなくても、子どもたちがおいしく食べられて、栄養が取れるものでいいんだ、と切り替えてから苦じゃなくなったので、その分お掃除に回しています。

 

PROFILE 吉田明世さん

1988年生まれ。2011年TBSにアナウンサーとして入社。2019年にフリーに転向。二児の母であり、保育士、絵本専門士の資格を持つ。「ONE MORNING」「THE TRAD」(いずれもTOKYO FM)にレギュラー出演中


取材・文/市岡ひかり 写真・吉田明世さん