さまざまな食料品が次々に値上げされていく昨今。

 

「家族の食べる量は変わらないのに、1か月の食費の合計額が上がった…」と嘆いている人も多いのではないでしょうか。

 

子どものいる世帯でもっとも多い家族構成とされる両親+子ども2人の4人家族の場合、月の食費の目安はいくらなのでしょうか。

 

年齢性別・居住地域などにより差はありますが、全国のデータをもとに平均的な食費の金額や昨今の食品値上げの影響を調べてみました。

4人家族の食費は月にいくらかかるのか

総務省統計局が2019年に発表した「家計調査(家計収支編)」によると、4人家族(勤労世帯)の1か月の食費は平均で8万2980円でした。ご自身の家計と比べてみていかがでしょうか?

 

とはいえ、子どもたちが赤ちゃん+幼児の世帯と、食べ盛りの中高生がいる世帯では食べる量はかなり異なりますよね。

 

また、東京や神奈川などの首都圏と地方とでは物価にも差があります。

 

2021年の総務省「消費者物価地域差指数」調査結果によると、全国平均の物価を100とすると、もっとも低い宮崎県では96.2、もっとも高い東京都は104.5で、上記の8万2980円に当てはめてみると単純計算で月に6,888円の差があることがわかります。

 

そのほか、営業など外回りの仕事で毎日のランチが外食なのか内勤でお弁当なのか、実家からお米や野菜などの援助があるのか、外食をどのくらいするのか…といった状況の違いによっても1か月の食費は変わってきます。

4人家族の1食あたりの金額は?

個別の事情はいったん置いて、4人家族の平均的な月の食費8万2980円を30日/3食/4人で割って、1食あたりの金額を計算してみました。

 

朝食は軽めに、夕食はしっかり…というように、実際は3食とも同じ金額ではないと思いますが、均等にしてみると1人1食あたり230.5円となります。

 

2020年の新型コロナ感染者ホテル療養に提供された食事の金額のめやすは1食900円(※自治体により異なる)、刑務所での食事は1食540円といったデータと比較すると、多くのファミリーはかなり食費を抑えて生活しているといえますね。

 

もちろん、まとめ買いして調理すれば1人分よりも単価が安くなるので、230円でも十分な内容の食事が摂れている家庭も少なくないはず。

 

しかし、最近ではサンマ1尾200円、梨1個350円など、ひと昔前と比べて倍以上の価格になっている生鮮食品もあり、多彩な食材を食卓に取り入れるのは難しい…と感じている人も多いのではないでしょうか。

食品の値上げの影響は?

日本のCPI(消費者物価指数)は、平成のバブル期以降、最近までずっと上がらないままでした。

 

しかし2020年のコロナ禍以降、世界的にエネルギー価格が急激に上がったため、つられて生鮮食品や外食費なども上昇。2022年からは円安が進んだために輸入食品の価格も上昇し、さまざまな食品が値上げされました。

 

それと同じペースで収入も上がれば問題ないのですが、平均給与のほうは上がるどころか30年前と比べて逆に減っています。

 

2人のお子さんがいるママ・パパたちに、食品値上げが月の食費へ及ぼす影響についてたずねてみました。

 

「5歳と3歳の子がいます。昨年(2021年)末あたりから、あきらかに月の食費が増えています!外食もそんなにしていないし、子どもが成長したといってもそこまで食べる量が増えるわけじゃなし。同じ内容では予算オーバーなので、有機野菜を特売の野菜に、国産の肉を外国産に変えるしかないかな…」(Nさん・自営業)

 

「小学5年生の双子がいます。最近、同じ金額でも量が減ってる商品が多いですよね!先日も、子どもたちにおやつがたりないと言われ、昔ながらの食パンの耳をもらってきて油で揚げて砂糖まぶすの作りましたよ」(Rさん・介護職員)

 

「子どもは小学3年生と6歳です。毎日の夕食の主菜は4人で600円と決めてやりくりしていますが、牛肉豚肉は半額でないと買えず、もっぱら鶏胸肉ばかり。魚もサバは買えるけどブリは無理。前からそんな感じではありましたが、昨年あたりからますます600円でおさめるのが難しくなってきて、厚揚げの登場回数が増えています」(Kさん・パート事務)

おわりに

まだまだ終わりの見えないスタグフレーション(物価が上昇し収入は増えない状態)や円安の中、さまざまな工夫をして食品の値上げに対抗している人も多いと思います。

 

教育費や住居費も重くのしかかりますが、子供のすこやかな成長のためにも、栄養バランスの取れた食事がとれるよう予算を確保していきたいですね。
 

文/高谷みえこ

参考/総務省|統計局ホームページ「家計調査(家計収支編)調査結果」 https://www.stat.go.jp/data/kakei/2.html

総務省「消費者物価地域差指数-小売物価統計調査(構造編)2021年(令和3年)結果」 https://www.stat.go.jp/data/kouri/kouzou/pdf/g_2021.pdf

厚生労働省|令和2年度版「平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-08-02.html