この9月、東京・墨田区にミニシアター『Stranger』が誕生します。ゼロから立ち上げて映画館がオープンするまで、どんな苦労があるのか?かかるお金、建てる立地、上映する映画の買いつけなど、知られざる「映画館作り」について、Stranger設立者の岡村忠征さんを直撃しました。
「映画館は手間のかかるテナント」と不動産業者から言われ…
—— 現在、東京23区東部にミニシアターはほとんどありませんが、墨田区・菊川を選ばれた理由は?
岡村さん:
もともと東京の西側に位置する渋谷や新宿がミニシアター文化の中心だった経緯があり、現在もミニシアターはそのエリアに集中しています。
僕も最初は世田谷区など東京の西側を候補にしました。でも、新しく映画館を建てたいと思った地域はほとんどが住宅地として区分されていました。
映画館は法律により住宅地には建てられないので、結局、西側では物件が見つからなかったんです。
反対に、東京の東側ではミニシアター文化がまだ根づいていないこともあり、ミニシアターがほとんどありません。
調べてみると、法律上、映画館を建ててよい商業・工業地域が多いこともわかり、候補地に加えました。
そして僕自身が数か月物件を探し続けた後、理解ある不動産業者や物件オーナーと出会い、ようやく今の場所にたどりつきました。
映画館は物件オーナーや不動産業者にとっては、“手間のかかる”テナントなんです。
工事では壁や配線を変更するため、建物を骨組みの状態にしなければならないし、内装や設備も独特。開業後は不特定多数の人が、早朝から深夜まで出入りします。
結果的には、清澄白河という流行に敏感なエリアに近い菊川に映画館を建てることができました。