もっと夫には子育てに関わってほしいのに、いくら言っても面倒臭そうな態度をとるだけ…。妻の体調が悪いときくらい「大丈夫?」「何か食べたいものある?」と気づかってほしいのに、スマホ片手に居眠りで、結局妻がフラフラしながら子どもの世話をして、涙が出てくる…。

 

そんな愚痴をママ友に話すと「私はもう夫に期待してないよ!ラクになったわ」と言われた経験はありませんか?

 

本当に、夫に期待するのをやめればラクになるのか、それともさらに悪い状況になってしまうのか…?

 

今回は子育て中のママたちに、夫に期待しないようにした結果がどうなったのか、それぞれの体験談を聞かせてもらいました。

「夫はいないものと考えてるけど、やっぱり…」

はじめに話を聞かせてくれたYさんは、小学校4年生と1年生のお子さんを育てているママです。

 

「上の子が生まれたときは、夫も仕事が深夜まで大変そうなので、私も働きながらほぼひとりで家事育児をがんばってきました。下の子が生まれる前に夫が転職し、時間の余裕ができたので、これなら夫婦で子育てできると思ったのに…家にいて時間があっても、スマホでゲームするだけで、子どもの相手ももちろん家事もやろうとしません。話し合おうとしてもケンカになるので、もう疲れて、いないものだと思うことにしました」

 

Yさんも最初は夫に期待していたといいますが、あきらめた今の心境を聞いてみるとこんな答えが返ってきました。

 

「うちの父はわりと子煩悩だったので、つい同じくらいの関わりを求めていたんですよね。でも、よく考えたら私も母ほど料理や裁縫ができるわけでなし、夫にもその分野の能力がないんだなと割りきれるようになりました。子どもが騒いでいてもうるさい!とか怒鳴るわけではなく、休まず働いて家にお金を入れているのでそれでいいかと思っています」

 

ネガティブな気持ちになることはないかと聞いてみたところ、それはやはりあるとのこと。

 

「やっぱり、自分の中に理想の家族像というのがあるんですよね。実家や、もしかして映画とか昔のホームドラマの世界かもしれませんが、家族が仲良く助け合って、子どもは両親を大好きで。うちの子たちは、小さい頃全然遊んでくれなかったパパに愛想を尽かしたのか、最近は近寄ろうともしません。本当はまだ家族でワイワイ出かけてもいい年頃なのに、いつも私+子どもたち。出先で同じ年頃の仲よさそうな家族を見ると少し落ち込んでしまいますね」

 

夫への期待を捨てた人がもっとも心揺れるのは、仲がよさそうな他の夫婦を見たときではないでしょうか。

 

「そうなんです!子煩悩な友達のパパを見ると子どもたちが不憫で…。でも、期待していた頃はそのぶんケンカも多かったし、今はちょっと虚しいけど平和なので、いいかなと思っています」

 

どうしても話し合いができないときは、あきらめて期待しないようにするのもやむを得ないのかもしれません。

 

しかし、本当に険悪な関係でなければ、年齢を重ねて人は変わることもあります。

 

今年はダメでも来年、その次…と、ケンカの連続にならない程度に話し合いを試み、本当はこんな家族になりたいという気持ちを伝える価値はあるかもしれません。

 

Yさんも最後にこう話してくれました。

 

「職場の先輩で、お子さんが巣立ってからぐっと仲良くなった夫婦がいるんです。DVや借金などの大きな問題がなければ、年を重ねるとやはり夫も誰かと寄り添いたいという気持ちが出てくるみたいで。期待しないと言いつつ、やっぱり私もどこか期待しているかもしれませんね」

まだ諦めるのは早い!?揺れる日々

次に話を聞かせてくれたSさんは、現在育休中で生後6か月の赤ちゃんを育てています。

 

「夫がかなり忙しいのは結婚前からでしたが、妊娠が分かったとき、なんとか子育てに関わりたいから仕事の量を調整できるように職場に掛け合ってみると言ってくれたんです。でも、フタを開けてみるとなにも変わらなくて、産院にも1回、顔を出しただけ。休日は疲れてゴロゴロしていたり、仕事関係の人たちとゴルフに出かけてしまったり。期待したぶんダメージが大きかったです」

 

Sさんは、思ったよりも夫の育児参加が期待できないことで、この先の職場復帰にも不安があるといいます。

 

「このままだと、職場復帰しても私が家事育児をすべて担うことになりそう。保活はしているのですが、もしどこも希望が通らなかったら退職して専業主婦になるしかないのかなと思うこともあります。生活は少し苦しくなりますが、出産前の貯金もあるし、家のローンは夫の稼ぎで払えそう。子どもが少し大きくなったら教育費のぶんだけパートに出ればなんとかなるのではと思っています。ただ、そうなると完全に私のワンオペ、母子家庭状態ですよね」

 

しかし、それなら夫に期待しなければいいのかというと、Sさんはそこまで割りきれないとのこと。

 

「知人の話を聞いていると、はじめから主体的に動いてくれるうらやましいパートナーは別として、ほとんどのパパは言われないと動かないし、大人相手になぜ…と思いつつも、訓練するつもりでいろいろ取り組んだら成長したという人もいます。逆に、何を言っても無理で、離婚か戦力外通告しかなかったという人も。せっかく結婚して子どももできたので、私も一度は夫の訓練(笑)をがんばってみようかなと思っています」

おわりに

せっかく結婚するからには、パートナーとは辛いときは支え合い、いつも励ましあえる関係でいたいもの。

 

しかし、そんなに理想どおりには行かないこともあります。

 

いっさい相手に期待しないのは淋しいかもしれませんが、ときにはそう思うことで心を守りつつ、少し余裕のあるときには話し合うなど、柔軟に夫婦の形を定義していけると良いですね。

文/高谷みえこ