サニタリーの「浮かせる収納」の一例
非の打ちどころがないように見える「浮かせる収納」だが、場合によっては注意が必要

床置きしないことで出し入れしやすく、掃除がラクになると人気の「浮かせる収納」。

 

整理収納コンサルタントの瀧本真奈美さんも、自宅で積極的に取り入れてきたそうですが、いくつかデメリットを感じたことから、最近は精査して少しずつ数を減らしているといいます。

 

ひと口に「浮かせる収納」と言っても、どんな場合にメリットがあるのか、何がデメリットになるのかを解説してもらいました。

1. 「床掃除がラクになる」という点ではメリット大!

掃除時間をスムーズにするには、床に何もない状態がベスト。でも置きたい家具や収納があると、その都度置いているものをよけて掃除することになるので、時間がかかったり、果てはそのものの下を掃除しなくなるなど、悪循環も発生しがちです。

 

サニタリーの「浮かせる収納」の一例
床にものがない状態だと掃除が劇的にラクに

このような事態を確実に防げるのが「浮かせる収納」。例えば、ゴミ箱や収納ボックスを浮かすといったなどの方法が該当します。床掃除に時間がかかることが気になるなら、まずは「浮かせる収納」を意識してみてください。

2. 「玄関周辺」は注意が必要

私自身、ついつい貼りすぎてしまった玄関ドアの「浮かせる収納」。ふいに吊るしているものが落ちたり、ドアが重くなるなどのデメリットを感じるように。

 

玄関ドアを活用した「浮かせる収納」の一例
置くものを厳選することで出し入れしやすく見た目もスッキリ

ものが増えてしまった結果ゴチャついて見え、視覚的にも問題が…。狭い場所だからこそ気をつけたいのが収納量。「便利だから吊るしておく、貼っておく」ではなく、よく使うものだけに絞ってみたら、かなりスッキリしました。

3. リモコンは収納場所によっては便利

家族みんなが使うリモコン。使用頻度が高いからこそ、しまい込まず出しておく必要がありますが、定位置が定まらず、部屋のなかで迷子になりやすいアイテムです。

 

このようなものは、専用の収納場所があると便利な反面、家族の協力が得られず、イライラのもとになることも。

 

ソファを活用した「浮かせる収納」の一例
家族全員が使うものは誰にでもわかりやすい場所を定位置に

そんなときは、いつも座っているソファなどに吊るす収納にしてみる手もあります。サッと取れて簡単に片づけられるので、とても便利ですよ。

 

ソファがない場合は、家族がいつも座っている場所の近くがおすすめです。

4. クローゼット内はデメリットになる場合も

バッグや帽子、ボトムなどを浮かせる収納にできる吊り下げ収納。洋服と区別ができて、選びやすく片づけやすい反面、収納グッズを吊るす幅が必要になるのでデメリットになってしまう場合も。

 

クローゼット内の「浮かせる収納」の一例
埃がたまりやすいクローゼット内部。余裕があるなら「浮かせる収納」がおすすめ

吊るしたい洋服が多い場合は、クローゼット内を圧迫したり、ギュウギュウになった結果、洋服が取り出しにくくなる可能性があるので、要注意です。

5. 最もデメリットを感じたのは「夏の浴室」

浴室の壁にマグネットがくっつくことを知ったのは数年前。すっかり便利に感じて、浮かせる収納が増えました。

 

浴室の「浮かせる収納」の一例
浴室で使うものは壁に貼って「浮かせる収納」に。床や棚は汚れないけれど壁に汚れがたまりがち

その半面、気になったのが貼りつけた壁の掃除。貼りつけたものが多ければ多いほど、掃除のたびに外す必要があるのでどんどん億劫に。その結果、壁面の掃除が後回しになり、気がつくとカビが…!


特にこの夏は掃除をおろそかにしがちだったこともあり、このデメリットを痛感。そのため、貼りっぱなしの浮かせる収納を少し減らしました。

 

置いた場所の汚れを予防するはずの「浮かせる収納」ですが、水回りで多用しすぎるとデメリットになる可能性がありそうです。

 

 

上記のデメリットのほか、浮かせている収納自体に埃が溜まってしまうという問題も。なんでも「浮かせる収納」にするのではなく、よく使うものだけに厳選するなどバランスに気をつけると、日々の家事がもっとラクになるかもしれません。

 

文・撮影/瀧本真奈美